医院開業コラム
開業スタート時のスタッフさんは、看護師1~2名、受付スタッフ2名くらいというパターンが多いようです。前職の職場から、「先生が開業されるならぜひお手伝いします!」と来てくださる気心が知れたスタッフもいるでしょう。
また、求人広告を見て応募する近隣にお住まいのスタッフもいるでしょう。
先生のクリニックにかける想いに賛同してくださって、一緒に良いクリニックを作り上げていく大切な仲間ですね。
ところが、数か月もたたないうちに退職者が出てしまう…というケースも少なくありません。せっかく仕事にも慣れてもらったところで辞められてしまうと日々の業務に支障をきたす上に、再度の求人には費用も時間もかかってしまいます。開業後の先生方の一番の悩みは「人」というくらいですから、なんとかここをうまく乗り切りたいところです。
とあるクリニックでは、先生が怒ると舌打ちをするのが日常で、それが怖くてトラウマになり辞めてしまったスタッフがいました。また、別のクリニックでは先生の指示の声が小さく、ボソボソと喋るため聞き返すと、「忙しいのに何度も同じこと言わせないでよ」と、その瞬間は大きな声で叱責され、「日常的にストレスを感じて胃が痛いです。」と話すスタッフもいました。
仕事の悩みを家庭に帰ってご主人に話したところ、「それはパワハラだろう」と怒って、クリニックに怒鳴り込まれるケースもあります。それだけではすまず、万が一スタッフさんが仕事上のトラブルが原因で体調を崩してしまった場合、ご家族から損害賠償を請求されるケースもあるのです。
また先生の知らないところで、実はスタッフさん同士が揉めていて、それが原因で一方のスタッフさんが精神的苦痛により体調を崩し退職を余儀なくされたとして、クリニックの管理者である先生が使用者責任を問われて訴えられるケースもあります。
一般の企業では、労働関係訴訟は増加傾向にあるということで社内教育や環境整備を進める一方、万が一の損害賠償に対する備えとして、使用者賠償責任保険に加入するケースが増えています。
パワハラなんて大きな企業の中での話とか、TVドラマの中で大げさに表現されているだけと思ったら大間違いです。今はハラスメントに非常に敏感な時代です。先生が以前の職場では普通であったり、大目に見てもらっていたことが許されないケースに発展することがあります。
ハラスメントにハラハラしないため、まずはクリニック内でハラスメントに対する研修の時間を設けたりするとともに、万が一の備えとして使用者賠償責任保険への備えも検討されてみてはいかがでしょうか?
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