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医師の年金戦略|勤務医・開業医で変わるポートフォリオ、医師年金の活用法
医院開業コラム
クリニックにまつわるお金の話
2025.09.26 2025.09.26
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医師は、勤務医から開業医、さらには医療法人化へとキャリアが変わるたびに、加入できる公的年金や、そのほかの年金の仕組みは大きく入れ替わります。
本記事では、「勤務医」「開業医」「法人役員」それぞれのステージで最適化すべき年金ポートフォリオを解説します。厚生年金と国民年金の違いから、日本医師会「医師年金」、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)、国民年金基金の使い分けまで、数字と具体策を交えてお届けします。
勤務医と開業医では、公的年金の「加入先」と「保険料の計算方法」が異なります。まずはそれぞれが加入する厚生年金と国民年金の仕組みを個別に確認し、掛金と将来受給額がどのように異なるのかを整理しましょう。
厚生年金の保険料率は18.3%で固定されており、病院と医師が9.15%ずつを負担します。標準報酬月額が上限の65万円と想定した場合、医師が負担する厚生年金保険料は月59,475円、年間約71万4,000円です。なお、実際の報酬が上限の65万円を上回ったとしても、標準報酬月額は上限である65万円で登録されます。将来の受給額は、「報酬比例部分」と「老齢基礎年金」の合算で決まります。報酬比例部分は、厚生年金に加入していた期間中の標準報酬月額および標準賞与額に基づいて計算されます。そのため、加入期間が長く、かつ報酬が高いほど年金額も増加します。
開業医が加入する国民年金は、令和7年度は定額の月額17,510円です。保険料を40年満額納めても、老齢基礎年金は年約80万円にしかなりません。収入が勤務医より高くても、公的年金だけ見ると年金の支給額には大きな差が出てしまいます。
ここまでのポイントを一覧にすると、同じ医師でも勤務形態の違いだけで保険料負担と老後の受取額に大きな開きが生まれることが分かります。
厚生年金は保険料の半分を病院が負担してくれるため、自己負担と受給額のコストパフォーマンスが高いといえます。国民年金は負担が軽い反面、年金の上乗せ対策が不可欠です。
公的年金の仕組みを詳しく知りたい方は、以下の参考記事をご参照ください。
開業医になったら年金はどうなる? 老後資金のために今からできること
日本医師会「医師年金」は会員だけが入れる積立型・終身給付の私的年金です。国民年金だけでは不足しがちな開業医だけでなく、報酬比例部分があっても将来の不確実性が気になる勤務医にとっても、老後資金をさらに厚くできるメリットがあります。
医師年金の主な内容は、以下の表のとおりです。
基本年金保険料
(全員必須)
年払138,000円
※払込時の年齢に応じた金額を払い込む、一括払も可
加算年金保険料
随時払1口10万円(回数・金額上限なし)
参考 医師年金の特長
医師年金の主な特徴として、以下の点が挙げられます。
医師年金は日本医師会の会員しか入れない完全クローズドな私的年金です。公的年金ではないため設計の自由度が高い点が特徴です。「自分で積み立てて、自分で受け取る」シンプルさが最大の安心材料です。
「長生きリスク」を丸ごと引き受けてくれる終身タイプ。しかも5年・10年・15年の保証期間付きコースも選べるため、年金の受取期間を柔軟に調整できます。「生きている限りずっと年金がもらえる」という安心感は、確定拠出年金や投資信託では得がたいメリットです。
加算保険料は6千円単位で増減自由です。以下のようなライフステージに応じた掛金の調整が可能です。
上記のように柔軟なキャッシュフロー管理ができます。随時払い(10万円/口)を使えばボーナスや臨時収入をそのまま年金原資に回すことも可能です。
「まだ現役で診療したい」「もう少し掛金を積み増したい」
このような場合は、受給開始年齢を最長75歳まで繰り下げ可能です。繰下げ期間中も掛金を払えるため、年金額をさらに押し上げられます。長く働く医師ほど恩恵が大きい仕組みです。
厚生年金に報酬比例が付く勤務医と、国民年金だけの開業医では老後の年金の金額に大きな差が生じます。国民年金だけでは老後資金が手薄になりがちな開業医はもちろん、報酬比例の厚生年金があっても将来のゆとりに不安を覚える勤務医にとっても、医師年金は老後の資金源をもう一つ増やせる頼もしい仕組みといえるでしょう。
老後資金づくりには「公的年金+医師年金」だけでなく、自分で積み立てて上乗せできる年金をどう組み込むかがポイントになります。
代表的なものが、確定拠出年金(DC)と国民年金基金です。確定拠出年金は「掛金を自分で拠出し、運用結果しだいで将来の受取額が決まる」制度で、勤務先が導入する企業型DCと、個人で加入するiDeCo(個人型DC)の2種類があります。
一方の国民年金基金は、原則として厚生年金や共済組合に加入しておらず、国民年金保険料の免除を受けていない(特定の免除を除く)国民年金第1号被保険者が加入できる、終身給付型の確定給付年金です。
これらの制度は掛金が控除されるため、老後資金を効率よく増やせます。勤務医・開業医それぞれがどの枠を優先すべきか、以下で具体的に説明します。
