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電子カルテのシェアは?主要メーカー比較と開業時の選び方を解説

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電子カルテのシェアは?主要メーカー比較と開業時の選び方を解説

電子カルテは、診療情報を記録・管理するだけでなく、受付、問診、診察、検査、会計、レセプト請求まで、クリニックの業務全体に関わる重要なシステムです。近年は医療DXの推進により、電子カルテの普及が進んでおり、開業時にどの電子カルテを選ぶべきか悩む先生も多いのではないでしょうか。

電子カルテを選ぶ際は、シェアや導入実績も参考になりますが、それだけで自院に合うシステムを判断するのは難しい面があります。診療科に合った機能、レセコンや予約システムとの連携、操作性、サポート体制、診療報酬改定への対応力などを総合的に比較することが大切です。

本記事では、電子カルテの普及状況や主なメーカー・サービス、クラウド型とオンプレミス型の違い、開業時に確認すべき選定ポイントを解説します。電子カルテを開業計画とあわせて検討し、自院に合ったシステムを選ぶための参考にしてください。

目次

電子カルテのシェアと普及状況

電子カルテは、病院だけでなくクリニックでも導入が進んでいます。近年は医療DXの推進により、電子カルテが診療情報を記録するシステムにとどまらず、院内業務の効率化や医療情報共有を支える基盤として位置づけられるようになっています。

一方で、すべての医療機関で導入が完了しているわけではありません。特に診療所では、導入費用、操作性への不安、スタッフ教育、既存業務との相性などが課題になりやすく、未導入の施設も一定数あります。そのため、開業時に電子カルテを選ぶ際は、シェアや導入実績だけでなく、自院の診療科や業務フローに合うかを確認することが重要です。

電子カルテの普及率は年々高まっている

電子カルテは、医療機関の業務効率化や医療情報の共有を支えるシステムとして普及が進んでいます。厚生労働省の「電子カルテの普及について」によると、2023年時点の電子カルテ普及率は、医科診療所で約55%、一般病院で約65%とされています。

政府は医療DXの推進に向けて、遅くとも2030年には、概ねすべての医療機関で必要な患者情報を共有するための電子カルテ導入を目指す方針を示しています。今後は、電子カルテを導入していること自体が、医療機関の標準的な運営基盤になっていくと考えられます。

クリニックでも電子カルテ導入が進んでいる

クリニックでも電子カルテの導入は進んでいますが、病院と比べると未導入の医療機関も残っています。厚生労働省「電子処方箋・電子カルテの目標設定等について」によると、2023年時点で医科無床診療所の電子カルテ導入済み施設は57,662施設、未導入施設は47,232施設とされています。

未導入の背景には、初期費用や月額費用の負担、IT操作への不安、スタッフ教育の負担、紙カルテからの切り替えに伴う業務変更などがあります。既存のクリニックでは、現在の診療フローを変える必要があるため、導入に慎重になるケースもあるでしょう。

一方、これから開業するクリニックでは、最初から電子カルテを前提に受付、診療、会計、レセプト請求までの流れを設計できます。そのため、既存医院が途中で切り替える場合と比べると、導入時の業務設計を行いやすい面があります。

医療DXの推進により電子カルテの重要性はさらに高まる

医療DXの推進により、電子カルテは単なる院内システムではなく、医療情報を共有・活用するための基盤として重要性が高まっています。今後は、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋、オンライン資格確認などとの連携も重要になります。

厚生労働省は、電子カルテ未導入の医科無床診療所向けに、クラウドベースの標準型電子カルテの開発を進めています。また、標準型電子カルテについては、クラウドネイティブ型であることや、政府の電子カルテ情報共有サービスに接続できることを標準仕様に含める方向性も示されています。

参考

電子処方箋・電子カルテの目標設定等について

そのため、電子カルテ選びでは、現在の使いやすさや費用だけで判断するのではなく、診療報酬改定、医療DX、電子処方箋、オンライン資格確認、将来の標準仕様への対応も確認する必要があります。開業時は、電子カルテ単体で選ぶのではなく、レセコン、予約システム、Web問診、会計システムなどとの連携も含めて検討することが大切です。

