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医師の開業に適した年齢は?統計から見る平均とベストタイミング

成功する医院開業への道

医師の開業に適した年齢は?統計から見る平均とベストタイミング

クリニックを開業すれば、理想とする医療を実現できる、勤務医時代より収入がアップするなど、多くのメリットを得ることができます。

いつかは開業したいと考えていても、「どれくらいの年齢で開業すべきか迷う」「開業に適した年齢がわからない」など、タイミングを計りかねている先生も多いのではないでしょうか。

この記事では、医師が開業する平均年齢や適齢期、開業するなら早く動くべき理由などについて解説します。

目次

1.医師が開業する適齢期

少し古いデータになりますが、2009年に日本医師会が行った「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によれば、医師が新規開業する際の平均年齢は41.3歳です。

また以下のように、開業後年数が短いほど年齢が高くなるという結果が出ています。

  • 5年以内:9歳
  • 5~10年:5歳
  • 10~20年:7歳
  • 20~30年:4歳
  • 30年超:5歳

近年は、ある程度キャリアを積み重ねたうえでクリニックを開業するケースが増えていると推察されます。しかし、準備に時間をかけすぎると適齢期を逃す恐れがあるため、タイミングの見極めが重要です。

出典:日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」

 

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1-1 開業医の割合

厚生労働省が発表した「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、病院・診療所合わせた開業医の数は2020年時点で77,728人です。同年の開業率(開業医÷医療施設の従事者数)は24%となっています。

また、2000年時点の統計を見てみると、開業医の数は75,172人、開業率は30.9%です。以降、2020年までの20年間で開業率は低下傾向にありますが、これは母数となる医療施設の従事者数が年々増えていることも影響していると推察されます。

出典:

厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」

厚生労働省「医療施設調査」

1-2 開業医の平均年齢の推移と定年の目安

厚生労働省が発表した「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、診療所の開設者または法人の代表者の平均年齢は2020年時点で62歳です。こちらも2000年以降は年々増加傾向にあるため、開業医の世界にも高齢化の波が押し寄せているといえます。

少子高齢化が急速に進んでいる日本の現状を踏まえれば、今後も引き続き開業医の平均年齢は上昇すると考えられるでしょう。

一方で、開業医は勤務医と違って定年制度がありません。医師免許も一度取得したら基本的に生涯有効なので、体力と気力が続く限り柔軟に長く働き続けることができます。

開業医の引退年齢に関する詳しい統計データはありませんが、日本医師会の「日医総研ワーキングペーパー」によると、70~75歳で引退を予定している医師が多いようです

出典:日本医師会「日医総研ワーキングペーパー」

 

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2.開業のタイミングを決める上で考えるべき問題

医師 イメージ
開業医における年齢のボリュームゾーンは40代前半です。しかし、年齢はあくまで開業のタイミングを計る指標の一つに過ぎません。

開業のタイミングを決めるにあたって考えるべき3つの問題について解説します。

2-1 能力・経験

開業医として働く場合、患者の診療を日々行うだけではなく、クリニックの集患施策について検討したり、スタッフの採用や教育に携わったりする必要が出てきます。医師・経営者・管理者という3つの役割を担わなければならないため、経営やマネジメントに関する能力・経験もある程度積んでおくことが望ましいといえるでしょう。

ただ、近年は立地選びや資金回収のことを踏まえ、早期の開業を選択するケースも多く見受けられるため、先を越されないタイミングで動くことも大切です。

2-2 資金

開業医として成功するためには、開業前の段階から資金繰りも含めた事業計画をきちんと立てておくことが必要不可欠です。

クリニックを新規開業する場合、物件取得費・内装工事費・設備購入費・運転資金など、さまざまな費用がかかります。数千万円以上かかるケースも珍しくないので、銀行などの金融機関から融資を受けることも検討すべきでしょう。実際、借入している開業医は多いため、資金調達の方法として銀行融資は一般的です。

ただし、最近の銀行融資では審査にあたって、年齢・自己資金・借金の有無などが考慮されています。50代だと数千万単位の自己資金がなければ借入不可になるケースも増えているため、ある程度の自己資金は準備したいところです。

2-3 日本の医療環境の変化

少子高齢化の進行や人口減少といった社会問題、政府が打ち立てた経済政策の影響を受けて、日本の医療環境も日々変化しています。医師の需給バランスはもちろん、患者の人口動態や治療ニーズの変化、地域医療構想に関する取り組みなどを踏まえて、開業までのスケジュールやクリニック経営の方向性を検討することが大切です。

