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開業医と勤務医の違いを徹底比較!年収やメリット・デメリット

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開業医と勤務医の違いを徹底比較!年収やメリット・デメリット

病院の勤務医として経験を積み重ねると、新たに開業して独自の道を歩むか、あるいは勤務医としてさらにキャリアアップを目指すか、今後のキャリアプランを考える機会が増えてくるでしょう。

その際に、開業医と勤務医は何がどう違うのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、開業医と勤務医における平均年収や労働時間の違い、メリット・デメリットなどを解説します。

目次

 

1.開業医とは?

医師イメージ

開業医とは、自分で病院や診療所などを経営する医師のことです。自分で開業エリアを選んで医院づくりを一からスタートする「新規開業」と、親族や第三者から経営を引き継ぐ「承継開業」の2パターンがあります。

一方、勤務医は特定の医療機関に雇われている医師のことです。病院で働く医師も、開業医の経営するクリニックに勤める医師も勤務医に含まれます。

厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計によると、病院・診療所を合わせた開業医の数は2020年時点で77,728人、開業率(開業医÷医療施設に従事する医師数)は24%です。多くの医師は病院の勤務医として働いていますが、ここから開業して地域貢献や年収アップを目指すのが医師の典型的なキャリアプランの一つです。

出典:

日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」

厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」

 

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開業医の年齢

少し前のデータですが、2009年に日本医師会が実施したアンケート調査によると、医師が新規開業したときの平均年齢は41.3歳となっています。

さらに、開業後年数別で比較した場合の結果は以下の通りです。

 

  • 5年以内:9歳
  • 5~10年:5歳
  • 10~20年:7歳
  • 20~30年:4歳
  • 30年超:5歳

 

このように開業後年数が短い(最近開業した)人のほうが年齢も高くなっているので、近年の医師は勤務医として着実にキャリアを重ねてから開業している傾向にあるといえます。

 

また、診療所の開設者および法人の代表者については、平均年齢が2020年時点で62歳と年々高齢化している状況です。日本の少子高齢化が進んでいる現状では、今後も平均年齢は上昇すると推測されます。

出典:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」

主な診療科目

厚生労働省の医療施設調査のデータをもとに、診療所の主な標榜科目のTOP10を表形式でまとめました。

2014年 2017年 2020年 増加率
(2014年→2020年)
診療所総数に対する割合
内科 63,888 63,994 64,143 100% 62.50%
小児科 20,872 19,647 18,798 90% 18.30%
消化器内科(胃腸内科) 18,658 18,256 17,731 95% 17.30%
循環器内科 13,097 13,057 12,807 98% 12.50%
皮膚科 12,328 12,198 12,410 101% 12.10%
整形外科 12,792 12,675 12,439 97% 12.10%
外科 13,976 13,076 12,405 89% 12.10%
リハビリテーション科 12,198 11,834 11,458 94% 11.20%
眼科 8,260 8,226 8,244 100% 8%
アレルギー科 7,241 7,475 7,724 107% 7.50%

出典:厚生労働省「医療施設調査」を基に表を作成

内科・眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・心療内科・産婦人科などは、かかりつけ医として継続的に来院者数を確保できるので、開業医の割合が多くなっています。

また、直近で増加率が高い診療科目のTOP10もまとめたので、こちらもご確認ください。

 

2014年 2017年 2020年 増加率(2014年→2020年) 診療所総数に対する割合
心臓血管外科 318 386 444 140% 0.4%
乳腺外科 664 796 852 128% 0.8%
糖尿病内科(代謝内科) 3,273 3,870 4,196 128% 4.1%
腎臓内科 1,720 1,962 2,154 125% 2.1%
美容外科 1,128 1,233 1,404 124% 1.4%
血液内科 424 445 476 112% 0.5%
精神科 6,481 6,864 7,223 111% 7%
形成外科 1,958 2,046 2,167 111% 2.1%
心療内科 4,577 4,855 5,063 111% 4.9%
呼吸器外科 153 150 165 108% 0.2%

出典:厚生労働省「医療施設調査」を基に表を作成

上記の診療科は、近年ニーズが高まっているといえるでしょう。

 

2.開業医と勤務医の平均年収比較

医師イメージ
厚生労働省の医療経済実態調査のデータによると、個人診療所の院長の年収(クリニックの損益差額)は2019年に27,445,000円、2020年に22,982,000円です。ただし、院長の手元に残るのは、この金額から借り入れの返済分や追加の設備投資などにかかる費用が差し引かれます。

また、医療法人の院長の平均年収を見てみると、2019年時点で27,834,800円、2020年時点で27,299,869円です。このデータの調査対象には、開設者ではない雇われ院長も含まれています。

一方、勤務医の平均年収は、診療所だと1,000万円前後、病院勤務医では1,400万円ほどです。これらの結果を踏まえると、開業医の年収は勤務医の約2~3倍だと考えられます。