クリニック向け電子カルテの主なメーカー・サービス


クリニック向けの電子カルテには、多くのメーカー・サービスがあります。代表的なものとして、M3 デジカル、Medicomシリーズ、HOPEシリーズ、BrainBoxシリーズ、CLIUS、CLINICS、モバカルネット、QUALIS、MAPs for CLINICなどが挙げられます。たとえば、富士通のHOPEシリーズには診療所向け電子カルテがあり、湯山製作所のBrainBoxシリーズにはクラウド型とオンプレミス型の電子カルテがあります。

ただし、電子カルテを選ぶ際に、メーカー別のシェアやランキングだけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。導入実績や知名度は候補を絞る際の参考になりますが、自院に合うかどうかは、診療科、診療フロー、スタッフ体制、費用、サポート体制によって変わります。

電子カルテには多くのメーカー・サービスがある

クリニック向け電子カルテは、サービスごとに特徴が異なります。クラウド型を中心に展開するサービスもあれば、院内サーバーで運用するオンプレミス型、クラウドと院内運用を組み合わせたタイプもあります。富士通の「HOPE LifeMark-TX Hybrid type」は診療所向け電子カルテとして紹介されており、湯山製作所は無床診療所向けにクラウド型の「BrainBox CloudⅡ」とオンプレミス型の「BrainBoxV-Ⅳ」を展開しています。

また、M3 デジカルのようなクラウド型電子カルテや、CLIUSのように予約・受付・診療・算定・会計など日常診療に関わる業務を一元管理できる設計のサービスもあります。

開業時は、知名度や導入実績だけでなく、自院の診療内容に合った機能があるかを確認することが重要です。たとえば、内科では検査結果や処方歴の確認しやすさ、整形外科では画像連携やリハビリ記録、小児科では予防接種や予約システムとの連携など、診療科によって重視すべき機能が異なります。

主要な電子カルテはタイプや機能が異なる

電子カルテは、提供形態や機能の違いによって使い勝手が大きく変わります。主な違いは以下のとおりです。

比較項目 確認したい内容
提供形態 クラウド型、オンプレミス型、ハイブリッド型のどれに該当するか
レセコン連携 レセコン一体型か、別製品のレセコンと連携するタイプか
外部システム連携 予約システム、Web問診、オンライン資格確認、電子処方箋、会計システムなどと連携できるか
診療科対応 診療科別テンプレート、検査機器連携、画像管理、処方入力、算定支援などがあるか
サポート体制 導入時の設定支援、操作研修、問い合わせ対応、診療報酬改定時のサポートがあるか

同じ電子カルテでも、診療科や運用体制によって使いやすさは変わります。自院の診療フローに合わない電子カルテを選ぶと、開業後に入力作業が増えたり、受付・会計で二重入力が発生したりする可能性があります。

導入実績やシェアは候補選びの参考にする

導入実績やシェアは、電子カルテを比較する際の参考情報になります。利用者が多いサービスは、運用ノウハウやサポート体制、診療報酬改定への対応経験が蓄積されやすいでしょう。

ただし、シェアが高い電子カルテが、すべてのクリニックに合うとは限りません。重要なのは、「多く使われているか」だけでなく、「自院で無理なく使い続けられるか」です。

電子カルテを選ぶ際は、操作性、診療科との相性、レセコン連携、外部システムとの連携、制度変更への対応力、サポート体制、費用を総合的に比較しましょう。特に開業時は、受付から診察、会計、レセプト請求までの流れを想定し、実際の運用に合うかを確認することが大切です。

電子カルテの種類「クラウド型・オンプレミス型の違い」

電子カルテは、大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」に分けられます。クラウド型はインターネット経由でサービスを利用するタイプで、院内にサーバーを設置しないため、初期費用や保守負担を抑えやすい点が特徴です。一方、オンプレミス型は院内にサーバーを設置して運用するタイプで、自院の診療フローや医療機器に合わせたカスタマイズ、院内機器との連携に強みがあります。

近年は医療DXの推進により、クラウド型の重要性が高まっています。厚生労働省「電子カルテの普及について」では、医科無床診療所向けの標準型電子カルテについて、クラウドネイティブを基本とする方向性が示されています。