勤務医は厚生年金という強力な土台をすでに持っていますが、公的年金+医師年金だけでリタイア後の生活が十分かというと、インフレやライフスタイルの変化を考えると不安が残ります。
そこで活用したいのが、勤務先の病院が導入している企業型確定拠出年金(企業型DC)です。企業型DCの主な特徴は、以下の表のとおりです。
まずは、勤務先の人事・総務部に企業型DCを導入しているかどうか確認しましょう。導入されていれば、「企業型DCの掛金上限はいくらか」「マッチング拠出※があるか」に関しても確認します。
※病院が拠出する企業型DCとは別に、本人が同額まで追加拠出できる制度
掛金の上限を確認した上で、その範囲内でご自身の家計状況や将来の目標額に応じて掛金を設定しましょう。初期設定で元本確保型の投資先が選択されている場合は、インデックスファンドへスイッチングを行うと長期的な複利効果が期待できます。まだIDeCoを利用していない勤務医の方は、検討してはいかがでしょうか。
開業医は厚生年金に加入できないため、公的年金は国民年金(1階部分)のみです。そこで欠かせないのが、2階部分を自分で積み増す国民年金基金とiDeCo です。
詳細
iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等
有期年金も存在する
国民年金基金とiDeCoを併用するメリットとしては、国民年金基金を「終身年金」として設計し、iDeCoで「攻めの運用」を行える点です。
国民年金基金は、開業医にとって終身で受け取れる年金を準備できる、現実的かつ制度的に安定した手段といえます。掛金や将来の年金額は、加入時の年齢や性別、給付の型、加入口数によって変動しますが、確定給付型であるため、将来の受取額をあらかじめ見通しやすい点も特徴です。基本は終身型を掛金月3万円程度で設定し、基礎年金と合わせて老後の最低生活費を確保します。
国民年金基金で土台を固めたら、残った控除枠月3.8万円をiDeCoへ振り分け、世界株式インデックス(信託報酬0.15%前後)を中心に据えて資産運用を狙いましょう。事業が不安定な年は掛金を減額・停止できる柔軟性も魅力です。運用益は非課税で再投資され、60歳以降に年金または一時金として受け取れます。
より安定を求める場合は国民年金基金の掛金を増やし、積極的に資産運用を行いたい場合はiDeCoの掛金を増やし調整を行える点が、国民年金基金とiDeCoを併用する大きなメリットだといえます。
医師が選ぶべき年金の組み合わせは、「これからどんな立場で働くか」で大きく変わります。
勤務医として雇用され続けるのか、独立して開業医になるのか、それとも医療法人化して再び厚生年金に戻るのか、キャリアの節目ごとに最適な年金ポートフォリオは異なります。
「勤務医を継続」「勤務医から開業」「開業医の法人化」の3段階に分けて、具体的な掛金配分と節税メリットの取り方を整理しました。
大学病院や急性期センターでキャリアを重ねる勤務医にとって、厚生年金が老後資金の中心になります。さらに勤務先が導入している企業型DC(確定拠出年金)を上限まで拠出すれば、「公的年金+変動型年金」の二層構造が完成します。
次に、日本医師会の医師年金を「確定給付の補強策」として追加します。ただし掛金をかけすぎると手取りが減るため、基本年金(12,000円)+加算3口(計3万円程度)を目安に無理なく設定するとバランスが取りやすいでしょう。
開業の5年前には、医師年金を最低2口(基本+加算)でスタートし、将来の終身給付に備えるとよいでしょう。開業初年度はキャッシュフローが不安定になりやすいため、iDeCoを無理のない範囲で継続します。2年目以降に売上が安定したら、iDeCoの増額や国民年金基金への加入を行い、月6.8万円の控除枠を使い切りましょう。
上記の運用を行うことで、「医師年金(終身)+国民年金基金(終身)+iDeCo(運用)」の三本柱が完成し、国民年金の不足を補う体制が整います。
医療法人へ移行すると、再び厚生年金へ加入できます。厚生年金の標準報酬月額の最大である63.5万円以上になるように役員報酬を設定すると、拠出上限額が増加します。同時に法人として企業型DCを導入することもできるため、拠出上限は一気に広がります。
もちろん、役員報酬を引き上げれば社会保険料の負担は増えます。しかし、負担の増加に従い厚生年金の報酬比例部分が厚くなり、課税前のお金を将来に移せるという節税効果が期待できます。
医師年金は法人化後も継続し、企業型DCでは信託報酬の低いインデックスファンドを中心に長期運用を行います。
結果として、「厚生年金(報酬比例)+医師年金(終身固定)+企業型DC(運用)」という三層構造を整えれば、個人事業主時代よりも安定度と将来の受取額が大きく向上するでしょう。
医師の年金戦略は、「勤務医・開業医・医療法人役員」というステージごとに大きく姿を変えます。
勤務医の強みは、厚生年金と企業型DCを生かした報酬比例+変動運用。開業医は国民年金しかないため、医師年金・国民年金基金・iDeCoによる二重三重の上乗せが必須です。さらに法人化すれば厚生年金が復活し、企業型DCの枠も利用できます。
ポイントはただ一つ、キャリアが変わるたびに掛金上限・控除枠・商品配分を必ず再計算することです。終身で守る医師年金や国民年金基金、運用で増やす企業型DCやiDeCoを適切に組み合わせれば、生涯受取額と節税効果の両方を最大化できます。
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