開業時から考えたいクリニックの組織づくり

(5)組織づくりの基礎知識―その4―組織づくりで定義すべきこと 2

提供株式会社メディリリーフ 代表取締役 中小企業診断士 医療経営士2級 荒井 ゆき氏 https://medirelief.co.jp/ コラム提供者のアイコン

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 今回のコラムは前回に続き、院長がスタッフに提示するべき定義のお話です。前回は8つの項目のうちの最初の3つをお示ししました。今回は4つ目から6つ目までの3つについてお伝えします。

組織づくりにおいて定義するべき項目の4つ目は『編成と指示』です。3つ目の定義で、目標を達成するための戦略や戦術を示しましたので、それを具体的に遂行するための役割と担当を決めます。また、それぞれの役割について具体的な業務内容を示しておくことも忘れてはなりません。受付、検査、診察、会計といった業務の機能によって役割(業務項目)を書き出し、それぞれに担当を割り振ります。
ここからは、必ずしも院長先生から直々に示す必要はないかもしれません。院長先生の想いを十分に理解した、リーダー格のスタッフにお任せするのも一つでしょう。

そして5つ目として『業務方法の提示』があります。
業務内容と役割分担が決まったら、それをチームとしてどのように橋渡ししていくのか、スタッフ全員が把握しておく必要があります。また、フローに当てはまらないイレギュラーなことが起こった時にはどうするのかのルールを決めておきます。各自の勝手な判断でバラバラに行動したり、属人的なルールが形成されたりすることを防ぐために、全員で共通認識を持っておくことが重要です。

そのために大事な役割を果たすのが業務マニュアルです。業務マニュアルを作成するためには様々な手法がありますが、4つ目の定義で策定した役割と担当の一覧を活用してそれぞれの業務の作業を洗い出し、時間軸や作業のサイクルに沿って整理すると、業務フローチャートが作りやすくなります。フローチャートが出来上がると、起こりそうなイレギュラー事象も想定でき、ルールづくりにも活用できます。

業務マニュアルは、まずはたたき台としてひとつ作成して、実際にクリニックを運営していく中で随時見直しをかけてブラッシュアップしていくと良いでしょう。マニュアルの見直しを通じて、スタッフ同士の、あるいは院長とスタッフのコミュニケーションを活性化することにもつながりますし、お互いの価値観を共有する機会にもなるので、とてもお勧めです。

6つ目の定義は『期待能力の提示』です。
スタッフ採用時には、この人にはこんな役割を担って欲しいな、という思惑があると思います。また、担当と役割を決めたので、それに沿って必要となるスキルやノウハウを身につけていただく必要がありますね。それは、院長先生の頭の中にあるだけではご本人に伝わりません。ここは、ぜひ院長先生自らスタッフそれぞれに、身につけていただきたい技能や知識をお伝えしてください。人は成長していることを実感したときに嬉しい、楽しい、と感じます。医療職や医療事務職の方々は、元来成長意欲が高いですので、期待感を示してあげることで、意欲的に取り組んでいただくことにつながります。

今回は、日々のクリニック運営を行う上でのより具体的な定義のお話でした。共通認識を形成することで、全員が同じ方向を向いて自律的に動ける組織づくりをしていきましょう。

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