電子カルテを選ぶ際は、費用だけでなく、運用負担、セキュリティ、通信環境、診療科との相性、将来の制度対応まで含めて比較することが大切です。

クラウド型電子カルテとは

クラウド型電子カルテとは、インターネット経由でクラウド上のサーバーにアクセスして利用する電子カルテです。院内に専用サーバーを設置する必要がないため、オンプレミス型と比べて初期費用を抑えやすく、サーバー管理やシステム更新の負担も軽減しやすい点が特徴です。

また、ベンダー側でアップデートや保守を行うサービスが多く、診療報酬改定や制度変更への対応を受けやすい場合があります。訪問診療や複数拠点での運用など、院外から電子カルテを確認したい場合にも相性がよいでしょう。

一方で、クラウド型はインターネット環境に依存します。通信障害が起きた場合にどのように診療を継続するのか、オフライン時に参照できる情報はあるのか、バックアップ体制はどうなっているのかを事前に確認しておく必要があります。

オンプレミス型電子カルテとは

オンプレミス型電子カルテとは、院内にサーバーを設置し、院内ネットワーク上でカルテ情報を管理するタイプです。インターネット接続に依存しにくく、自院の診療フローや医療機器に合わせてカスタマイズしやすい点が特徴です。

たとえば、検査機器や画像管理システムとの連携を重視する診療科では、オンプレミス型が選択肢になることがあります。院内で完結するシステム構成にしやすいため、既存の機器やシステムとの連携を細かく設計したい場合にも向いています。

ただし、オンプレミス型はサーバーや専用機器の導入が必要になるため、初期費用が高くなりやすい傾向があります。また、サーバーの保守、更新、障害対応、セキュリティ対策などの管理負担も発生します。導入時だけでなく、数年後の更新費用や保守契約まで含めて検討することが重要です。

クラウド型とオンプレミス型の比較

クラウド型とオンプレミス型は、それぞれにメリットと注意点があります。どちらが優れているかではなく、自院の診療内容や運用体制に合うかで判断することが大切です。

比較項目 クラウド型 オンプレミス型
利用方法 インターネット経由でクラウド上のシステムを利用する 院内にサーバーを設置して運用する
初期費用 比較的抑えやすい サーバーや専用機器が必要で高くなりやすい
月額費用 月額利用料が継続的に発生しやすい 保守費や更新費が発生する
保守・更新 ベンダー側で対応するサービスが多い 院内サーバーの保守・更新が必要
カスタマイズ性 標準機能中心になりやすい 自院の運用に合わせて調整しやすい
通信・障害対応 通信障害時の対応確認が必要 サーバー故障・災害時の対応確認が必要
向いているケース 新規開業、小規模〜中規模クリニック、訪問診療、複数拠点運用 機器連携や個別カスタマイズを重視するクリニック

クラウド型は、初期費用や保守負担を抑えやすく、新規開業や小規模〜中規模クリニックで検討しやすいタイプです。一方、オンプレミス型は、カスタマイズ性や院内機器との連携を重視する場合に向いています。

開業時はクラウド型を選ぶケースが増えている

新規開業では、初期費用や保守負担を抑えやすいクラウド型を選ぶケースが増えています。院内サーバーを設置しないため、内装設計や機器管理の負担を抑えやすく、開業準備中のシステム導入を進めやすい点がメリットです。

ただし、クラウド型であっても、すべてのクリニックに合うとは限りません。通信環境、セキュリティ、サポート体制、レセコン・予約システムとの連携、診療科ごとの機能を確認する必要があります。開業時はクラウド型を軸に検討しつつ、診療内容や医療機器連携の要件によっては、オンプレミス型やハイブリッド型も比較するとよいでしょう。

電子カルテを導入するメリット

電子カルテを導入すると、診療情報の管理だけでなく、受付・会計業務、レセプト業務、カルテ保管、経営管理などを効率化しやすくなります。紙カルテと比べて過去の診療情報を検索・共有しやすく、診療や事務作業のスピード向上にもつながります。

特に開業時は、限られたスタッフ数で受付、診療、会計、レセプト請求まで対応するケースも少なくありません。電子カルテを中心に業務フローを設計することで、転記作業や確認作業を減らし、開業後の業務負担を抑えやすくなります。