また、開業後のライフプランを立てておくことも重要となります。結婚・子どもの入学・両親の年金受給・退職など、先生個人のプライベートな事情も考慮しつつ、具体的なプランを固めておけば、開業のタイミングも計りやすくなるでしょう。

「開業に向けて何をすべきかわからない」「ライフプランがまとまらない」という場合、一度コンサルタントなどに相談することをおすすめします。

 

3.医師が開業を志す理由

クリニックの開業を検討している場合、その理由について考えることも大切です。「なぜ開業したいのか」を明確化しておけば、開業のために自分がすべきことも見えてきます。

医師が開業を志す代表的な理由をまとめました。

3-1 理想の医療を追求するため

医師とコンサルタント
日本医師会の「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると、新規開業の理由として最も多かった内容が“理想の医療の追求”です。

勤務医の場合、経営方針や診療コンセプトは雇用主である病院が決めるので、それに従って働く必要があります。立場上、理想の医療を実現することは簡単ではありません。

一方、開業医は勤務医と比べて裁量が大きく、クリニックをどう経営するか自由に決められるため、自分が目標とする医療水準や診療スタイルを実現可能です。自分が主体となって動く分、地域医療への貢献も実感しやすいでしょう。

3-2 経営も含めたやりがい

経営者として働くことにやりがいを感じて、クリニックの開業に至るケースもよく見受けられます。

勤務医の業務内容はさまざまですが、基本的に医師としての役割が求められるため、経営に深く携わることはありません。

一方、開業医は経営者でもあるので、勤務医とは異なる業務を数多くこなす必要があります。集患施策・広告宣伝・人材マネジメント・業者選定など、やるべき仕事は一気に増えますが、その点にやりがいを見出す先生も多いということです。

ただ、自分の判断によってクリニックの経営状況が左右されるため、負うべき責任が大きくなることも覚えておきましょう。

3-3 勤務医として働く上での問題

“勤務医として働くことに不安を感じた”という理由から、開業医の道に進んだ先生も少なくありません。具体的な理由は以下の通りです。

  • 勤務医の将来性に限界を感じた
  • 過重労働による負担が大きい
  • 拘束時間が長い
  • 精神的なストレスで疲弊した
  • 収入が少ない

また、育児や介護といった“家庭の事情”も上位に挙げられる理由です。例えば、女医の先生なら子育てと仕事を両立できるよう、家の近くにクリニックを建てて開業するケースがよく見受けられます。最近だと男性の育児参画が進んでいるため、もちろん男性の医師にも当てはまるケースです。

このようなライフステージに合わせた開業事例は多いので、周囲に聞いてみるのも一案といえるでしょう。

 

4.開業の適齢期と年齢別の開業スタイル

クリニックの開業に年齢制限はありませんが、求められる能力・経験や今後のライフプランを踏まえると、やはりタイミングが重要となってきます。

開業の適齢期および年齢別の開業スタイルをまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

4-1 30代~40代

医師としてのキャリアや準備期間、開業医として働く年数のバランスを考慮すると、クリニックの開業は30代~40代の時期がおすすめです。

特に必要なスキルがしっかり備わり、ある程度の自己資金も準備できます。なおかつ開業時の借入金の返済にも十分な期間をとれる40歳前後は適齢期といえるでしょう。借入金の返済期間は10年~20年が一般的であり、金融機関は65歳ぐらいに返済が終わると見込んで貸し出すため、それを踏まえると45歳くらいまでには決断したいところです。

また、近年は30代前半の早いタイミングで開業する医師も増えています。30代の若い時期なら自己資金が少なくても、将来性を踏まえて融資の審査が通りやすい傾向にあるため、選択肢の一つとして検討する価値は高いでしょう。

4-2 50代以上

近年は開業する医師の年齢層が拡大しており、50代になってから独立を目指す医師も増えています。実際、昔と比べると今の50代は若々しく、体力や気力もまだまだ充実している傾向にあるので、遅すぎるということはありません。

ただ、50代以上で開業する場合、年齢的に開業医として働ける期間はどうしても短くなり、融資の審査にも通りにくくなる傾向にあるため、初期投資を抑える工夫を検討したいところです。

また、自分が高齢かつ子どもが医師として働いている場合、開業後にクリニックを継がせるという選択肢もあります。

 

5.なぜ開業するなら早く動いたほうがいいのか?

