開業した先生方が最も気になるのが、まず「医業収入」だと思います。多くの開業されている先生は、月の医業収入を毎月確認されています。
船井総合研究所が医院をお手伝いする際、経営者の方にお伝えするのが、「できるだけ経営数値をスタッフと共有しましょう」ということです。
それは決して、「一日患者数○○人がノルマ!」という伝え方ではありません。そういった「数字を追いかける経営」は医院経営ではうまくいかないことが多いからです。
そうではなく、「皆さんの頑張りで、今月もこれだけの患者様に支持
されました!ありがとう!」と、「頑張った結果がこれだけの人数です!」という伝え方が良いように思います。
ただ、どうしても「総収入を伝えると、なんで自分の給料が上がらないんだ、という不満が出るかもしれない」と躊躇される先生が多いのも事実です。こういった場合には、従業員教育の中で、「医院を運営するためには、給料の他に、家賃・光熱費、将来の増改築・リフォーム・修繕を行うための貯蓄など、必要経費を勘案することが大事である」という、経営的発想を理解してもらうことを先に取り組んで、その後総収入を共有しましょう。
開業当初から、総収入を共有するのは難しいかもしれません。
とすると、他にどんな経営数値を共有すればよいでしょうか。
開業当初からスタッフとぜひ共有していただきたい数値は、
(1)総来院患者数(1日平均と月合計)
(2)レセプト枚数(1日平均と月合計)
(3)初診数(新規・再初診含む)(1日平均と月合計)
(4)新規患者数(1日平均と月合計)
(5)再診数(1日平均と月合計)
(6)レセプト辺り月再診数(1)/(2)
が基本になります。
この数値を「昨年同月対比」で毎年追いかけていくのです。その結果、
その年の基本的な患者動向を把握することができます。
もし患者数が減っているのであれば、
・そもそも初診数が減っているのか
↓
・初診数が減っていないのであれば、再診が減っているのか
↓
・再診が減っているのであれば、来院頻度を安定させるため、
何か対策を打たなければいけない
という形で、対策をより具体的に立てることができます。
医院を安定して成長させるために大事なのは、まず「現状を正確に把握すること」です。正確に把握するためには、先生・スタッフの主観で「最近患者数が減っている気がする」と判断するだけでなく、実際の数字を抑えることが大事です。
そして次に、「現状から改善するために、具体的な対策を立てること」
が重要です。新患が減っているのであれば、内容の充実したホームページを作ったり、チラシを配布するなどの対策が考えられますし、再診が減っているのであれば、次回来院日を必ずご案内するようにするなどの対策を取ることができます。
繰り返しになりますが、兎にも角にも、まず第一歩が「現状把握のための経営数値を抑える」ことです。
是非、クリニックを開業後のご参考にしていただき、上手な医院経営を目指していただきたいです。