メリット 内容
診療情報を一元管理できる 診療履歴、病名、処方、検査結果、画像、紹介状、アレルギー情報などをまとめて管理しやすくなります。過去の診療情報を検索しやすく、医師やスタッフ間での情報共有もスムーズになります。
受付・会計・レセプト業務を効率化できる 電子カルテと医事会計システムを連携することで、診療内容を会計やレセプト請求に反映しやすくなります。手入力や転記の手間を減らし、入力ミスや算定漏れの防止にもつながります。
紙カルテの保管スペースを削減できる 紙カルテの保管棚や保管庫に必要なスペースを抑えやすくなります。クリニックの限られたスペースを、診察室、処置室、スタッフスペース、待合スペースなどに活用しやすくなります。
データ活用により経営管理がしやすくなる 患者数、診療内容、処方、検査、来院頻度、診療単価などの情報を蓄積できます。データを活用することで、診療時間、スタッフ配置、集患施策などの見直しに役立てやすくなります。
医療DXへの対応を進めやすくなる オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなどと連携する基盤になります。将来の制度変更や診療報酬改定への対応を見据えたシステム選びにもつながります。

 

厚生労働省「医療DXについて」では、電子カルテ情報共有サービスにより、全国の医療機関や薬局などで患者さまの電子カルテ情報を共有する仕組みが示されています。今後は、電子カルテを単なる診療記録のシステムではなく、医療連携や制度対応を支える基盤として考える必要があります。

そのため、電子カルテを選ぶ際は、現在の業務効率化だけでなく、将来的な医療DX対応や制度変更への対応力も含めて確認することが大切です。開業時から自院に合った電子カルテを導入できれば、診療の質を保ちながら、スタッフの業務負担を抑えやすくなります。

電子カルテ導入時の注意点

電子カルテは、導入すればすぐに業務が効率化するわけではありません。紙カルテとは操作方法や業務フローが異なるため、医師だけでなく、看護師や受付スタッフも含めて操作に慣れる時間が必要です。また、電子カルテは受付、診察、検査、会計、レセプト請求まで幅広い業務に関わるため、導入前に運用ルールを整理しておくことが大切です。

特に開業時は、電子カルテ単体で考えるのではなく、レセコン、予約システム、Web問診、オンライン資格確認、電子処方箋、検査機器などとの連携も確認する必要があります。連携が不十分な場合、同じ情報を複数のシステムに入力する必要があり、かえってスタッフの負担が増える可能性があります。

注意点 内容
操作に慣れるまで時間がかかる 電子カルテは紙カルテと入力方法や操作手順が異なるため、導入直後は診療中の入力、会計連携、レセプト確認などに時間がかかる場合があります。本稼働前にデモやトライアル、スタッフ研修、模擬診療を行い、受付から診察、会計までの流れを確認しておくことが重要です。
システム障害への備えが必要 電子カルテはシステムに依存するため、通信障害、端末故障、サーバー障害、停電、サイバー攻撃などを想定しておく必要があります。クラウド型では回線障害時の対応、オンプレミス型では院内サーバーの故障やバックアップ体制を確認しておきましょう。
既存・外部システムとの連携確認が必要 レセコン、予約システム、Web問診、オンライン資格確認、電子処方箋、検査機器、画像管理システム、会計システムなどと連携できるかを確認する必要があります。将来的に自動精算機や新たな予約システムを追加する可能性がある場合は、拡張性も重要です。
診療報酬改定への対応力を確認する必要がある 診療報酬改定では、点数、施設基準、加算、算定要件、レセプト請求の運用が変わります。電子カルテやレセコンのアップデートが遅いと、算定ミスや請求漏れ、現場の混乱につながる可能性があります。改定時の対応スピード、費用、サポート体制を確認しましょう。
セキュリティ対策が欠かせない 電子カルテでは患者さまの診療情報を扱うため、アクセス権限の管理、バックアップ、ウイルス対策、サイバーセキュリティ対策が必要です。厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」でも、医療情報システムの安全管理、ネットワーク利用、障害時対応、サイバーセキュリティ対策の重要性が示されています。
医療DXへの継続対応が必要 厚生労働省「医療DXについて」では、診療報酬改定DXとして、共通算定モジュールの開発などにより、診療報酬改定時のシステム改修負担を軽減する方向性が示されています。電子カルテ選定時は、現在の使いやすさだけでなく、今後の制度変更や医療DXに継続して対応できるかも確認することが大切です。

