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開業前に理解しておきたい応召義務と診療体制のポイント
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2026.05.20 2026.05.20
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クリニック開業では、意外と見落とされやすいのが「応召義務への備え」です。
診療時間の設定、専門外の症例への対応、時間外の緊急受診、迷惑行為への対処、医療費未払いなど、開業後には教科書どおりでは判断しにくいケースが発生することがあります。
こうした場面で判断基準があいまいなまま対応すると、クレームにとどまらず、医療安全上のリスクや民事責任に発展する可能性があります。一方で、応召義務は「すべての患者さまを無条件で受け入れる義務」ではありません。正しく理解すれば、クリニックを守るための重要な判断軸として機能します。
この記事では、応召義務の基本と実務上の注意点を整理し、開業医がトラブルを防ぐために整えておくべき診療体制や院内ルールについて解説します。
応召義務とは、医師法19条・歯科医師法19条で定められた「正当な理由なく診療を拒んではならない」という医師の基本原則です。文言は一見シンプルですが、実際には診療時間外の来院、専門外の症例、迷惑行為を伴う患者さまなど、判断が難しい場面が少なくありません。
この義務は、医師個人が国に対して負う「公法上の義務」であり、患者さまとの契約関係とは別次元のものです。応召義務に違反した場合の刑事罰は規定されていませんが、繰り返しの悪質な行為は行政処分の対象となる可能性があります。
また、応召義務は公法上の義務であるものの、裁判実務では、応召義務の趣旨が「患者保護の規範」として用いられ、診療拒否を理由に医療機関側の損害賠償責任が認められた事例も存在します。
そのため実務上は、「応召義務違反=直ちに処罰されるか」よりも、診療拒否の判断が過失と評価され、民事上の責任を問われるリスクがある点にこそ注意が必要です。
参考資料
厚生労働省がまとめた「医師の応召義務について」の報告資料では、医師法19条に基づく応召義務の法的位置づけや、解釈の変遷が整理されています。
本資料は、応召義務が 公法上の義務であることを確認するだけでなく、私法上の責任(損害賠償責任)との関係で、実際の地裁判例が紹介されている点でも重要です。
条文が示すポイントは以下の3点です。
1.対象は「診療に従事する医師」全般 自宅開業医、勤務医、当直医など、公衆または特定多数への診療を提供する医師が含まれる。
2.「診察・治療の求め」は初診に限らない 入院中の依頼や継続診療中の追加要請も含まれる。
3.正当な事由がなければ診療は断れない 正当な事由の判断は、厚労省通知や判例を踏まえて個別具体的に行われる。
応召義務違反自体は公法上の問題ですが、重篤な患者さまを不適切に断った結果、生命・身体に重大な損害が生じた場合には、民事上の過失が認定され損害賠償責任を負う可能性があるため、注意が必要です。
応召義務の背景には、次の2つの要素があります。
1.医療が公共性の高いサービスであること 国民が必要な医療にアクセスできるよう、診療拒否には制限が設けられている。
2.医師が医業独占の地位を与えられていること 国家資格者だけが医療行為を行える代わりに、公共的責務として応召義務が課されている。
もともとは戦後の医療資源不足の時代に制定された規定ですが、現在でも「患者保護」と「医療アクセスの確保」の原則を示す重要なルールとして位置づけられています。
応召義務は、開業医・勤務医を問わず、医師個人に課される義務です。そのため、診療時間内の患者さまは原則として受け入れる必要があります。
ただし、以下のような場合は「正当な事由」と認められると考えられます。
なお、診療時間外であっても、患者さまの生命に危険が及ぶ状況では、医師には最低限の対応が求められます。具体的には、可能な範囲での応急処置や、より適切な医療機関への速やかな紹介が基本となります。こうした手順を踏まずに完全に門前払いをする対応は、医師としての注意義務を尽くしていないと評価されやすく、民事責任に発展する可能性があります。
また、医療費不払い・軽度のトラブルは診療拒否の理由になりません。厚労省は、単なる未払いを診療拒否の正当な理由とは認めていません。やむを得ない事情が客観的に説明できる場合のみ、例外的に拒否が認められます。
参考
医師の応召義務について
医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究について
応召義務は「診療を求められたとき、正当な事由なく拒めない」という一文で語られますが、その裏には公法・民事・行政の3つの領域にまたがる独自の責任構造があります。特に開業医にとって重要なのは、応召義務そのものに刑事罰はなくても、判断を誤れば民事責任(損害賠償)や行政上の評価に直結するという点です。
また、応召義務は患者さまとの契約義務ではなく、医師が国に対して負う公法上の義務として整理されており、診療拒否の判断が病院組織ではなく「医師個人」に帰属する点も特徴です。ただし実務では、診療拒否が問題になったとき、個人の判断だけでなく医療機関全体の体制整備の不備(ルール不足・記録不足・連携不備)が問われる傾向があります。
そのため、応召義務を正しく理解するには、下記の点を理解しておくことが不可欠です。
以下では、応召義務の法的な位置づけと責任の分類を踏まえ、開業医が現場で判断を誤らないための基準を解説します。
