クリニックの労務管理において、就業規則の『服務規律』に記載する項目が持つ意味は非常に大きいものになります。この服務規律に記載する内容としては、職員が社会人として仕事をするうえで「守るべき基本的な事項」から、先生が「職場のルール」として守って欲しい独自事項まで、幅広く記載することができます。
また、職員に対して注意・指導する際にも、この服務規律や懲戒規定に記載してある項目を基準に行うことになり、この服務規律や懲戒規定など就業規則に記載のないことについては、注意・指導などが行いにくくなります。
また、この服務規律に記載する内容については、クリニックで行われていることの実態に即していることも求められます。

実際に服務規律に記載する内容の事例として、クリニック向けに追加している項目を一部紹介していきます。

・職員は常に医療業務に携わる社会的使命を自覚し、自己の人格、知識、技術を向上させ るための自己啓発に努めなければならない
・職員は、当院から教育・訓練を受講するよう指示された場合は、特段の理由のない限り 教育・訓練を受けなければならない
・患者様の検査、処置等が終わらない、または緊急の際には、特別な理由のない限り、持ち場を離れてはならない

また、出退勤に関するルールも下記のような形で加えておくと、明確になると考えられます。
・遅刻または早退しようとするときは、事前に院長に連絡し、許可を得なければならない。ただし、やむを得ない事由により事前に許可を得ることができない場合には、事後速やかにその理由を院長に届け出なければならない
・病気その他やむを得ない事由により、欠勤または休暇を必要とするときは事前にその理由、予定日数等を明記のうえ院長に届け出て承認を得なければならない。
・タイムカードは、職員各自が責任をもって打刻すること。タイムカードの打刻は、始業時は制服着用後に打刻し、退勤時は打刻後に更衣など退勤準備を行うこととする。

昨今はハラスメントに関する争いも増えてきており、セクハラ・パワハラ防止規定も設けておくことをおすすめしております。

就業規則の服務規律をクリニックにあったものにしていくことで、先生を守る労務管理が行いやすくなりますので、開業前には服務規律だけでも整えておくとよいでしょう。