電子カルテを導入する際は、機能や費用だけでなく、実際の運用まで想定して選ぶことが重要です。開業後に「思ったより使いにくい」「他のシステムと連携できない」「改定対応に時間がかかる」といった問題が起きると、診療や事務作業に影響する可能性があります。

そのため、導入前には、医師・看護師・受付スタッフが実際に使う場面を想定し、デモやトライアルで操作性を確認しましょう。あわせて、障害時の対応、外部システムとの連携範囲、診療報酬改定時のサポート体制まで確認しておくことで、開業後も無理なく使い続けやすくなります。

開業時に電子カルテを選ぶポイント

開業時の電子カルテ選びでは、知名度や導入実績だけでなく、自院の診療科や診療フローに合っているかを確認することが重要です。電子カルテは診療記録を管理するだけでなく、来院から診察、会計・請求までの流れや、オンライン資格確認などの外部システム連携にも関わるため、クリニック運営全体を見据えて選ぶ必要があります。

また、開業後にシステムを変更するには大きな負担がかかります。そのため、現在の使いやすさだけでなく、将来の拡張性、制度変更への対応力、サポート体制、費用まで含めて比較することが大切です。

選ぶポイント 確認したい内容
診療科に合った機能があるか 内科では検査結果や処方歴、慢性疾患管理のしやすさ、整形外科では画像管理やリハビリ記録、小児科では予防接種や家族単位の管理など、診療科ごとに必要な機能が異なります。自院の診療内容に合った機能があるかを確認しましょう。
レセコンとの連携範囲 レセコン一体型か、別製品のレセコンと連携するタイプかを確認します。患者情報、病名、処方、検査、処置、会計情報、レセプト関連情報など、どこまで連携できるかも重要です。
外部システムと連携できるか 予約システム、Web問診、オンライン資格確認、電子処方箋、会計システム、検査機器などと連携できるかを確認します。将来的に自動精算機や新しい予約システムを追加する可能性がある場合は、拡張性も確認しましょう。
診療報酬改定や制度変更に対応できるか 診療報酬改定では、点数、加算、施設基準、算定要件などが変わります。改定時のアップデート対応、費用、説明会やサポートの有無を確認しておくことが大切です。
サポート体制が充実しているか 初期設定、操作研修、本稼働時の立ち会い、トラブル対応、診療報酬改定対応などのサポート内容を確認します。電話、メール、リモート、訪問対応の有無や対応時間も見ておきましょう。
初期費用と月額費用が資金計画に合うか 初期費用、月額費用、端末費、レセコン連携費、保守費、アップデート費、データ移行費、追加オプション費などを確認します。開業資金全体の中で無理のない範囲に収まるかを判断しましょう。

 

診療科別に見る電子カルテ選びのポイント


電子カルテは、診療科によって必要な機能や重視すべきポイントが異なります。シェアや知名度は候補選びの参考になりますが、実際には自院の診療フローに合うか、検査機器や画像管理システムと連携できるか、文書作成や予約・問診連携、算定支援が使いやすいかを確認することが大切です。

また、厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスについて」では、今後共有される情報として、診療情報提供書、退院時サマリ、傷病名、薬剤アレルギー等、その他アレルギー等、感染症、検査、処方情報などが示されています。電子カルテを選ぶ際は、現在の診療科ごとの使いやすさだけでなく、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスなど、将来の医療DX対応も見据えて検討しましょう。

内科

内科では、生活習慣病や慢性疾患の継続管理がしやすいかが重要です。検査結果、処方歴、病名、紹介状、健診結果などを確認しやすい電子カルテを選ぶことで、再診時の診療をスムーズに進めやすくなります。

また、内科は患者数が多くなりやすく、再診患者さまへの対応も多い診療科です。そのため、過去記録の参照性、検査結果の取り込み、処方入力、レセコン連携、診療テンプレートの使いやすさを確認しておく必要があります。将来的な医療連携を見据えるなら、検査や処方情報を共有しやすい仕組みへの対応も重要です。

小児科

小児科では、予防接種、成長記録、家族単位での管理、予約システムとの連携が重要です。年齢や体重に応じた小児用量の入力、よく使う処方の呼び出し、院内検査結果の取り込みがしやすいかを確認しましょう。