前述の通り、近年はクリニック開業時の年齢が高くなっている傾向にあり、50代で開業するケースも見受けられます。しかし、開業後の経営リスクを考慮すると早めに準備を進めたほうが得策です。

5-1 良い条件の立地は早い者勝ち

クリニックの立地の良し悪しは、開業の成功を最も左右する要素といっても過言ではありません。「駅やバス停から近い」「競合するクリニックが少ない」といった立地を確保すれば、スムーズに集患できるようになるので、結果として経営が軌道に乗りやすくなります。

ただ、良い条件の立地は当然ながら人気が高く、開業すべきかどうか迷っているうちに、他の医師に先んじて取得されてしまう可能性もあります。

診療コンセプトやターゲットとなる患者層を踏まえつつ、自分に合った開業場所を早めに確保することが大切です。

5-2 事前の知識・情報の取得が経営成功のカギ

開業医はクリニックの経営にも携わるので、あらかじめ経営に関する知識・情報を取得しておく必要があります。しかし、勤務医として日々診療しているだけでは、経営ノウハウを身につけることは困難です。

30代~40代は診療経験をある程度積み、医師としての自信もついてくるので、働きながら経営ノウハウを学ぶなら最適な時期といえます。逆に50代以上の場合、新しい知識・情報を学ぶことは、想像以上に大きな負担を感じてしまうかもしれません。

 

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6.勤務医と開業医の年収の違い

医師の年収 イメージ

開業医は勤務医より高年収といわれていますが、実際にどれくらい差があるのか知りたい先生も多いのではないでしょうか。

厚生労働省が発表した「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)」によると、個人診療所の損益差額は2019年時点で27,445,000円、2020年時点で22,982,000円です。

また、医療法人の院長の給与は2019年時点で27,834,800円、2020年時点で27,299,869円です。こちらは開設者ではない雇われ院長も含まれます。

一方、勤務医の年収は2019年・2020年ともに1,000万円前後です。そのため、開業医の年収は勤務医の2~3倍ということになります。

出典:厚生労働省「医療経済実態調査」

6-1 診療科別の開業医の年収ランキング表

開業医の年収は診療科によっても変動しますが、数千万単位の差が生じるケースもあります。以下は「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)」のデータをもとに作成した、診療科別の年収ランキング表(2019年・2020年)です。

【2019年度】

診療科目 損益差額
眼科 40,918,000
精神科 33,804,000
耳鼻咽喉科 33,188,000
整形外科 32,042,000
皮膚科 31,252,000
小児科 24,574,000
内科 24,550,000
産婦人科 19,737,000
外科 11,784,000

 

【2020年度】

診療科目 損益差額
眼科 35,588,000
精神科 32,797,000
皮膚科 29,068,000
整形外科 26,969,000
耳鼻咽喉科 21,210,000
内科 20,503,000
産婦人科 19,718,000
小児科 15,231,000
外科 11,589,000

出典:厚生労働省「医療経済実態調査」を基に表を作成

 

上位の眼科と精神科は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きかった2020年度においても、ある程度の利益を維持していました。損益差額(利益)は、「収益ー経費」で計算されるため、患者数が多くて安定的な収益を得られ、人件費や設備投資などコストを抑えられると利益を確保しやすいといえます。

6-2 クリニック開設数の多い診療科は?

厚生労働省が発表した「令和2年医療施設(静態・動態)調査」によると、最も多い診療科は内科です。診療科別のクリニック開設数を表形式でまとめました。

 

2014年 2017年 2020年
内科 63888 63994 64143
小児科 20872 19647 18798
消化器内科(胃腸内科) 18658 18256 17731
循環器内科 13097 13057 12807
皮膚科 12328 12198 12410
整形外科 12792 12675 12439
外科 13976 13076 12405
リハビリテーション科 12198 11834 11458
眼科 8260 8226 8244
アレルギー科 7241 7475 7724

出典:厚生労働省「医療施設調査」を基に表を作成

 

内科のようにクリニック開設数が多い場合、競争も激化する傾向にあります。そのため、集患しやすい好条件の立地を選んだり、他院との差別化を図ったりするなど、綿密な戦略を立てたうえで開業することが大切です。

7.開業したいなら早めに実績のあるコンサルタントに相談すべき

リニックの開業に年齢制限はなく、開業医には定年制度が存在しないので、50代以上でも開業医の道に進むことはできます。しかし、スキル習得や借入金の返済などを踏まえると、開業の適齢期は40歳前後です。

そして、クリニック経営を成功させるためには、年齢に応じて開業場所を選定したり、事業戦略を考えたりすることも重要となります。開業を検討しているなら、早めに実績のあるコンサルタントへ相談すべきです。

日本調剤では、開業準備前・開業準備・開業後の3ステップに分けて支援サービスを提供しています。希望エリアでの物件探しや診療圏調査、広告宣伝やスタッフ採用の支援など、幅広いサポートを無料で行っているので、ぜひ一度お問い合わせください。

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