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電子処方箋とは? 全国普及へ加速する医療DX
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2023年1月、厚生労働省は処方箋の情報をクラウドでやり取りする仕組みである、電子処方箋の本格運用をスタートさせました。オンライン資格確認と連携しているため、診察室で入力した処方データはすぐに薬局へ届き、重複投薬や併用禁忌を自動でチェックできます。まさに医療DXの柱といえる取り組みです。
電子処方箋は稼働から2年あまりで導入施設は5万件を突破し、2025年1月には院内処方のプレ運用が始まりました。それでも現場には「何が便利になるのか」「導入には何をそろえればいいのか」「運用上の課題はないのか」といった疑問が残っています。
そこで本記事では、電子処方箋の仕組みや発行の流れを整理し、医療機関・薬局・患者それぞれのメリット、導入までの具体的な手順、さらに運用時の注意点まで解説します。
電子処方箋は、紙の処方箋をデジタルデータに置き換え、診察室で確定した処方内容をクラウド上の「電子処方箋管理サービス」に保存し、薬局へオンラインで共有されます。
医師の電子署名が付いたデータを薬局が患者の同意のもと取得し、調剤結果や服薬指導情報を再びクラウドに登録。次回来院時には医師が残薬や服薬状況をリアルタイムに確認できます。
こうしたシームレスなデータ連携により、重複投薬の防止や業務効率化が進み、医療DXの中核施策として期待されています。
厚生労働省は2023年1月26日、オンライン資格確認システムを拡張する形で電子処方箋管理サービスの本稼働を開始しました。国の「医療DX推進工程表」に盛り込まれた重点施策の一つで、重複投薬・併用禁忌チェックの自動化や薬剤情報の全国共有を目指す取り組みです。
厚生労働省「電子処方箋の現況と令和7年度の対応」によると、2025年2月23日時点で、52,854施設(薬局、病院、診療所)に導入され、普及率は24.9%となっています。
電子処方箋の普及率が90%に達する国も珍しくありません。北欧では2000年代に電子処方箋を導入し始め、現在はほぼすべての国で普及率が90%を超えています。米国でも導入率は90%を超えており、カナダでも全国規模で運用されています。
参考 各国の電子処方箋の制度及び医療DXの実態の把握のための研究
一方、日本は制度開始から2年目を迎えたばかりです。導入率こそ約25%に届いたものの、中小診療所や院内処方主体の施設での採用が道半ばというのが現状です。
電子処方箋の導入効果は、単に紙がなくなるだけではありません。データが即時に共有されることで医療機関・薬局の業務フローが変わり、患者側にもメリットがあります。以下では「医療期間・薬局側」と「患者側」に分けて、具体的なメリットを整理します。
医師と薬剤師は毎日の処方・調剤業務で大量の紙の突き合わせ作業に追われています。電子処方箋に切り替えることで、安全性・効率・コスト・データ利活用の4つの面で大幅な改善が期待できます。主なメリットを以下の表にまとめました。
処方箋のデジタル化は、患者側さまにも多くのメリットがあります。紙を持ち歩かずに済む便利さに加え、重複投薬の防止や医療費の節約など、患者さま側のメリットも少なくありません。主なポイントを具体例とともにチェックしましょう。
電子処方箋は「処方箋を紙で渡す代わりに、クラウドへ預ける仕組み」です。
医師が入力した薬のデータは安全なサーバーに保存され、薬局は患者の同意を得てそのデータを取り出します。紙の受け渡しがなくなるため、処方箋をなくす心配がありません。ここでは、電子処方箋のデータの基本的な仕組みや発行手順を説明します。
電子処方箋はオンライン資格確認等システムを基盤に、医師・薬剤師がクラウド上の「電子処方箋管理サービス」を介して処方・調剤データをやり取りします。
医師が診察室で確定した処方データに電子署名を付与して電子処方箋管理サービスへ登録すると、薬局側は患者本人の同意確認後にそのデータを取り込み、調剤内容と服薬指導結果を再び電子処方箋管理サービスへ返送します。
こうして処方・調剤・服薬の情報がリアルタイムに循環することで、重複投薬や併用禁忌のチェックが自動化され、次回診療時には残薬や服薬状況まで医師が即座に確認できます。
診察室で処方が決まってから薬を受け取るまで、誰が・いつ・どんな操作をするのかを順番に見てみましょう。
次の表は「医療機関」「薬局」「患者」の三者それぞれが行う作業を①~⑥のステップで整理したものです。
電子処方箋を利用するには、オンライン資格確認端末・HPKIカード(医師資格証)・対応電子カルテ/レセコンの3点が前提です。
これらの導入費用の一部は、厚生労働省の電子処方箋の導入促進補助金で賄えます。補助金額、申請条件、申請方法については、別記事「電子処方箋導入は今がチャンス!国が負担する補助金制度を解説」で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
電子処方箋を始めるには、オンライン資格確認の整備を土台に、電子署名の準備、システムのアップデート、そして利用申請という4つの段階を踏む必要があります。