※2020年はコロナウイルスの影響が大きいため、数値は参考程度にとらえてください。

診療科目別の年収

診療科目別の年収の参考として、2019年および2020年における主たる標榜科目別の個人診療所の損益差額をまとめました。

2019年 2020年
内科 24,550,000 20,503,000
小児科 24,574,000 15,231,000
精神科 33,804,000 32,797,000
外科 11,784,000 11,589,000
整形外科 32,042,000 26,969,000
産婦人科 19,737,000 19,718,000
眼科 40,918,000 35,588,000
耳鼻咽喉科 33,188,000 21,210,000
皮膚科 31,252,000 29,068,000

出典:厚生労働省「医療経済実態調査」を基に表を作成

上位の眼科と精神科は、新型コロナウイルスの影響があった2020年でも比較的安定した収入を確保しています。

3.開業医と勤務医の労働時間の違い

厚生労働省の「令和元年 医師の勤務実態調査」のデータによると、病院常勤勤務医の週あたりの平均労働時間は男性で約57時間、女性で約52時間です。特に男性の場合、週60時間以上働いている医師の割合が40%以上となっています。

診療外時間や待機時間が多いこともあり、近年の医療現場では長時間労働が常態化しているのが実情です。2020年以降は新型コロナウイルスの影響もあり、より過酷な労働環境に置かれている勤務医も少なくありません。

一方、東京保険医協会の調査データによれば、開業医は60%以上が週あたりの総労働時間が50時間未満に収まっています

出典:

厚生労働省「医師の勤務実態について」

東京保険医協会「開業医の働き方実態調査」

 

4.開業医と勤務医のメリット・デメリット

一般的に勤務医から開業医にステップアップするというイメージがありますが、どちらが良いとは一概にはいえません。それぞれにメリット・デメリットがありますので、自分に合った道を選択することが何より重要です。

開業医のメリット

先述の通り開業医の年収は勤務医の約2~3倍と高いので、経営が軌道に乗れば大幅な収入アップが見込めます。頑張り次第で収入はさらにアップするため、モチベーションも高まりやすいでしょう。

さらに、診療スタイルや働き方も自分の裁量で決められるので、理想的な医療を実現させることができます。

また、医局など自分がコントロールできない人間関係のストレスが減る、より患者さんに近い立場で地域医療に貢献しやすいといった点もメリットです。

開業医のデメリット

開業医として働く場合、集患のための広告宣伝・人材マネジメント・外注業者選定など、診療だけではなく経営者としての仕事にも携わる必要があります。経営の安定化を図るため、さまざまな場面で適切な判断を下さなければなりません。

もし経営がうまく軌道に乗らなければ、十分な収入を得られない可能性も出てきます。常に診療報酬の変動や経費、スタッフの給与など計算しながら、資金をやりくりしなければならない点が大変です。

また、自分が体調を崩して休業する場合、収入ゼロになってしまう恐れもあります。各種保険に加入するなど、リスクに備えた対策も不可欠です。

勤務医のメリット

勤務医は組織に属して働くので、一般企業の会社員と同じく安定した雇用・収入が見込めます。年功序列を採用している病院や診療所も多いため、継続して働けば収入アップも期待できるでしょう。

雇用保険・労災保険・傷病手当・住宅手当など、福利厚生が充実していることも見逃せません。怪我や病気で働けなくなったときも保障されるので、安心して働くことができます。

また、診療業務に専念できること、先進医療や幅広い分野に携われることもメリットです。

勤務医のデメリット

勤務医は安定した収入を得られる反面、将来的に大幅な収入アップは見込めないかもしれないのがデメリットです。勤務先の給与体系にもよりますが、優れた実績を出していても、一気に給与が上がる可能性は低いといえるでしょう。

さらに、急な呼び出しに対応したり、当直で働いたりするケースも多いため、開業医と比べて長時間労働になりやすく、身体的負担もかかりがちです。

また、組織に属している関係上、医局人事による自分の意に沿わない異動・転勤を命じられる可能性もあります。

 

5.開業医が経営で失敗しないために

開業医と勤務医はそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが良いとは一概にいえないのが実情です。開業医は高年収や裁量の大きさが魅力的ですが、勤務医にはない「経営」という仕事もこなさなければなりません。

新規でクリニックを開業し、成功させるためには、開業エリアの選定や周辺の調査、事業計画の策定および資金調達、集患のための広告宣伝など、医療とはまた別の専門知識が求められる数多くのプロセスを踏む必要があります。さらに内装設計や業者選定、医療機器の購入・リース、行政手続きなどには手間がかかるため、医師が一人でやるのは大変です。

開業しようと思ったら、まずは知識・経験豊富な専門家に相談すべきといえるでしょう。日本調剤では、条件良好な物件をご紹介できるほか、開業および開業後の経営のサポートも行っているので、ぜひ気軽にご相談ください。

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