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医院開業コラム
2026.06.22 2026.06.22
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疑義照会は、薬剤師が処方内容に疑問を感じた際に、医師へ確認を行う重要な業務です。誤った処方や相互作用などを未然に防ぐことで、患者の安全を守り、医療の信頼性を高める役割を担っています。
本記事では、疑義照会の基本的な流れから、医師への伝え方、記録・保存のルール、再発防止の仕組みまでを解説します。すぐに使える照会票テンプレートも掲載していますので、ぜひお役立てください。
疑義照会とは、処方箋の内容に疑問があるときに、薬剤師が医師へ確認を行う業務のことです。薬剤師法第24条には、次のように定められています。
「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。」
つまり、薬剤師は「疑わしい点がある場合」に限り照会を行わなければ調剤できないと定められています。すべての処方に対して照会する義務があるわけではなく、「疑義がある場合」に限定されている点が重要です。
一方で、医師にも薬剤師からの照会に対応する義務があります。保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第23条の3には、以下のように記されています。
「保険医は、その交付した処方箋に関し、保険薬剤師から疑義の照会があった場合には、これに適切に対応しなければならない。」
このように、薬剤師と医師はそれぞれの立場から責任を持ち、処方内容の安全性を確認する連携体制をとることが求められています。
疑義照会は単なる確認作業ではなく、患者の安全を守り、医療ミスを防ぐための重要なプロセスです。薬剤師が疑問点を放置せず、医師と協議の上で正確な処方内容を確定することにより、医療の質と信頼性を高めることができます。
疑義照会には、内容や目的によっていくつかの種類があります。
大きく分けると、処方箋の記載ミスなど事務的な不備を確認する「形式的疑義照会」と、薬剤師の専門的判断に基づいて安全性を確認する「薬学的疑義照会」の2つです。
それぞれの特徴と具体的な対応例を理解しておくことで、疑義発生時の対応をより的確かつ効率的に行えます。
形式的疑義照会とは、処方箋の記載ミスや漏れなど、形式上の不備を確認する照会です。
主な例は以下のとおりです。
これらの不備は、医師や事務側の単純なミスが原因であることが多く、処方受付時やレセプト作成前に発見されるケースが一般的です。内容が明確で緊急性も低いため、電話やFAXによる確認で解決できる場合がほとんどです。
薬学的疑義照会とは、薬剤師の専門知識や臨床判断に基づいて行う確認で、患者の安全性に直接関わる重要な業務です。
主な対象は次のとおりです。
特に高齢者や多剤併用患者では、処方全体を俯瞰して判断することが求められます。照会の際は、医師の意図を尊重しながら、「指摘」ではなく「提案」型の伝え方を意識することが重要です。
例:「この用量では副作用リスクが高まる可能性があります。減量のご検討はいかがでしょうか。」
添付文書や信頼できる文献など、科学的根拠を添えて説明できるよう準備しておくと、医師との信頼関係構築にもつながります。
疑義は、調剤のあらゆる段階で発見される可能性があります。特に以下の場面での確認が重要です。
電子薬歴やオンライン資格確認システムを活用すれば、他院処方や併用薬の情報をリアルタイムで確認でき、照会漏れの防止につながります。
疑義照会は、医師との円滑なコミュニケーションが欠かせません。どれほど正しい内容でも、伝え方を誤ると意図が伝わらなかったり、不要な誤解を招いたりする可能性があります。
ここでは、疑義照会を行う際に押さえておきたい連絡手段の選び方と、医師に伝える際の話し方の工夫について解説します。
疑義照会の主な手段は、電話・FAX・電子照会の3つです。それぞれの特徴を理解し、内容の緊急度や診療状況に応じて使い分けます。
いずれの手段でも、個人情報の管理には細心の注意が必要です。FAX送信時は宛先を必ず確認し、誤送信を防止します。電子照会を行う際は、通信の暗号化やアクセス制限など、セキュリティ対策を徹底しましょう。
また、診療時間や医師の勤務状況を考慮することも重要です。定型フォームが用意されている地域では、厚生局や医療機関指定の様式を使用するように注意しましょう。
疑義照会は、誤りを指摘する行為ではなく、患者の安全を守るための確認です。話し方ひとつで、医師の受け取り方や連携のしやすさが大きく変わります。
また、緊急性に応じた対応判断も重要です。禁忌や重篤な副作用のリスクがある場合は、診療中でも電話で即時連絡します。一方、軽微な誤記や記載漏れなどは、FAXや電子照会での対応が適しています。
疑義照会を行っている間は、患者への説明を忘れないことが大切です。照会中であることを明確に伝え、安心感を与える言葉を選びます。
「安全のため、医師に確認しております。少々お時間をいただきます。」
医師を否定するような表現(例:「処方ミス」)は避け、「確認」「安全確保」といった前向きな言葉を使いましょう。処方内容が変更になった場合は、患者が理解しやすい言葉で理由と影響を説明します。
また、照会に時間がかかる場合は、おおよその待ち時間を伝えるとともに、必要に応じて後日の受け取りや再来院を提案します。照会の経緯や患者への説明内容は、薬歴に必ず記録しておくことが求められます。
疑義照会を行った際は、内容や対応結果を正確に記録し、適切に保存しておくことが求められます。これは、処方変更の経緯を明確にし、監査や再調査に備えるだけでなく、患者の安全や業務の信頼性を維持するためにも欠かせません。
ここでは、記録すべき項目や保存方法、法令に基づくルールを整理して解説します。
疑義照会を記録する際には、処方箋の備考欄に必要な情報を正確に残すことが基本です。特に、照会日時や回答者名などの情報は、後日確認や監査の際に重要な証跡となります。
以下に、主な記載項目を整理します。
