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医院開業コラム

クリニックのスタッフ採用と労務管理

スタッフを大事にしないクリニックがやってしまっていることと定着率を高める対策

診療科目別 開業物件選定のポイント

スタッフを大事にしないクリニックがやってしまっていることと定着率を高める対策

ハードワークや人口減少により、医療業界の人手不足はますます深刻化しています。クリニックにとってスタッフは必要不可欠であり、なおかつ今まで以上に貴重な存在となっているため、開業後のスタッフマネジメントが気になっている先生も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、スタッフを大事にしないクリニックにありがちな問題点を踏まえつつ、スタッフの定着率・モチベーションを高めるための方法について解説します。

目次

 

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スタッフを大事にしないクリニック・病院の問題点

スタッフの写真

スタッフを大事にしないクリニック・病院の多くは、職場環境・人間関係・労働条件・ワークライフバランスなどに何らかの問題を抱えています。

そこで、よくある問題点を詳しく解説するので、しっかり押さえておきましょう。

1-1    意見を発信しづらい・質問しづらい雰囲気がある

理想的な職場環境をつくるためには、スタッフの意見を広く取り入れることが大切です。しかし、実際は院長に対して業務の改善提案や働き方の相談がしづらい、新人スタッフが分からないことを質問しづらいような雰囲気を出しているクリニックも少なくありません。

院長が日頃から「気軽に声を上げてほしい」と伝えていても、多忙によるイライラが行動に表れていたり、隙がなさすぎて話しかけにくかったりする場合、スタッフは意見を発信しづらくなります。

このような雰囲気が続けば、スタッフも「自分の意見を聞いてくれない」と感じてしまうでしょう。

1-2    人間関係の問題を放置する

職場における人間関係が原因で退職してしまうケースは、クリニックでも数多く見受けられます。

例えば、勤務態度や業務遂行能力に問題のあるスタッフを放置したり、院内でのコミュニケーションが不足していたりすると、人間関係は悪くなりがちです。また、院長が特定のスタッフだけひいきすると、他のスタッフは「真面目に働いても損をする」「院長はあの人に甘すぎる」などと不満を抱く恐れがあります。

特に少人数で運営するクリニックの場合、人間関係の問題は日々の診療に大きな影響を及ぼす可能性が高いため、深刻化する前に適切に対処する必要があります。

1-3    仕事ができるベテランスタッフに負担がかかりすぎている

経験豊富かつ高度なスキルを習得しているベテランスタッフは、クリニックにとって頼れる存在です。一方、教育やマネジメントを軽視した結果、業務をスムーズに回すための体制を築けず、特定のスタッフに仕事が集中してしまうケースもあります。

頼りになるからとベテランスタッフばかりに仕事を任せた場合、大きな負担がかかってしまうので、心身の不調や職場への不満につながる可能性があります。

また、他のスタッフが「自分はいてもいなくても同じ」と感じてしまい、退職に至るケースも考えられるため、さらに状況が悪くなるかもしれません。

1-4    給与水準が低い・昇給ルールが明確でない

スタッフのモチベーションを維持するためには、業務内容やスキルレベルに見合うだけの給与を支払う必要があります。他院に比べて給与水準が明らかに低かったり、資格手当や役職手当がなかったりすると、スタッフは「いくら頑張っても評価されない」と不満を抱いてしまうかもしれません。

また、昇給ルールが明確に定められていない場合、スタッフは自分の勤続年数や仕事振りが正しく評価されているか把握しづらくなってしまいます。仮に昇給ルールを規定していても、その内容が納得できるものでなければ、モチベーション低下につながるでしょう。

1-5    福利厚生が必要十分でない

クリニックで長く安定して働くためには、スタッフとその家族の生活を支える福利厚生の充実も必要となります。

例えば、住宅ローン返済分や家賃といった住宅費を補助したり、自院での診療費用や人間ドック費用を一部還付したりするなど、金銭面のサポートは定番です。また、クリニックのスタッフには育児をしながら働いている女性も多いため、保育所の設置や費用補助なども求められています。

一方、必要性の薄い福利厚生にまでコストをかけすぎると、スタッフは「それより給与を上げてほしい」と逆に不満を抱いてしまう可能性もあります。

1-6    院長からの細かい指示が多い

クリニックを円滑に運営するためには、院長からスタッフへの的確な指示が欠かせません。しかし、何から何まで細かく指示を出しすぎた場合、スタッフから「自分は院長に信頼されていない」「裁量がないから仕事もつまらない」などと思われてしまう可能性もあります。

