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医院開業コラム

これからのクリニック経営

「開業医は儲からない」の真相・年収データとクリニック黒字化戦略

「開業医は儲からない」の真相・年収データとクリニック黒字化戦略

一般的に医療機関は廃業率が低く「安定した業種」と言われますが、開業直後にスタートダッシュを誤ると「思ったほど利益が伸びない」と悩むケースも存在します。

そこで本記事では「開業医は儲からない」という声をデータで検証しながら、以下の黒字化に必要なポイントについて解説します。

  • 利益を圧迫しやすい3つの落とし穴(資金繰り・立地・集患)
  • 初年度から黒字を狙う資金計画・集患・節税の施策
  • 長期的に利益を伸ばす 「黒字クリニック三原則」


リスクの正体を理解し、利益を最大化する方法を把握することで、経営が安定した黒字クリニックへと導くヒントをお届けします。

 

目次

 

 

 

開業医と勤務医の年収比較

開業医として働く場合、個人診療所もしくは医療法人の2パターンがありますが、年収についてはどちらも同程度です。

厚生労働省の『医療経済実態調査』によると、個人診療所の損益差額は2023年で28,758,000円となっています。なお、この金額には借入元金の返済額、将来の設備投資のための留保金は含まれません。

そして、医療法人の院長(開設者ではない雇われ院長も含む)の給与は2,700~2,800万円となっています。

一方、勤務医の年収は1,000万円前後です。開業時に5,000万円を返済期間10年で借入すると仮定して、個人診療所の損益差額から借入元金返済額として年500万円差し引いても、開業医の年収は勤務医の2~3倍になることがわかります。

出典:厚生労働省「医療経済実態調査」

開業医が儲かる仕組み

勤務医の給与は年功序列であるケースが多いため、年齢が上がれば年収もアップする傾向にあります。
雇用と給与が安定していることは魅力的ですが、給与体系が定められている関係上、頑張ったからといって、大幅な年収アップの実現は困難でしょう。

 一方、開業医はニーズの高い治療を提供したり、自由診療を取り入れたりすることで、診療報酬の単価アップが実現可能です。
さらに、ホームページやSNS、Web広告、ポスティングなど、集患に注力して患者数を増やすことで、医業収入の向上が狙えます。

 また、規模拡大のために医療法人化し、分院や関連施設を作ることで、売上を増やすことができるでしょう。このように開業医には多様な選択肢があり、経営手法次第で勤務医では成しえない大幅な年収アップが目指せます。

生涯年収で大きな差が出る

先述したように開業医の年収は勤務医の2~3倍ですが、生涯年収に換算するとさらに大きな差が出ます。
例えば、40歳で開業してから年収2,500万円で25年働く場合、生涯年収は6億2,500万円(2,500万円×25年)となります。

一方、勤務医が同じように40歳から25年働く場合、平均年収1,400万円×25年=3億5,000万円です。
仮に開業資金として5,000万円ほどかかったとしても、生涯年収で見ると2億円以上の差が生じます。

 また、勤務医は一般的に65歳で定年を迎えますが、開業医はその年齢を超えても自身で業務負担をコントロールしながら経営を続けられます。少子高齢化の現状、70歳を超えても現役で働いている開業医は多いので、生涯年収でさらに差が開く可能性もあるのです。

 

働き方の違いもポイント

開業医は「儲かるのかどうか」という観点が注目されがちですが、働き方についても勤務医と比べた利点があります。

勤務医の場合、当直やオンコールでゆっくり休む余裕がない、疲労やストレスが溜まっているという悩みも多く見受けられます。また、実際の勤務時間も開業医と比べて長いといわれており、週60時間を超えて働いている人も多いとみられます。

一方、開業医は自分で働き方を選択できます。
勤務時間や休診日はもちろん、診療スタイルも自分の裁量で決められるため、自分に合った働き方を実現しやすいのです。

できるだけ収入を増やしたいと考えていても、無理に働いて身体を壊してしまっては元も子もありません。
自分で働き方をコントロールできる環境にあれば、ワークライフバランスの観点から考えてもメリットがあるといえるでしょう。

 

開業医が儲からないと言われる原因

一般的に医療機関は廃業率が低く安定性が高いと言われていますが、開業直後のスタートダッシュでつまずき「思ったより利益が伸びない」という事態にならないように注意する必要があります。

