医院開業への道

東京23区でのクリニック開業における注意点

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競合クリニックが多い東京23区でのクリニック開業を成功させるには、開業地選びが非常に重要です。開業コンセプトや診療方針に沿った開業エリアを選びましょう。人口や年齢構成、競合クリニックの数などもしっかり確認することが大切です。本記事で詳しく解説しています。

東京23区内でのクリニック開業はライバルが多い

令和元年時点の集計では、東京都の一般診療所の施設数は1万3,707施設です。人口10万人あたりの施設数は98.5施設です。区市町村別に見ていくと、23区は1,056施設、支部が3,089施設、その他(郡部・島部)は57施設と、23区に数が集中していることがわかります。人口10万人あたりの施設数も23区は109.5施設と、東京都全体の割合を上回っています。[1]
この数字を見ると分かるとおり、東京都ではクリニックを開業する医師が多く、とくに23区内は競合がひしめき合う傾向にあるため、開業予定の地域に適した医療サービスを提供することが大切です。

[1]東京都福祉保健局:東京都の医療施設 令和元年医療施設(動態)調査・病院報告結果報告書
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/chosa_tokei/iryosisetsu/reiwa01nen.files/01-iryousisetu.pdf

東京23区内でのクリニック開業で失敗しない2つのポイント

競合が多い東京23区内でクリニックを開業するにあたって、押さえておきたい2つのポイントは次のとおりです。

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1. 物件選びの前に開業のコンセプトを決定する


クリニック開業でまず行いたいのが、開業コンセプトを決めることです。クリニック開業となると、つい物件選びから始めてしまいがちですが、「なぜ開業したいのか、どのような患者に、どんな診療をしたいのか」ということをはじめに決めておくことで、開業地や物件選びの基準が明確になります。
たとえば、一般内科を開業して、風邪や生活習慣病の診療を中心に行う場合と、消化器内科を中心に内視鏡検査や胃カメラ検査などを積極的に行いたい場合では、必要な職員の人数や医療機器、床面積の広さなども変わってくるでしょう。

2. 経営基本計画を立てておく


続いて、経営基本計画を立てておきましょう。診療方針だけでなく、1日に受け入れたい患者の数や検査の回数、目標とする毎月の収益など、具体的な数字を考えておきましょう。
医療機器の選定は特に注意が必要です。最初のうちは過剰に設備を用意せず、少しずつ効果な医療機器を揃えていくといった工夫で、準備資金を節約しましょう。

東京23区内のクリニック開業で押さえておきたい開業地選びのポイント

クリニックの数が多い東京23区でクリニックを開業する際、最も重要なのが開業地の選定です。開業コンセプトや診療方針を通して、「どのようなエリアで、どういった形態の開業場所で開業するか」を選定します。開業地の選定は集患直結するため、慎重に、時間に余裕を持って行いましょう。

1. 開業する場所の形態を決める


まずはクリニックを開業する場所の形態を決めましょう。クリニックの形態としては、主に次の3つがあります。

・一戸建ての物件を借りる・または購入する
・複数のクリニックが入居する医療モールに入る
・ビルのテナントに入居する

車での来院が多い郊外での開業であれば、駐車スペースを確保した一戸建てのクリニックも珍しくありません。しかし、東京23区内となると、よほど資金が潤沢で、診療方針にこだわりがあるというわけでないなら、新規開業で一戸建てを選択するケースは少ないでしょう。多くの場合はビルのテナントや医療モールに入ることになると予想されます。

競合が多い東京23区内でクリニック開業でおすすめなのが医療モールです。さまざまなクリニックが集まる医療モールは、単独でのクリニック開業よりも周辺の住人に認知されやすいというメリットがあります。
また、ほかのクリニックとの連携や、相乗効果による患者数の増加も期待できます。一戸建てやビルのテナントに入居するよりも、開業資金のコストを削減できる点も魅力の1つでしょう。

2. 開業エリアを選定する


開業場所の形態が決まったら、開業コンセプトや診療方針に合わせた開業エリアを選定します。たとえば、小児内科を開業する場合は、保育園やファミリー向けの集合住宅が近い場所が候補になるでしょう。

実際の物件を検討するときにチェックしたい4つの項目

開業エリアと形態が決まったら、開業コンサルタントに物件探しを依頼します。物件に希望する条件をできるだけ細かく、具体的に提示することが大切です。この際、一戸建てがよいか、メディカルセンターなどの医療モールへの入居を希望するかなど、希望する開業場所の形態も伝えておきましょう。

物件の紹介を受けたら、その物件が自分の希望に沿っているか、クリニックの開業地として最適かどうかをしっかり検討します。検討する際は、次の4つの項目をチェックします。

1.物件があるエリアの人口や住人の年齢構成


紹介された物件があるエリアの人口をチェックしましょう。開業地周辺の人口は、クリニックの集患を大きく左右します。また、人口だけでなく、どのくらいの年代が多いか、少ないかといった、年齢構成も調べておきましょう。そのエリアの住人の年齢構成がわかれば、10〜20年後のエリアの人口比率を予測することが可能です。
このほか、厚生労働省発表に受療率を調べるなど、エリア周辺の市場調査を行うことも大切です。

2. 物件周辺の道や人の動き


たとえば同じエリアの物件を2ヵ所紹介された場合は、物件の周辺まで足を運びましょう。同じ駅だとしても、商店街のそばにある、大通りに面している、大通りから1本細い道に入ったところにあるなど、条件が違えば来院する患者数も変わってくるからです。また、いくら大通りに面していても、車が行き交うばかりで人通りが少ない場所もあります。実際にその道を見て、人の流れや動きを確認することが重要です。

3. 交通アクセス


クリニックのどれだけの患者が来院してくれるかは、交通アクセスの状況にも左右されます。車移動が基本の郊外に比べ、電車や徒歩移動で来院することも多い首都圏のクリニックの場合は、交通の便の良さは大きなメリットです。最寄り駅に複数の路線が乗り入れている、駅から近いといった場所が有利になるでしょう。専門性の高い科目の場合、遠方からも患者が来ることもあるため、ターミナル駅のそばなど、より利便性の高い場所に開業するのがおすすめです。


4. 競合クリニックの数や現地の実情


紹介された物件エリアのクリニック数もしっかり確認しておきましょう。そのエリアの人口に対して十分なクリニック数である、または同じ科目のクリニックが近隣に点在しているという場合は、ほかのエリアを検討することも選択肢の1つでしょう。どうしてもそのエリアにこだわりたい場合は、他のクリニックにはない、独自の特色を生かしたサービスを提供するなど、経営戦略に工夫が必要です。

また、いくらマップ上にたくさんのクリニックがあったとしても、実際には無期限休業をとっていたり、医師の高齢が原因で、ほとんど診療を行っていないクリニックがいたりと、現地の実情とは異なる場合があります。
とくに東京23区内の場合、競合が多い、テナント料が高いといった理由で、クリニックの入れ替わりも地方エリアより多い傾向です。正確なクリニック数や実情を知りたい場合は、実際に足を運び、近辺のクリニックの様子を見ることが大切です。

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