医院開業コラム
今回も院長がスタッフに提示するべき定義のお話です。今回は、8つの定義のうちの最後の2つについてお伝えします。
組織づくりにおいて定義するべき項目の7つ目は『育成指導』です。これまで、4つ目の定義『編成と指示』で業務の役割と内容の指示を行い、6つ目の定義『期待能力の提示』で各々のスタッフに、身につけてもらいたい技能や知識は何かを伝えてきました。ここでは、スタッフそれぞれに期待する役割や能力を発揮してもらうため、実際の業務の中や診療時間外に指導を行なっていきます。
診療に直接関連する業務については医師である院長先生が直接指導することで、間違いのない医療サービスを提供することができるようになります。また、ここでしっかりスタッフの指導をしておくと、ゆくゆく院長先生ご自身の業務負担が軽減されていくことになりますので、ぜひ信頼して任せられるスタッフを育成しましょう。
診療に直接関わらない受付や会計などの事務的な業務や、ホスピタリティの部分については、リーダー格のスタッフにお任せしても良いかもしれません。こうしたリーダー格のスタッフを育成するためにも、最初は丁寧な育成指導が求められます。
業務指導の際には、細かい行動レベルに落とし込んでゆっくり説明すること、一度目の前でやってみてもらう、できた行動をすぐに褒める、という原則を意識してみてください。できた行動についてすぐに褒めることで、行動が定着しますし、自信をつけてもらうことができます。自信がつくことで、次にまた新しいことができるようになるのです。
そして最後、8つ目の定義は『実績の評価』です。与えられた役割や期待された業務、設定した目標に沿った業務を行うことができたか、フィードバックをする機会を必ず定期的に設けるようにしましょう。少なくとも1年に1回、可能であれば半年に1回や、4半期に1回の頻度で行うことが理想です。定期的にフィードバックを行い、しっかりと話し合いを行っていれば、あらゆるトラブルを未然に防ぐことができます。
フィードバックの際に気をつけることは、スタッフが驚くような評価をしないということと、直近の動きだけで評価をしない、という2点が挙げられます。驚くような評価とは、良すぎる評価、悪すぎる評価、どちらも該当します。また、直近の行動で評価をしてしまったり、一つ何か良い面、悪い面がある場合にそれに引っ張られて全体の評価をしてしまう、ということをしがちです。しかしながら、こうした評価ではご本人も納得しない上、もしも周囲に知れた場合にはその後の組織運営に大きく影響を及ぼすことになってしまいます。
評価とフィードバックはとても慎重に行う必要があることがお分かりいただけましたでしょうか。一方で、適切な評価、つまり本人にとっても納得感のある評価は、スタッフの向上心を刺激し、さらなるレベルアップに導くことにもつながりますので、ぜひ工夫して有効に活用していただきたいと思います。
今回は、組織づくりで定義すべきことの最後の二つ、育成と評価のお話でした。院長先生が必要な診療に専念できるよう、適切な指導と評価で、個々のスタッフのレベルアップを図りましょう。
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