また、小児科は保護者への説明も多いため、シェーマ機能や説明資料を出力できる機能があると便利です。感染症流行時には待合室の混雑を抑える必要もあるため、予約システムやWeb問診と連携し、来院前に症状を把握できるかも確認したいポイントです。

皮膚科

皮膚科では、患部写真、シェーマ、処置内容、経過比較を管理しやすいかが重要です。画像を使って患者さまに説明したり、再診時に過去の状態と比較したりできる電子カルテであれば、診療の質と説明のわかりやすさを高めやすくなります。

保険診療に加えて自由診療を行う場合は、予約、同意書、画像管理、会計、自由診療メニューの管理も確認が必要です。入力効率だけでなく、患者さまへの説明や治療経過の共有に活用できるかも選定ポイントになります。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科では、内視鏡画像、聴力検査、処置、検査機器との連携が重要です。検査や処置が多いため、検査データや画像を診察中にすぐ呼び出せるか、処置内容を簡単に入力できるかを確認しましょう。

オージオメータ、内視鏡、画像ファイリングシステムなどと連携できるかも重要です。耳鼻咽喉科は診察スピードが求められやすいため、検査、処置、算定、会計までの流れがスムーズかどうかが、開業後の業務効率に大きく影響します。

整形外科

整形外科では、X線画像、PACS、画像ファイリング、リハビリ記録、処置内容との連携が重要です。診察室だけでなく、リハビリ室、処置室、受付、会計まで含めた運用を想定して電子カルテを選ぶ必要があります。

部位別の経過管理、画像比較、診断書や同意書などの文書作成機能も確認しましょう。リハビリ患者さまが多い場合は、予約管理やリハビリ実施記録との連携も重要です。診察とリハビリの情報が分断されると、スタッフ間の確認作業が増えやすくなるため、院内全体の動線に合うかを確認することが大切です。

精神科・心療内科

精神科・心療内科では、問診、診療記録、文書作成、予約管理、プライバシーへの配慮が重要です。診察時間が長くなりやすいため、自由記載のしやすさや、過去記録を時系列で確認しやすいかを確認しましょう。

また、診断書、自立支援医療、傷病手当金関連など、文書作成機能の使いやすさも重要です。患者さまの心理的負担を減らすためには、受付動線や予約システムとの連携も含めて検討する必要があります。待合室での呼び出し方法や予約管理のしやすさも、診療科の特性に合わせて確認しておくとよいでしょう。

眼科

眼科では、視力検査、眼圧検査、OCT、眼底カメラ、視野検査など、検査機器との連携が特に重要です。検査データや画像を電子カルテ上で確認し、時系列で比較できるかを確認しましょう。

眼科は、検査から診察、会計までの流れが複雑になりやすい診療科です。そのため、検査室、診察室、受付の情報共有がスムーズに行えるかを見ておく必要があります。画像表示や検査結果の見やすさ、患者さまへの説明のしやすさも、電子カルテ選びの重要なポイントです。

電子カルテ導入までの流れ

電子カルテの導入は、必要な機能を整理し、複数メーカーを比較したうえで、デモ・トライアル、見積もり確認、スタッフ研修・試験運用という流れで進めます。開業時は、電子カルテ単体で選ぶのではなく、レセコン、予約システム、Web問診、オンライン資格確認、検査機器、会計システムなどとの連携も含めて検討することが大切です。

電子カルテやレセコンなどのITシステムは、受付動線、診察室の端末配置、ネットワーク環境、検査機器の設置場所などにも関わります。そのため、内装設計や医療機器の選定と並行して進める必要があります。開業準備全体のスケジュールを把握したい場合は、「何か月前から動くべき?クリニック開業スケジュールの手引」もあわせて確認するとよいでしょう。

ステップ1 必要な機能を整理する

まずは、自院の診療科、想定患者数、スタッフ数、診療フローを整理します。レセコン連携、予約システム、Web問診、オンライン資格確認、電子処方箋、検査機器、画像管理、会計システム、文書作成など、必要な機能を洗い出しましょう。

必要機能を整理せずに選ぶと、開業後に入力負担や二重入力、追加費用が発生する可能性があります。

ステップ2 複数メーカーを比較する

必要な機能を整理したうえで、複数メーカーを比較します。診療科との相性、操作性、レセコンとの連携範囲、外部システム連携、サポート体制、費用、診療報酬改定への対応力などを確認しましょう。