疑義照会を行った際は、処方箋だけでなく薬歴にも照会の経緯や対応結果を正確に記録することが重要です。これにより、服薬指導の継続性を保ち、再発防止やリスクマネジメントに活用できます。
以下に、記録・保存を行う際の主なポイントをまとめます。
電子薬歴の保存においては、単にデータを保持するだけでなく、「誰が・いつ・どの内容を記録したか」を追跡可能にする仕組みが求められます。
照会時に作成した疑義照会票や回答書、またはFAX・電子照会データも保存対象に含まれます。これらは監査や再調査の際に根拠資料となるため、処方箋や薬歴と併せて保管します。
処方箋の訂正や押印は医師が自ら行うのが原則です。薬剤師が独自に処方内容を変更することはできず、必ず医師の同意・確認を得た上で訂正します。
なお、「1照会につき1枚の疑義照会票を作成する」運用が一般的ですが、これは法的義務ではなく、監査や記録漏れ防止のための慣行として行われています。
保存した記録は、単なる証跡としてだけでなく、薬局内での共有・教育・再発防止にも活用します。再照会事例や注意喚起を職員間で共有し、照会の判断基準を統一することが重要です。
疑義照会は、患者の安全を守る上で欠かせないプロセスですが、同様の照会が繰り返されると、業務効率の低下や医師との信頼関係の損失につながるおそれがあります。
再発を防ぐためには、個人の注意だけでなく、仕組み・教育・連携の三方向からの改善が必要です。
ここでは、疑義照会を減らし、医療現場全体での安全性と生産性を高めるための取り組みを紹介します。
疑義照会の再発は、「単純な記載ミス」や「算定誤り」といった基本的な不備が原因であることが多く見られます。
受付段階で二重チェック体制を整えることで、初期段階での発見率を高めることが可能です。
薬局全体で「疑義照会チェックリスト」を共有し、定期的に内容を見直すことが重要です。また、疑義照会簡素化プロトコール(プロトコール運用)を導入すれば、軽微な事務的疑義を薬剤師の判断で処理でき、医師への照会負担を減らせます。
システムによるエラー防止は、人的ミスを減らす上で欠かせない対策です。業務の属人化を防ぎ、安全性を高めるために、以下の機能を積極的に活用しましょう。
これらの機能を運用することで、個人の経験や記憶に依存せず、システム全体で安全性と業務品質を維持できる体制構築が可能になります。
疑義照会の再発防止には、医師との信頼関係の構築が欠かせません。照会を「指摘」ではなく「情報共有」と捉え、互いに協働して安全性を高める姿勢を意識しましょう。
例:「患者さんの安全のため、確認したい点があります」
このような取り組みを継続的に行うことで、医師との信頼が自然と深まり、結果として疑義照会の質とスピードの両立につながります。
薬剤師間で情報を共有し、教育に生かすことで、再発防止の意識を組織全体に浸透させることができます。
教育・研修・データ分析を体系的に行い、個人対応にとどまらない「組織としての学び」を定着させることが重要です。
照会後にはフィードバックの仕組みを設け、照会が発生した原因と改善策を関係者で共有します。医師からの回答傾向を分析し、薬局側の確認基準を見直すことで、再発防止につながるよいサイクルにつながります。
疑義照会の再発を防ぐためには、一度きりの対策ではなく、継続的なモニタリングと改善の仕組みが必要です。定量的なデータをもとに振り返りを行い、業務品質の向上を図ります。
このように、データを「見える化」して定期的に振り返ることで、個人依存ではない組織的な品質管理サイクルを確立できます。
以下は実務で使用できる照会票の例です。FAX・電子照会いずれにも対応可能です。
[上部ヘッダー] 施設名・薬局名:__________________ FAX番号:________ 電話番号:________
照会年月日: 年 月 日 / 時 分 患者ID(または生年月日):________ 性別:□男 □女
診療科:__________________ 処方箋交付日: 年 月 日 処方医名:________________ 患者氏名:________________
照会区分(該当にチェック) □ 規格について □ 用法・用量について □ 処方内容について(副作用・重複含む) □ 調剤方法について □ その他(____________)
照会内容(問題点・照会理由) _______________________________ (例:処方薬A 50mg ×1日3回 → 添付文書上は1日2回が上限であることを確認)
回答区分 □ 至急 □ 指定日時までに □ その他(____________)
照会先担当者(医師):________________ 回答年月日: 年 月 日 / 時 分 回答者名:________________
回答内容 □ 処方変更なし → 調剤実施してください □ 下記のように修正 _______________________________
連絡先 照会薬局名:__________________ 薬剤師氏名:________________ TEL:________ FAX:________
[下部記録欄] 照会日時:________ 照会方法:□ 電話 □ FAX □ 電子照会 □ その他(________) 照会担当薬剤師名:________________ 修正後処方内容(医師指示後):________________ 薬歴記録完了日:________ 備考:_________________________
疑義照会は、薬剤師が患者の安全を守るために不可欠なプロセスです。処方内容の確認にとどまらず、医師との連携や情報共有を通じて医療の質を高める取り組みでもあります。
近年は電子処方箋やオンライン服薬指導の普及により、照会のスピードと正確性がより求められています。こうした環境変化に対応するには、記録体制・教育体制・連携体制の強化が欠かせません。
日本調剤では、薬局・クリニック双方の業務効率化と安全性向上を支援しています。システムの導入相談、開業支援、スタッフ採用相談などを無料で提供しています。
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