仮に相手が新人スタッフであっても、院長や教育担当スタッフによる見極めで問題がなければ、信頼して業務を任せるべきです。院長からの指示が多すぎると自主性を育めないので、かえって業務効率が悪くなったり、院長の負担が重くなったりするかもしれません。

1-7    職員全員参加の院内イベントが多い

コミュニケーション促進のための懇親会や社員旅行、スキルアップを図るための勉強会や講習会などの開催は状況次第で高い効果が見込めます。しかし、勤務時間外において職員全員参加の院内イベントが多い場合、人によっては不満が生じる原因になりかねません。

特に近年は若い世代を中心に「仕事とプライベートをしっかり分けたい」と考える傾向が強く、新人歓迎会や退職者の送別会であっても、あまり気乗りしないというスタッフが増えています。

また、育児や介護でそもそも時間的余裕がないケースもあるため、イベント開催時は配慮が必要です。

1-8    仕事が忙しくワークライフバランスを確保できない

冒頭で述べた通り、昨今の医療業界は人手不足に陥っているため、スタッフ一人当たりの業務量が増加しやすい状況です。業務量に対してスタッフの人数が足りなかったり、業務効率化が進んでいなかったりすると、ワークライフバランスの悪化につながります。

例えば、あまりに忙しすぎて残業が常態化している場合、身体的な疲労や精神的なストレスが溜まるため、それに耐えかねたスタッフが退職してしまうかもしれません。

また、多忙で有給休暇を取得できない場合、疲労やストレスのリフレッシュも難しくなるので、悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

1-9    やりがいがない・スキルアップできない

スタッフのモチベーションを支えている要素は、給与の高さや職場の働きやすさだけではありません。仕事へのやりがいや自分の成長を感じられないと、他の条件に恵まれていてもモチベーションを維持できないケースがあります。

例えば、専門的なスキルを活かせない雑務が多くなった場合、スタッフは「自分のやりたい仕事ができない」「スキルアップにつながらない」と感じ、結果的に退職してしまう可能性もあります。

また、仕事のマンネリ化もモチベーション低下の原因です。「新しい経験ができない」という理由で、退職に至ることも考えられるでしょう。

 

スタッフの退職を防止してモチベーションを向上させる方法

医療スタッフ 写真

深刻な人手不足が続いている現状、自院に合った人材を確保することは容易ではありません。そのため、既存スタッフの定着率・モチベーションを高めることが大切です。

具体的な方法をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてみて下さい。

2-1    経営理念や診療方針を共有する

スタッフを大事にしているクリニックでは、院長の診療・経営に対する考え方やビジョンが浸透しています。経営理念や診療方針を明確化しつつ、それを院内全体に共有することで、各スタッフが自発的にやりがいを持って働くベースになっているのです。

一見、モチベーションと関係なさそうな要素ですが、経営理念や診療方針をきちんと示せば、スタッフは院長の意見に対して納得しやすくなるので、不満やストレスを軽減することができます。

2-2    就業規則や所定の労働条件を遵守する

スタッフがいつも安心して働けるクリニックをつくるためには、就業規則や労働条件をきちんと定めた上で、それを遵守することが大切です。就業規則は「職場で守るべきルール」であり、そのルール内に労働条件(賃金・始業時刻・終業時刻・休日など)が含まれています。

就業規則や労働条件が明確であり、なおかつ適切に運用されているなら、スタッフの院長に対する信頼度が向上するため、退職のリスクも抑えられるでしょう。

2-3    看護師や受付・医療事務の業務マニュアルを作成する

クリニックのスタッフは看護師や受付・医療事務をはじめ、複数の職種があります。職種によって業務内容や必要なスキルはそれぞれ異なるため、作業手順や注意点をまとめた業務マニュアルは必須です。

業務マニュアルを作成することで、新人スタッフの教育がスムーズになる、特定のスタッフに負担がかかる問題を改善できるといったメリットが生じます。結果的に職場の働きやすさが向上するため、スタッフの満足度を高めることが可能です。

スタッフがきちんと業務を覚えて効率的に働けるよう、自院の研修・教育制度を整えることも大切です。新人スタッフの不安を取り除けるだけではなく、よりスピーディーに戦力となる人材を育成できるので、院長や他のスタッフの負担軽減につながります。

