多くの患者さまから支持される医院に共通する重要なポイントとして、
「受付・看護師などのスタッフの患者様への接遇が良い」という共通点があります。
クリニックに来院して最初に患者さまが接するときも、診察を終え、会計をしてお帰りになるときも、受付スタッフが顔を合わせます。最終的に患者さまの印象に残るのは、「先生の診察が丁寧だった」ということよりも、「受付の対応が良かった・悪かった」ということの方が大きいようです。
医師は診察室から離れられないため、実際には受付の対応がどのような状況なのか分からないことが多いかと思います。そのため、先生から「受付の対応が気になるから見て欲しい」とご要望をいただくことも多いです。
また、接遇だけではありません。クリニックの運営において、スタッフが果たす役割も非常に大きいものです。
患者登録、カルテ入力、会計、レセプトチェック、クレーム対応、物品管理、診療補助などなど、スタッフが居なくてはクリニック運営は回りません。
今回お伝えしたいのは、「患者さまから選ばれる医院」であるためには、
スタッフの役割が大きな割合を占める、ということです。
スタッフの質を上げるということ
コンサルティングを行う中で感じるのは、「医師3割、スタッフ7割」、といっていいほど、スタッフによって医院の良し悪しは決まるということです。スタッフの質を上げる。これは、クリニック経営を続ける中で永久の課題です。
仕事柄、従業員500名を超えるような医療法人の経営者の方とお話する機会がありますが、規模の大きい法人の経営者が最終的に悩み続けるのが、人の採用と教育です。逆に言うと、規模の大小に関わらず、経営者が悩むのは「人の問題」ということです。
これからのクリニック経営において大切なのは、「良い人財を辞めさせないこと」と「良い人財が働きたくなる職場作り」
の2つです。
そのような職場にするポイントは以下の3点です。
(1)必要最低限の人数、ではなく、ある程度人員的余裕を持った人員体制
(2)有給などを含めた、休みを取りやすい環境
(3)スタッフ一人ひとりが成長を実感できる、キャリアステップ・教育体制
特に(1)が重要です。
人件費を抑えるために必要最低限の人員体制(例としては、受付2人だけ、など)を取っていることが多いのが実情ですが、そういった医院のスタッフから面談の際に必ず言われるのが、「院長は有給を取れ、というけれども、自分が休んだら他の人に迷惑がかかるから休みなんて取れない」という言葉です。
安定した医院経営を行うためには、人を雇うことを恐れないことが大事です。開業してすぐは、医院の医業収入も安定せず、人件費を抑えるために必要最低限の人員に絞った運営を行うのはしょうがありません。
しかし、患者数が安定してきた医院は次のステップに移行することが望ましい、と感じます。
■パート中心の体制から常勤中心の体制へ
■ぎりぎりの人数から、余裕を持った人員体制へ
この2つがキーポイントです。
人件費が上がることを恐れて人を雇うことに躊躇すると、クリニック経営が3年後、5年後に行き詰る最大の理由になります。
そういった目線から、自院の人員体制が最適かどうか、是非ご自身の考えを見直していただきたいと思います。