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医院開業コラム

(1)内装・建築坪単価について

みなさん、はじめまして。株式会社ラカリテの高橋と申します。医療施設に特化した設計事務所を運営しております。私もこの業界に約20年かかわっておりますがコロナ禍を経て金額面で大きく様変わりしました。

15~20年前までは内装工事で坪単価30~45万円という時代が続きました。弊社でもこのくらいの金額で請負契約を結んでも利益が出ていました。しかしここ数年は坪単価が60~80万円ほどに上がりました。倍に近い金額になっていますね…。坪単価というのは1坪当たりいくら、つまり坪単価60万円で60坪のクリニック内装を行う際に60万円×60坪=3600万円かかる計算になります。

ちなみに建築業界でも金額の高騰が進んでおり、木造建築は60万円→80万円、S造建築(鉄骨造)は80万円→100万円、RC建築(鉄筋コンクリート造)に至っては坪130万円くらいになっています。

よく言われているのが人件費の高騰です。労働環境改善が叫ばれ1日における労務時間の徹底や休日の設定など作業時間が以前より厳しく管理され工期が以前よりかかるようになっています。さらにコロナや紛争の影響で商品が生産できない、入荷しないといった現象が頻発し引き渡しが遅くなる、不完全な状況で引渡し、商品入荷次第順次取付といった事も起こっています。

更に原材料費も併せてUPしております。各メーカーから問屋さんや取引先などにメールやFAX一枚で「〇月より下記商品一律15%値上げします」とお知らせが来ます。それも1度なら良いのですが年数回にわたり行われるのでこちら側も大変苦慮しております。
クリニックの場合、数年前から独立開業や分院展開を検討されると思いますが、当時提出された概算見積金額では追い付かなくなっています。また最近ではどの会社も見積有効期限を短く設定しているところが多いです。

クリニックを開業するにあたり、すでに開業済みの先輩、知人、友人などから情報を仕入れることはよくあることですが、建築・内装工事費については直近で開業された方以外、当てはまらないと思います。この単価ですが、一度上がったからにはバブルがはじける、リーマンショックのようなことが起こらない限り下がらないと思われます。実はリーマンショックの際に建築・内装業界が冷え込み、職人さんが大量離職したことで現在に至るまで職人不足が続いています。

建築業者、内装業者も様々な会社があり、それぞれ得意分野や手掛けている範囲が違います。クリニックの設計や施工も多くの経験を積んだ会社はそれなりに知識も豊富で安心していただけます。間取りについても、各診療科目により大きく変わりますし、使用する医療機器も違います。特に医療機器のサイズ、電気容量、100Vなのか200Vなのかといった細かい
ことにも注意が必要です。クリニック設計の経験のない設計事務所が設計した際に、ドアが狭く内診台が内診室に入らない、オートクレーブが稼働したらブレーカーが落ちた、LAN配線が全然足りなかったなどという笑えない話も実際にありました。

内装工事の金額についても同じです。最近では悪徳業者は淘汰されて少なくなりましたが、以前はわざと安い金額を提示しておいて設計が進み引き返せない段階で、「すべて別途です」と、一般的に含まれるべきものも見積に入っていないといった話も聞きました。これは特に悪質な例ですが、経験、知識不足から上記のようなことも多々発生します。「こんな装備や設備がクリニック設計に必要だったと思わなかった」「開業まで時間がなく、業者さんの変更も不可、結論として見積に含まれていなかった数百万円の金額を追加で支払うことになった」となればまさに悲劇です。

このようなことにならないためにも、まず設計事務所や工務店を選定する際に、クリニックの経験の有無、件数、実際に設計したクリニックの訪問は可能か?など事前に確認しましょう。

医療モールで開業した方

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