前回までは、雇用契約書等の取付書類について説明してきましたが、それらの書類と併せて、クリニックの労務管理を円滑にするために、簡易版でも良いので、就業規則(職員ハンドブック)の作成を開業時に作成することをおすすめしております。
就業規則の作成をお勧めする理由は以下の点にあります。
1.経営者である先生とスタッフの間の、基本的な規則があれば、都度発生する職員の権利主張・質問に対して、規則に沿った回答ができること
2.雇用契約書や誓約書などの入職時取付書類だけでは記載しきれないクリニックのルールを補完でき、労務トラブルの予防をより強固にできること
3.良く起こる労務トラブルについて、重点的に確認しておくことで、先生にも開業時のトラブルの予備知識と対応策について知っておけること
よく起こる労務トラブル
以下のような労務トラブルがよく起こりえます。
・診療が長引いて患者さまがいるのに、残業を拒否して勝手に帰った(患者さまを断っていた)
・未払い残業代の請求が過去2年分来た
・職員(パート含む)から有給休暇の請求がきて、クリニックの運営に支障が出た
・院長の指示を聞かず、自分のやりたいように仕事をし始める
・他の職員をいじめて、退職に追い込むようなパワハラが続いた
・職員に注意、指導したら、次の日から、「うつ病」と診断されたと言って欠勤を始めた
・急に退職届を出してきて、即日来なくなった
・試用期間中にスキルが低かったり、協調性が無かったりで本採用拒否したら不当解雇で訴えられた
・注意、指導をしたら、「そんなルールは聞いていない。どこに書いてあるのか?」と言われて、注意、指導に応じなかった
まとめ
就業規則は、いろいろなひな形・サンプルがあり、ボリュームも多く、難しく感じられるケースや、「就業規則を作ることで職員に有利になるのでは?」というご心配もされるケースがありますが、ポイントを押さえて作成することで、院長を守ってくれる規則にすることができます。