医師法19条・歯科医師法19条が定める応召義務は、「正当な事由なく診療を拒んではならない」という公法上のルールです。厚生労働省の通知では、これは患者さまとの契約上の義務ではなく、医師が国に対して負う義務と整理されています。
制定当初(昭和23年)は医療資源が不足しており、地域医療を維持するために個々の医師の協力が不可欠でした。この歴史的背景が応召義務の根幹となっており、現在も「医療の公共性」や「患者さまの生命・身体の保護」を支える重要な原則と位置づけられています。
応召義務違反には、刑事・行政・民事の3つの観点からリスクが生じます。ただし、医師法19条自体に罰則はなく、もっとも現実的に問題となるのは「民事責任」です。
どのような場合に責任が問われ、どのようなケースでは問われにくいのかを理解しておくことが、日常診療における適切な判断につながります。
診療を引き受けるかどうかの判断は、応召義務の中でももっとも誤解の多い領域です。同じ「受け入れ拒否」であっても、状況によっては過失と評価され賠償責任が問われる場合と、正当な事由として適法と判断される場合があります。
ポイントは、医療機関が医学的に妥当な判断を行い、患者さまの生命・身体を守るために必要な措置を尽くしていたか、そしてその過程を客観的に説明できる形で記録しているかです。
以下では、実務上の判断基準に沿って線引きを整理します。
賠償責任が問われる可能性が高いケース
中核病院が「担当医不在」「満床」などの形式的理由のみで受け入れを拒否し、結果的に死亡した場合は、過失とされる可能性は高いと考えられます。
裁判では、実際には診療可能であったにもかかわらず拒否した行為が、「医療機関としての体制整備義務を怠った」と評価される可能性があります。
二次救急指定病院など「地域の中心的な受け入れ機能」がある医療機関は、より高い対応義務が認められやすく、不合理な拒否は過失と判断されやすいでしょう。
責任を問われにくいケース(正当な事由が成立する場合)
医師個人の能力・負荷を超えており、客観的に診療が不可能だったと説明できる場合は、正当な事由として認められる可能性が高いと考えられます。
医療安全上、不十分な治療を行うよりも、速やかな紹介を行うほうが合理的と評価されるケースです。
医療法務・医療安全の実務において、診療拒否の適否判断は以下の2点がポイントとされています。
①その医療機関で応急処置が可能だったか
※ 記録が不足していると、後で「対応可能だったのではないか」と見なされる危険があります。
② 地域医療体制の中で、当該医療機関が担う役割
※ 同じ拒否判断でも、診療所と二次救急病院では求められる対応レベルが異なります。
診療拒否に関するトラブルは、法律の理解不足よりも、下記のような運営体制の問題が主な原因と考えられています。
訴訟リスクを減らすためには、下記の点が重要です。
これらの体制が整っているかどうかが、後日の過失判断を大きく左右します。
応召義務は、あくまで医師個人が国に対して負う公法上の義務であり、勤務医が病院に対して応召義務を負うわけではありません。
しかし実際の訴訟では、診療拒否が問題になった場合、医師個人の判断だけでなく、「医療機関としての体制整備の不備」が原因と評価されることが多く、結果的に病院側の責任を問われるケースが一般的です。
また、勤務時間外まで応召義務を拡大することは、働き方改革の観点から不適切であると厚労省も明確にしています。
そのため医療機関には、救急受け入れ基準、当直医の役割分担、時間外対応の振り分けルールなどを整備し、勤務医が不必要な責任を負わずに済む体制を構築することが求められます。
応召義務は、医師個人の判断だけでなく、クリニック全体の体制整備と密接に関わる仕組みです。
診療拒否の判断基準があいまいなまま開業すると、スタッフ間で対応が揺れたり、記録が残らず法的リスクが生じたりします。
以下では、開業前に必ず整えておきたい項目をチェックリスト形式でまとめます。
診療時間内・外の線引きは応召義務判断の基礎となるため、あいまいさを残さないことが重要です。
「担当医不在」が不適切な診療拒否と評価されることを防ぐため、体制整備の証拠として残しておきます。
時間外であっても「生命の危険がある場合の最低限の対応」は求められるため、判断基準が必須です。
「専門外だからすべて断る」は正当事由として認められず、説明可能な基準設定が不可欠です。
適切な紹介は「正当な事由」を支える要素となり、訴訟回避にも有効です。
金銭トラブルは「診療拒否の正当事由」にならないため、事務対応の基準が必要です。
医療者の安全を確保することは正当な事由に該当し得るため、ルール化が重要です。
事前説明の有無は、後日の「過失」の判断に影響します。
受付・看護師の初期対応は訴訟リスクに直結するため、教育は必須項目です。
医療機関の役割が変化すると、応召義務の判断水準も変わるため、継続的な見直しが必要です。
応召義務は、「正当な事由なく診療を拒まない」ことを求める医師法上の基本原則です。ただし、病状の緊急性、診療時間内外、医療機関の機能や役割、患者さまとの信頼関係といった要素を踏まえて総合的に判断されるものであり、「どんな状況でも絶対に断ってはいけない」という意味ではありません。
開業医の場合、こうした判断が日々の外来運営と直結するため、
といった事項を開業前から「院内ルール」として見える化しておくことが、トラブル防止と安定した運営のポイントになります。
日本調剤では、診療体制の設計、院内ルールづくり、診療圏調査、資金計画、法人化支援、内装プランニング、医療機器の選定、集患戦略までをワンストップで支援しています。応召義務に適切に対応できる体制を整えたい先生や、開業後のリスクを最小限に抑えたい先生は、気軽にご相談ください。
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