そこで本章では、黒字化を阻む代表的な要因である

①過剰投資と借入返済
②立地ミスマッチによる患者数不足
③集患マーケティングの不足への対策

この3つを整理します。

先にリスクを把握しておけば、開業後のキャッシュフローを安定させ、期待どおりの収益を手に入れやすくなります。

過剰投資と高額な借入返済

開業コストは診療科にもよりますが8,000万円前後が相場で、内装工事を行い、CTやMRIなど大型機器を導入すれば1億円超も珍しくありません。

黒字化に関する問題として、この初期投資の大半を10年~15年返済の長期ローンや医療機器リースで賄う点が挙げられます。元本返済とリース料は固定費として毎月確実に出ていくため、患者数が計画に届かなくてもキャッシュが流出し続ける構造になります。

想定外来数が2割下振れしただけで、黒字転換が1年以上遅れるケースもあるため「開業しても儲からない」と語られる背景になっています。

 

患者数・立地

厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によると、患者が病院を選んだ理由(複数回答)のトップ5は次のとおりです。

 

  1. 医師による紹介(38.7%)
  2. 交通の便がよい(27.9%)
  3. 専門性が高い医療を提供している(27.0%)
  4. 家族・友人・知人からのすすめ(17.5%)
  5. 医師や看護師が親切(15.2%)


「交通の便がよい」が2位に入っていることから、立地条件は集患に直結する重要な要素だとわかります。
具体的には、競合クリニックが密集している住宅地、駐車場が少ない物件、駅から遠い立地では計画した患者数に届かず、損益分岐点を下回るリスクが高まります。

また、高齢の患者が多い診療科の場合、「駐車場10台以上」「バス停から徒歩3分以内」といった条件を満たさないだけで、1日あたりの新患数が減少する可能性があります。

開業を検討する際は、診療圏調査で競合状況・人口構成を数値化し、来院シミュレーションを作成することが不可欠です。

 

集患・マーケティング

「口コミだけで患者は集まるだろう」と広告費を削りがちですが、実際には開院初年度に数百万円規模の広告・広報費を投下するクリニックほど、黒字化のスピードが速い傾向があります。

ホームページ、SEO、Googleマップ、Instagram広告、LINEなど、オンライン施策は成果が可視化しやすく費用対効果も高めです。逆に何も手を打たなければ、患者数が頭打ちになり固定費だけが膨らみ「借入返済+赤字運営」の負のスパイラルに陥るリスクがあります。

集患は「費用」ではなく「投資」と捉え、費用対効果を試算しながら継続的に改善する姿勢が黒字化の鍵となります。

 

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黒字クリニックを実現する収益改善策

バトン渡す


開業直後から黒字軌道に乗せるには、「売上を底上げする仕組み」と「支出を締める仕組み」の両輪が欠かせません。

本章では
①開業コストを抑え、資金繰りを安定させる
②デジタル集患で患者数を増加させる
③医療法人化で税負担を圧縮する
④人件費・固定費をコントロールする、という4つの収益改善策を解説します。

 

開業コストを抑える

黒字クリニックの原則は「借入総額を抑え、返済比率を20%以内に保つ」ことです。返済比率は、下記の計算で求められます。

返済比率(%)= 年間元利返済 ÷ 予想売上高 × 100

返済比率が高まり資金繰りが圧迫されると広告・人件費に回す余力がなくなり、集患が遅れて負のスパイラルに陥るリスクがあります。「借入総額を抑え、返済比率を20%以内に保つ」ために、以下の3点に注意するとよいでしょう。

 

①居抜き物件を活用

内装設備の残置がある居抜き物件は、工事費を 30〜40%削減できます。家賃は月商の10%を超えると赤字リスクが増加します。
居抜きの郊外ロードサイド物件で工事費を圧縮すると借入総額を抑えられます。

 

②高額機器はリースで月額化

CT・MRIを一括購入すると、3,000〜5,000 万円の現金が流出することになります。
リース契約(月額)に切り替えれば、初期投資を 4,000 万〜6,000 万円に圧縮できます。

 

③ 返済シミュレーションでキャッシュフローを確認

事業計画書の作成時は、悲観・標準・楽観の3パターンを作成しましょう。
悲観シナリオでも返済比率が20%を超える場合は、借入額の低減(居抜き・中古機器を再検討)または返済期間を延長(10 年→15 年で年間返済金額を圧縮)を検討します。

