開業時から考えたいクリニックの組織づくり

(12)“ビジョン”は組織づくりの屋台骨

提供株式会社メディリリーフ 代表取締役 中小企業診断士 医療経営士2級 荒井 ゆき氏 https://medirelief.co.jp/ コラム提供者のアイコン

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本連載では、スタッフが自律的に各役割を果たし、院長先生が診療に専念できるような理想的なクリニックの組織づくりについてお伝えしてきました。最終回となる今回は、組織づくりの屋台骨となるクリニックの“ビジョン”についてお伝えします。

 “経営理念”や“ビジョン”、“行動指針(クレド)”を開業前に策定しましょうというのはよく耳にされることと思います。
しかし、具体的にはどういったものを指すのか、どのように策定すれば良いのか、お悩みになる先生も多くいらっしゃいます。
まずはそれぞれの意味について考えてみたいと思います。

“経営理念”とは、端的にいうと、「このクリニックは何のために存在するのか?何をすることが目的か?何をしたいのか?」を言語化したもので、どちらかというと対外的に示すものにあたります。一方で、“ビジョン”とは「近い将来、どんなクリニックになっているか?(規模や性質、ポジション、評判)」であり、どちらかというと内部むけのメッセージにあたります。そして“行動指針(クレド)”は「このクリニックで仕事をする上で、何を心がけないといけないのか」で、内部に向けた教育的なものといえます。

そのため、組織づくりにおいて一番の出発地点になるのが“ビジョン”であって、院長先生とスタッフがチームとして動くために目指すべき目標が“ビジョン”なのです。

ビジョンがあると以下のような効果があります。

1.全ての意思決定の規準となる
2.課題が明確になる
3.目指すものがあると頑張りやすい
4.仕事の価値観を統一しやすい(求めるスタッフ像が明確になる)
5.院長より偉い存在ができる

「院長より偉い存在??」と疑問に思いましたでしょうか。
実はこれは意外と重要で、「院長が言っているからやる」のと「このような目標があるからやる」のでは大きく意味が異なるのです。
前者は受動的、後者は能動的だと思いませんか?実際はビジョンを作るのは院長先生なのですが、代わりにスタッフにいうことを聞かせる存在として、大きく意義を持つことになるのです。

ビジョンをつくる際に意識すべきポイントは、
・クリニックが利益を得ていくことに連動しているか
・一貫性があるか、筋が通っているか
の二つです。

これらを意識しながら、まずは「誰のために、どんな医療を提供していくのか」「他院と比べて何が違うのか」「医療機関としてどのようなポジションを取るのか」といった、事業戦略を考えます。続いて、「利益を得ていくためにはどんな人・組織が必要か」「当院の一番の武器は何か」といった、組織戦略を考えます。
こうした戦略をベースに、言葉を作り、自院のビジョンをまとめていってください。

院長先生の考えたビジョンに向かって、スタッフ全員が一丸となって動く素敵な組織を作りあげていきましょう。

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