医院開業コラム
今回は『事業計画と資金調達』についてお話しいたします。
事業計画とは、金融機関での融資を受ける際に必要となる書類です。
事業計画は主に投資計画と利益・資金計画を組み合わせて作成します。
事業計画について
(1)投資計画
医療機器や内装工事等の設備資金と経営が軌道に乗るまでの間に必要となる運転資金の総額を計画したものです。
(2)利益・資金計画
一般的に約5年間の事業収支を計画します。
計画策定に際し重要なポイントは、投資計画に対し、資金収支の分岐点に達するまでにどのくらいの期間を要するか、ということです。
具体的には、診療科目ごとの平均単価をもとに、一日平均何人の患者を診察すれば収支があうか、というところまで落とし込み計画を作成する必要があります。
また、資金収支の分岐点に達するまでの期間があまりにも長すぎる場合には、その投資計画に無理があるということになり、投資計画を修正する必要があります。つまり、投資計画と利益・資金計画は一体で考える必要があるのです。
事業計画は、金融機関が融資金額や融資条件を決める際に特に重要視するものです。事業計画の出来栄えにより融資条件が異なってくるため、事業計画の作成は税理士等の専門家に依頼することをおすすめします。
資金調達方法について
続きまして、開業にあたっての資金調達方法についてです。
以下の方法による資金調達が一般的です。
(1)自己資金
自己資金が十分にある場合であっても、金融機関からある程度の融資を受けることをおすすめします。当初から事業計画通りにクリニック運営ができれば問題ありませんが、開業後の不測の事態を想定し、なるべく自己資金は手元に残しておきましょう。
※自己資金は、現金・預金だけでなく、保険の積立金や有価証券なども該当します。
(2)親族からの借入
親族からの借入を検討される際は、税務署に開業資金の贈与を受けたと指摘されないよう、以下の点にご注意ください。
・契約書の作成(金額、返済期間、支払方法等を記載)
借りる金額にもよりますが、利息は無利息でも問題にはなりません。
また、返済期間も実現可能な期間であれば長期にわたる返済も可能です。
・返済の事実(現金返済でなく、銀行口座を通じて通帳に証拠を残す)
親族からの借入は、「あるとき払いの催促なし」になりがちです。
税務調査時に贈与を受けたと認定され、多額の贈与税を支払わなければならない事態も考えられます。従って、親族からの借入であっても、きちんとした返済実績が必要です。
(3)金融機関からの融資
最も一般的な資金調達方法です。この時に事業計画を金融機関に提出し、金額等の融資条件が決まります。
以上のように、資金調達方法は多岐にわたります。
調達方法によって作成する書類も変わってきますので、開業をお考えの際は医業専門の税理士等にご相談ください。
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