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医院開業コラム

(5)B工事について

今までクリニックの坪単価、設計、空調換気設備、衛生設備について書いてまいりましたが、今回はB工事についてお話ししてまいります。

B工事と聞いてもなかなかピンとくるドクターは少ないと思います。建物の工事区分は大きく3つに分かれております。

A工事:建物自体を建築する会社
B工事:建物内の指定の工事範囲を指定の会社で行う工事
C工事:この建物の内装工事を行う会社

一般的にはドクターが決めた業者が内装工事を行います。
ただビルによってはこの部分の工事はビル側が指定する業者を使って施工してくださいという縛りがあります。普通に考えると工事をする分野、業者が分かれるだけだと思いますが、結構大きな問題が潜んでおります。
B工事は一般相場に比べて高いのです。このB工事が発生する可能性が高いビルが「商業施設内」「高層マンション」「高層オフィスビル」です。
クリニック開業を考え、物件の選定を行っている際に現地を内見することがあると思います。この時に「スプリンクラー」が天井に設置されている場合にはB工事があるかもしれないと思ってください。また不動産仲介会社へ「B工事はありますか?」と聞いてみてください。ビル側に確認をしてくれるはずです。そのときに「B工事があるなら工事区分表もください」とあわせて聞くことをおすすめします。内装工事でも工事項目が多岐に分かれており、工事区分表の中にどこまでがB工事の範囲か明確に示されています。

ビルや管理会社によってB工事区分のバラつきがあり、スプリンクラーや煙感知器等の消防設備だけの場合もありますが、電気、空調換気、給排水設備の一部もB工事指定が入る場合もあります。

先ほどB工事は高いというお話をしましたが、実際にC工事で行った場合に比べて1.5~3倍くらいの金額で出てくる場合が多いです。
ただB工事が発生するビルの場合、商業施設内や再開発事業の立地であったり、上階に多くの住人がいるタワーマンションであったり、多くの人たちが働いているオフィスビルといった開業当初から集患が見込める、認知度が高いといった利点もあります。このような立地の場合には近隣に競合クリニックがあっても集患しやすいという大きなメリットがあります。

再開発や、新築ビルのグランドオープンに合わせて開業をする場合にはほぼB工事が発生します。またこのようなビル内の施設を同時にオープンさせる場合には内装の設計図面を半年から1年前にすべて完成させビル側に提出する必要が出てきます。
B工事業者は内装図面が完成していないと見積もりを行わないという場合も多いです。B工事の見積が出た段階ではこの物件から撤退
することが難しい状況になっていると思いますので、事業計画立案の際に多めに資金調達を検討しておく必要があるでしょう。

最後になりますが、内装工事金額やB工事の金額はまちまちです。
クリニックは開業してから20年、30年と続いていくものですから目先の金額を気にしすぎるより、良いもの、気に入ったものをメンテナンスしながら長く使っていくという気持ちを持った方がよいと思います。医療も以前とは違いサービス業になってきていますし患者さまもより細かく見ています。
せっかく素晴らしいクリニックを創ったのに清掃が行き届いてなく口コミに書かれたり、ドクターやスタッフの対応なども見られています。
クリニック開業はスタートが肝心です。ドクターの皆様も勤務医からいきなり社長になるようなもので、スタッフとのコミュニケーションの取り方も勤務医時代とは大きく変わります。
もし何かご質問等ございましたら、いつでもお問合せください。

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