電子処方箋を使うには、まずオンライン資格確認の仕組みを院内に整えなければなりません。オンライン資格確認がなければ、電子処方箋は使用できません。
受付にマイナンバーカードに対応した顔認証付きカードリーダーを設置し、医療機関等向けポータルサイトで施設情報を登録します。その上で、指定回線の敷設と端末設定を済ませると、患者の保険資格や過去の薬剤履歴をクラウド上でリアルタイムに確認できる環境が整います。
次に医師本人を証明するHPKIカード(医師資格証)の取得に移ります。
都道府県医師会や厚労省委託の認証局に申し込み、カードが届くまでおよそ1~2カ月かかります。電子署名が付かないと処方データを送れないため、時間のかかるこの手続きを最初期に申し込んでおくと後が楽になります。
カードが届いたら院内PCで読み取りテストを済ませ、電子署名が問題なく付与できるかを確認しておきましょう。
3つ目のステップは、電子カルテとレセコンの対応です。
電子処方箋に正式対応した最新版かどうか、ベンダーに必ず確認してください。もし未対応であればアップデートか乗り換えを検討する必要があります。
ポイントは、電子署名を付けた処方データを送信できること、重複投薬チェックのAPIと連携できること、そしてレセプトや薬歴へ自動でデータが受け渡されることの3点です。
環境が整ったら、いよいよ電子処方箋管理サービスの利用申請を行います。
医療機関コードやHPKI番号を入力して電子申請を済ませ、承認メールが届いたらテスト送信で通信を確認します。ダミーデータで問題が起きなければ運用開始届を提出し、稼働開始となります。
レセコン・電子カルテシステムの改修やICカードリーダーの準備など、電子処方箋の導入には費用がかかりますが、これらの費用を対象とする補助金制度があります。
補助金の申請手続きは電子処方箋のポータルサイトで行いますが、以下のような書類が必要です。
また、補助金の上限金額や補助率は、運営形態や病床数によって変わります。令和5年度に電子処方箋を導入した施設については、以下の通りです。
電子処方箋には、「便利で安全」というメリットがある一方、課題がまったく無いとは言い切れません。
クラウドに薬剤情報を集めるがゆえのセキュリティリスク、オンライン資格確認が前提になることで生じる患者対応、さらには院内システム改修の遅延といった課題と対策について解説します。
電子処方箋は処方・調剤データをクラウドに集約するため、サイバー攻撃や情報漏えいへの備えが欠かせません。
医療機関・薬局ともに「HPKI(電子署名)による処方データの改ざん防止」「VPNを利用した暗号化通信」「端末ごとのアクセス権限管理」といったセキュリティ対策を徹底する必要があります。加えて、離席時のスクリーンロックやUSBメモリの使用制限など、日常業務レベルのルールづくりも不可欠です。
電子処方箋を利用するには、オンライン資格確認システムが必要です。一方で、患者側のマイナンバーカード取得率は依然70%弱にとどまり、カードを持たない人には「健康保険証+受診コード」の暫定運用が続いています。
患者がオンライン資格システムに慣れるまでは、受付での説明時間が延びる、カードリーダー操作に戸惑うといった現場負担も無視できません。医療機関・薬局は「カード取得促進のポスター掲示」「受付スタッフの声がけ」といった、普及を後押ししたり、患者が安心して利用したりできるようなサポートが求められます。
院内システムが電子処方箋の仕様に追いつかないケースも散見されます。電子カルテやレセコンのバージョンが古いと、プレ運用が開始された院内処方箋に対応していないなどの不具合が発生します。
メーカーの対応予定を早めに確認し、テスト環境での動作確認を行いましょう。また、更新に伴うスタッフ教育の時間確保とマニュアル整備も忘れずに行うことが、運用トラブルを最小限に抑えるポイントです。
電子処方箋を導入すれば、紙を介さずに処方・調剤データを共有できるため、重複投薬の防止から業務コストの削減、患者の利便性向上まで一挙に実現できます。
一方で、セキュリティ体制の強化やマイナンバーカードの普及、院内システムのアップデートといった課題も残りますが、国の補助金を活用すれば、負担を抑えて導入を進めることが可能です。
クラウド経由で薬剤情報が共有される世界は、すでに欧米では当たり前の医療インフラになりつつあります。国内でも導入率は2年で約25%まで伸びましたが、まだ先行者メリットを享受できる段階です。
医療の安全性と業務効率、そして患者サービスの質を一歩先へ引き上げるために、導入検討をスタートし、医療DXに乗り遅れない体制づくりを進めましょう。
日本調剤はシステム事業者として、早期に電子処方箋用システムの導入に対応しています。2025年2月23日時点で41,030の薬局が運用をスタートしており、今後も普及に向けた取り組みを継続していきます。電子処方箋についてご相談やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
また、日本調剤ではクリニック開業の無料サポートも行っています。開業物件の提案・診療圏調査・スタッフ採用の支援・内覧会の実施など、幅広いサービスを提供しているため、ぜひご相談ください。
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