キャッシュフローに余裕が生まれれば、デジタル広告・採用・設備に投資し、立ち上がりを加速できます。

 

デジタル集患

オンラインでの情報収集が当たり前となった現在、患者は「検索→比較→予約」というステップをスマホ一つで完結させています。

したがって、クリニックの集患も、「資産として育てる自院メディア」と「即効性を担保する有料広告」の二段構えで設計することが重要です。下表では、それぞれの施策と確認すべき数値目標を整理しました。

 

区分 目的 主な施策 成功指標の例
自院メディア 見込み患者に「安心感と指名検索」を生む資産づくり ホームページ/ブログ

SEO

医療広告ガイドラインに準拠した症例提示

指名検索数

ホームページ、ブログ経由の予約完了数

Googleマップ

診療時間を常時最新化

★4以上を目標に口コミを獲得

Googleマップ経由の予約完了数
LINE公式アカウント

友だち追加QRコードを院内・Webサイトに掲出

リッチメニューから24時間予約受付

月1回のニュース配信

LINE友だち追加数
有料オンライン広告 新患を安定的に呼び込み、CPA5,000円以下をキープ Instagram広告

地域×性別×年齢で配信

Google、Yahoo検索広告

「診療科+地域名」の検索ワードで広告を出稿 

CPA(1人あたり獲得コスト)5,000円未満

月間新患数(広告経由)

 

自院メディアは広告費ゼロのメディアとして、検索順位と口コミ評価をじわじわ押し上げる長期戦略で運用しましょう。
ホームページで専門性と安心感を示し、Googleマップで近隣ユーザーに露出し、LINEで再診予約やリマインドを自動化するという流れだけで、固定費をかけずに安定した集患が可能になります。

一方、有料広告は CPA(患者獲得コスト)が 5,000 円を下回る限り「広告費を掛ければ利益が伸びる」状態をキープできるはずです。

Instagramで近隣住民の認知を獲得し、GoogleやYahooの検索広告で「今すぐ受診したい患者層」を取りこぼさない運用が基本となります。両者を数値でモニタリングし、指名検索と口コミ評価が伸びるほど広告単価が下がる好循環を作れれば、開業2年目でも月間新患数150人・CPA4,000円台を十分に狙えます。

 

医療法人化+節税

一般的に「年間利益が1,500万円を超えたら医療法人化を検討すべきタイミング」と言われます。

個人開業医の所得税・住民税は最高55%まで跳ね上がる一方、法人税率は実効約23%です。
法人化で課税対象を分散すれば、税負担は軽減されるでしょう。

法人化後に押さえておきたい主な節税スキームは次のとおりです。

 

節税方法 具体策 効果のイメージ
所得分散 配偶者・親族を理事に登用し、役員報酬を配分

給与所得控除が使える

院長個人の課税所得を圧縮し、累進税率を抑制
生命保険の損金計上 法人契約で逓増定期・定期保険などを活用

保険料の1/3〜全額を損金算入

役員退職金を外部積立しつつ、当期の利益を圧縮
MS法人の設立 事務代行・清掃・自費物販を別法人化

医療法人から外注して利益移転

非保険収入をMS法人に付け替え、法人間取引で節税
退職金積立 中小企業退職金共済・iDeCo+(企業型)を採用 将来のキャッシュアウトを損金処理し、資産形成

まずは税理士に相談し、月次の損益計算書で年間利益が1,500万円を超える状態が継続しているかを確認しながら、医療法人化に踏み切る最適なタイミングを見極めます。

法人化の手続きを進める際には、配偶者や親族を理事に登用し、複数パターンの役員報酬をシミュレーションして、法人・個人を合わせた税負担が最も小さくなる給与配分を決定します。

さらに、生命保険を損金計上しながら退職金制度を整備し、事務代行や物販を担うMS法人を設立するといった施策をワンセットで設計すれば、節税と長期的な資産形成を同時に実現しやすくなります。

このような節税に関する取り組みは、顧問税理士に相談の上実施することをおすすめします。

 

人件費とその他固定費の見直し


黒字経営を安定させるカギは、人件費率を25%前後に保ちつつ

①スタッフ配置の適正化
②DXで業務を省力化
③固定費の定期的な見直しの3点を行うことが重要です。

 