なお、研修・教育制度の整備に当たって、既存スタッフのスキルアップに向けた施策も実施したいところです。スキルアップを通じて仕事の幅が広がると、仕事へのモチベーションも高まりやすくなります。

2-5    1on1などでスタッフからの不満や意見を吸い上げる機会をつくる

スタッフの定着率・モチベーションを高めるためには、院長主導のコミュニケーションが欠かせません。人事評価や目標設定に関する定期面談だけではなく、日常的にスタッフが不満や意見を伝えられるような仕組みを設けることも大切です。

例えば、ランチタイムの際に、スタッフルームで一緒に食事をとれば、さりげなくスタッフと話をする機会を作ることができます。リラックスした雰囲気の中で、スタッフも心を開いて話してくれる可能性が高いでしょう。

2-6    院内でのコミュニケーションを大切にする

医療スタッフのミーティング

定期的な懇親会やランチタイムの話し合いは有効ですが、院内・勤務時間内での積極的なコミュニケーションを心がけて信頼関係を築くことも大切です。院長もスタッフもお互い自分の仕事が最優先なので、じっくり話すことは難しいかもしれませんが、ちょっとした雑談や相談でも十分な効果があります。

また、日頃から就業前後にきちんとあいさつしたり、感謝の言葉を伝えたりすることも重要です。「おはようございます」「お疲れ様です」「ありがとうございます」といった一言をかけるだけでも、スタッフとの距離を縮めることはできます。

2-7    人事評価制度の策定と運用

人事評価制度を設けることで、スタッフは給与の上がり方や今後のキャリアをイメージしやすくなるので、仕事へのモチベーションアップにつながります。目標達成までのプロセスや評価期間中の実績を見える化した上で、定期面談などのタイミングで他者が評価するため、スタッフは自身の存在意義を改めて認識できるのです。

また、採用面接にて人事評価制度の概要を伝えると、求職者は給与やキャリアを他院と比較しやすくなるので、最終的に自院を選んでくれる可能性も高まります。

なお、人事評価制度の目標はスタッフ本人ではなく、院長や上司が設定しましょう。

2-8    福利厚生を見直す

福利厚生の充実化を図ることは重要ですが、支援やサービスは取り入れた分だけコストが増加します。コストをかけすぎた場合、かえってスタッフの不満を招きかねないため、あらかじめ注意しなければなりません。

スタッフのニーズや利用状況を確認しながら福利厚生を見直した上で、不要な支援やサービスを取り除けば、無駄なコストを削減できるようになります。

浮いたコストを昇給金額に反映したり、通常の賞与とは別の臨時ボーナスとして還元したりすれば、スタッフの満足度も高まるでしょう。また、新しい医療機器の購入費用などに充てるのも一案です。

2-9    診療所の医療機器・設備や業務システムなど職場環境を改善する

医療機器・設備や業務システムの使い勝手が良ければ、その分だけ業務効率もアップするので、結果的にスタッフも働きやすくなります。機器の型番やシステムのバージョンが古い場合、操作や処理に時間を要するだけではなく、修理・メンテナンスができない可能性もあるため、早めにアップデートしたいところです。

また、休憩や準備の際に使うスタッフルームの環境改善も効果的です。スタッフの意見を聞きつつ、導入すべき設備を検討しましょう。

2-10  スタッフマネジメントや労務管理について専門家に相談する

ここまで紹介した内容を押さえておけば、スタッフの定着率・モチベーションを高めるためにやるべきことが見えてくるはずです。しかし、改善や見直しを実践するに当たり、自院だけでは解決できない問題が出てくるかもしれません。

スタッフマネジメントや労務管理に取り組む場合、必要に応じて外部のコンサルタントや社労士といった専門家へ相談することも大切です。クリニックの現状を正確に把握できるほか、新たな問題や対策が浮かび上がってくる可能性もあります。

日本調剤の開業サポートにご相談下さい

医療スタッフ

クリニックの職場環境やワークライフバランスが悪い場合、勤続年数や職種を問わずスタッフが退職してしまう可能性は高まります。医療業界は人手不足が続いており、新たな人材を確保しづらい状況にあるため、既存スタッフをしっかり定着させることが大切です。

日本調剤では、クリニック開業に関する多様なサポートを無料で提供しています。求人広告・面接・採用などのアドバイスはもちろん、就業規則作成に向けて社会保険労務士の紹介も可能です。
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