医院開業コラム
患者は不安と迷いを抱えながら受診している
マスク姿が日常となって半年近くが過ぎようとしています。まだ予断が許されない中で、インフルエンザの流行シーズンが迫り、医療従事者の方々におかれましてはこれまで以上に感染予防対策に注力していらっしゃることと思います。
新型コロナウイルスは、われわれの生活に大きな変化をもたらしましたが、医療機関との向き合い方もその一つです。緊急事態宣言の最中、医療機関への受診控えが拡大しているというニュースがあったことも記憶に新しいのではないでしょうか。
そうした中で、総合医療情報サイト『ドクターズ・ファイル』を運営する弊社、株式会社ギミックでは、2020年4月に医療機関への受診意識についてアンケートを実施。これによると、対象の男女500人のうち、80%の人が「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療機関へかかりづらくなった」と回答しています。
とはいえ、患者はもうクリニックに行きたくないのかというと、決してそうではないのです。同調査によると500人のうち、91.8%もの人が「新型コロナウイルスが流行して以来、自身もしくは家族が実際に医療機関を受診した」と答えています。
要するに、患者は「クリニックには行きたいけれど、不安」なのです。
現在、「受診控え」自体は一部回復傾向にありますが、「不安を抱えながらの受診」が与えるストレスは、患者が本来得られるはずだった診療満足を削いでしまうことでしょう。そして満足度の低い状態が続くと、将来的な受診モチベーションに悪影響を与えかねません。
患者は受診するために「不安を払拭してもらいたい」
それでは、患者にとっての「不安」とは具体的には何でしょうか?
アンケートでは、医療機関への受診を「我慢した」、もしくは「迷った/やや迷った」人のうち、92.3%の人がその理由を「院内の感染リスクがあるから」だと回答しています。医療機関は衛生管理が行き届いているため、本来感染リスクは低いといわれています。
しかし、そういった事実を一般の人が理解しているかというと決してそうではなく、「ウイルスが漂っているような気がする」といったイメージが先行してしまうのも無理はありません。
最近では、飲食店やアパレルショップなどで入店時のアルコール消毒や体温測定が徹底されるなど感染防止対策が増え、消費行動も一時期に比べて回復してきました。
これは医療機関の受診においても、本質的には同じだと考えられます。
アンケートによると、患者が新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの期間に「医療機関を受診する前に知りたい情報」として最も求めていたのは「院内の感染予防策」(52.8%)でした。
つまり「感染予防対策を知ること」ができるかどうかが、患者にとっては受診行為とその後の診療への満足度を左右する重要なポイントになります。
患者への周知方法としては、各クリニックのホームページでの情報提供はもちろん、日本医師会や日本歯科医師会が提案している「新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関 みんなで安心マーク」を活用するのも一案でしょう。
また、今後患者は「安心」を優先したクリニック選びを行っていくため、主に既存患者向けであるホームページのみならず、地域住民に情報を提供できるWEB メディアや地域情報誌などを通じた情報発信もさらに重要になると考えられます。
参考データ:
~総合医療情報サイト「ドクターズ・ファイル」が『新型コロナウイルス
感染拡大による医療機関の受診意識への影響』の調査を実施~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000010559.html
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