①スタッフ配置の適正化

スタッフ配置は「来院患者20人=スタッフ1人」が目安です。
算定方法は、ピーク(例:月曜午前80名)と閑散日の来院数を分けて計算します。
休暇代替要員として0.2〜0.3人分を上乗せし、繁忙日は派遣や短時間パートを活用し、常勤比率を抑えましょう。


適正人数を超えて常勤を採用すると、スタッフ1人につき年間300万円超の固定コストが発生します。
逆に1名削減できれば人件費率が改善するため、黒字幅が広がります。

 

②DXで業務を省力化

受付・会計・経理といった定型業務をDXで自動化すれば、常勤スタッフを増やさずに業務効率が向上するため、人件費率25%を維持しやすくなります。

下表は、初期投資100万〜200万円規模で導入しやすく、効果が明確な代表的ツールと削減効果をまとめたものです。

項目 施策 削減効果
受付業務 オンライン受付・問診

予約時に症状入力→来院後の問診時間を短縮

受付スタッフの業務効率アップ
会計処理 自動精算機+キャッシュレス会計

会計待ち解消、入金漏れ防止

常勤事務をパート勤務へ置換可能

 

初期投資が100万〜200万円であっても、常勤1人分(年300万円)の固定人件費を置き換えられればROIは1年未満となり、その後は収益を押し上げ続ける資産になります。

 

③固定費の定期的な見直し

光熱費やリース料のように「額は大きくないが毎月必ず出ていく費用」を定期的に棚卸しし、数字で管理する仕組みが欠かせません。

 

  1. 電力・通信費

契約更新のたびに複数社から見積もりを取り、より安いプランへ乗り換えれば、年間費用の削減が期待できます。

 

2.リース契約(医療機器・OA機器など)

更新の数か月前に相見積もりを取り、支払額を下げられないか条件を再交渉しましょう。
固定費を月に1%削減するだけでも、年商1億円規模のクリニックなら年間100万円以上の利益を押し上げる計算になります。

前月比で固定費の増減をモニタリングし、2%以上増加していれば原因を確認する仕組みを整えると、ムダな支出が膨らむ前に手を打てるでしょう。

クリニック黒字化の三原則

女性医師

 

黒字経営を早期に達成し継続させるには

①固定費を絞って損益分岐点を引き下げる、
②患者価値を高める投資に資金を集中させる、
③経営指標を毎月チェックして素早く軌道修正する、という三原則を実施することが重要です。

以下の表で各原則の要点とKPIを整理しました。

 

施することが重要です。以下の表で各原則の要点とKPIを整理しました。

原則 重点ポイント 実践チェックリスト 主要KPI・目安
固定費を抑える 家賃・人件費・リース料を最小化し損益分岐点を引き下げる 居抜き物件で工事費を削減

CT・MRIはリースで月額化

人件費率25%以内を維持(来院患者20人につきスタッフ1名)

初期投資6,000万円以内

返済比率20%以下

人件費率25%以下

患者価値に直結する投資に集中 費用対効果を考慮し、患者体験向上へ資源を配分 高額機器は投資回収5年以内を目安にする

Web予約・LINE・Googleマップ最適化を優先

サブスクリプション型サービスで初期支出を抑制

投資回収年数5年以下

予約完了率

経営数字を毎月チェック 数字の可視化で赤字要因を即発見・即修正 月次の経営指標を必ず確認

KPI(来院数/保険点数/CPA など)を前月比・前年比でチェック

固定費増加2%超で対策実施

運転資金2か月分以上

来院数

保険点数

オンライン広告のCPA5,000円以下

固定費前月比 ±2%以内

 

黒字開業へのロードマップ

開業医が安定的に利益を確保するには、

①固定費を抑えて返済比率を低く保つ、
②患者価値を高める投資に絞り込む、
③毎月の経営指標を可視化して素早く軌道修正するという、三原則が欠かせません。

設備や人員に過大投資せず、デジタル集患と医療法人化で収益構造を最適化することが重要です。

この3点を徹底すれば、開院1年目から黒字軌道に乗せることは十分に可能です。

もし「物件選びや資金計画をプロに相談したい」「開業後の数字管理に不安がある」という場合は、
日本調剤では、物件紹介・診療圏調査・人材採用など開業準備を幅広くサポートし、開業後のフォローも行っております。

黒字化を見据えた堅実な開業を目指す先生は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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