知名度やシェアだけで決めず、開業後の業務フローに合うかを見ることが重要です。

ステップ3 デモやトライアルで操作性を確認する

候補を絞ったら、デモやトライアルで実際の操作性を確認します。受付、問診、診察、検査、処方、会計、レセプト請求までの流れを想定して操作しましょう。

医師だけでなく、受付、看護師、医療事務など、実際に使うスタッフにも確認してもらうことが大切です。

ステップ4 見積もりとサポート内容を確認する

デモ後は、初期費用、月額費用、端末費、レセコン連携費、データ移行費、保守費、オプション費用などを確認します。診療報酬改定時のアップデート費用や、制度変更時の対応範囲も見ておきましょう。

サポート面では、導入前の設定支援、操作研修、本稼働時の立ち会い、電話・リモート・訪問対応、障害時対応を確認します。

ステップ5 スタッフ研修・試験運用を行う

本稼働前にスタッフ研修と試験運用を行い、操作方法と業務フローを確認します。カルテ記載、オーダー入力、レセコン連携、問診、診察、会計、レセプト請求までの流れをシミュレーションしましょう。試験運用で問題点を洗い出し、運用ルールやマニュアルを修正してから開業に備えることが重要です。

電子カルテは、開業直前に急いで決めると、必要な連携機能が不足したり、スタッフが操作に慣れないまま本稼働を迎えたりする可能性があります。開業後の混乱を防ぐためにも、余裕を持ったスケジュールで比較・導入準備を進めましょう。

電子カルテ選びは開業計画とセットで考える

電子カルテは、診療内容を記録するだけのシステムではありません。患者さまの来院動線、診療フロー、医事会計、スタッフ間の情報共有など、クリニックの運営全体に関わる基幹システムです。

そのため、開業時は電子カルテを単体で選ぶのではなく、物件設計、内装、スタッフ体制、資金計画と合わせて検討する必要があります。

開業計画と合わせて考えるべき点 内容
診療フロー全体に関わる 電子カルテの操作性や入力スピードは、診察時間、会計待ち時間、スタッフの業務負担に影響します。自院の診療科や患者数、スタッフ体制に合っていない場合、開業後に入力作業や確認作業が増える可能性があります。
物件設計・内装・端末配置にも影響する 電子カルテをどこで誰が使うかによって、受付カウンター、診察室、処置室、検査室、会計スペースの設計が変わります。端末配置、モニター、プリンター、ネットワーク配線、電源、Wi-Fi環境なども内装設計とあわせて検討する必要があります。
資金計画・人員計画と合わせて検討する必要がある 電子カルテ関連費用には、初期費用、月額費用、端末費、レセコン連携費、保守費、ネットワーク整備費などがあります。また、操作性や連携範囲は、必要なスタッフ数や教育期間、受付・会計業務の負担にも影響します。

 

電子カルテはシェアだけでなく開業後の運用まで見据えて選ぼう

電子カルテは、診療情報を管理するだけでなく、来院から診療、会計・請求までの診療・事務の業務フローに関わる重要なシステムです。近年はクリニックでも導入が進んでおり、医療DXの推進により、オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなどとの連携も重要になっています。

電子カルテを選ぶ際は、シェアや知名度だけで判断するのではなく、自院の診療科や診療フローに合っているかを確認することが大切です。レセコンや予約システム、Web問診、検査機器との連携範囲、診療報酬改定への対応力、サポート体制、費用などを総合的に比較しましょう。

特に開業時は、電子カルテの選定が物件設計、受付動線、端末配置、スタッフ体制、資金計画にも影響します。開業後に無理なく使い続けられるか、スタッフが操作に慣れやすいか、制度変更にも継続して対応できるかまで見据えて選ぶことが重要です。自院に合った電子カルテを導入できれば、業務負担を抑えながら、患者さまにとってもスムーズな診療体制を整えやすくなります。

日本調剤では、物件紹介や診療圏調査、資金計画の策定に加え、設計や医療機器・システムの選定、集患施策まで、開業に必要な準備を幅広く支援しています。電子カルテを含めたシステム選定を、開業後の診療オペレーションや経営計画とあわせて検討したい先生は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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