医院開業コラム
クリニックの開業・経営を成功させるためには、自院の魅力をアピールする集患対策が欠かせません。現在、集患対策のツールはホームページなどのデジタル広告に移行していますが、アナログ広告の一つ「看板」も今なお有効です。
一方、看板をどのようにデザイン・設置すべきか知りたい先生も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、クリニック看板を設置するメリットを踏まえつつ、看板の種類や費用相場、デザインのポイントなどについて解説します。
クリニック看板を設置するメリット
クリニックの看板を設置することで、以下のようなメリットを享受できます。
- 集患に効果的
- クリニックの印象を伝えるブランディング
- 高い費用対効果が見込める
各メリットの概要もまとめたので、ぜひご確認下さい。
1-1 集患に効果的
クリニックは医療サービスを提供する性質上、人々の生命や健康に深く関わる施設です。治療効果や実績を大げさに掲載したり、科学的根拠に乏しい情報を伝えたりすると、取り返しのつかない事態を招く可能性もあるので、医療法に基づく広告規制が設けられています。
こうした広告規制の縛りを受けるクリニックにおいて、看板は周辺住民にクリニックの存在そのものを認知してもらうための効果的な広告媒体です。自院の名称はもちろん、診療科・診療時間・休診日・電話番号など、重要な情報をまとめて掲載できるので、集患に欠かせないツールとなります。
1-2 クリニックの印象を伝えるブランディング
看板は単なる広告媒体ではなく、患者さまにクリニックの印象を伝える「顔」のような存在です。クリニックのイメージを正確に伝えつつ、前を通る潜在患者の人々に好感を持ってもらうことで、自院ならではの価値を伝えるブランディングができます。
クリニック名・診療科・外観デザイン・周辺環境なども考慮しつつ、自院のイメージに合った看板デザインを実現すれば、より良い印象を与えられるため、結果的に集患へとつながるのです。
1-3 高い費用対効果が見込める
クリニックの看板を設置する際は、業者に支払う費用がかかります。設置場所や種類によって費用は変動しますが、看板は一度設置すれば、継続的に集患効果を発揮してくれるため、広告媒体として相応の費用対効果が見込めます。
広告媒体の種類はさまざまですが、そのほとんどで掲載料やデザイン料といった広告費が発生します。いかに集患できたとしても、経費の一種である広告費がかさんでいると、最終的に得られる利益も減ってしまうため、広告における費用対効果は極めて重要です。
診療単価や来院患者数にもよりますが、看板は比較的早いタイミングで費用を回収できる可能性があります。
クリニックの看板の種類
クリニックの看板には、以下のような種類があります。
- 自立看板(スタンド看板)
- ファサード看板
- プレート看板
- ウィンドウサイン
- 野立て看板
- 袖看板(突き出し看板)
- 電柱看板
- 駅看板
種類別の特徴や強みもまとめました。
2-1 自立看板(スタンド看板)
自立看板はその名の通り、地面に自立させる形で設置できる看板です。クリニック名や駐車場の場所を示すために使われるケースが多く、クリニックの存在をしっかり認知してもらいつつ、患者さまを目的地までスムーズに案内する役割を担っています。
自立看板と一口にいっても、スタンド看板・ポール看板・タワーサインなどいくつか種類があります。特にスタンド看板は低コストで製作できる上、設置の手間もかかりませんが、地域やテナントによっては設置許可を得る必要があります。
2-2 ファサード看板
ファサード看板とは、クリニックの入口や建物正面に取り付ける看板です。一般的にクリニック名を大きく表記するケースが多いので、前を通る人々の視界にも入りやすくなっています。
自立看板と同様、ファサード看板もクリニックの存在を認知してもらう役割を担っていますが、こちらは案内というよりアピールが主な目的です。設置場所の関係上、クリニックの「顔」という側面が最も強いので、デザインや仕様にこだわった看板がよく見受けられます。
2-3 プレート看板
プレート看板とは、クリニックの入口横や外壁に設置する看板です。自立看板やファサード看板のように通りすがりではなく、足を止めて近くでじっくりと見てもらえるケースが多いので、より細かな情報が掲載される傾向にあります。
また、プレート看板は比較的軽量で扱いやすいため、ネジや両面テープを使って自分で取り付けることも可能です。ただし、壁面の素材や状態によっては取り付けが難しいケースもあるので注意しましょう。
2-4 ウィンドウサイン
一般的なクリニックの場合、室内の明るさを確保できるよう、入口横や建物正面はガラス面になっています。このガラス面に貼り付けるシート状の看板が、ウィンドウサインと呼ばれるものです。
ウィンドウサインは情報を伝えるだけではなく、ガラス面を使ってクリニックのイメージカラーや雰囲気を演出することもできます。また、クリニック内の目隠しや紫外線カット、ガラス飛散防止といった副次効果も得られるため、そのメリットも含めて有用な看板です。
2-5 野立て看板
野立て看板とは、クリニックの敷地以外の屋外に設置する看板です。道路や線路の脇に立てられた看板、ビルの屋上に取り付けられた看板などが該当し、複数の看板を1ヶ所にまとめるケースもよく見受けられます。
基本的に野立て看板は目立ちやすい場所に設置されることが多く、サイズも比較的大きめです。野立て看板では、文字数や情報量は少なめになっていますが、これは走行中の車や電車から見られることに配慮し、あえて掲載内容をシンプルにして視認性を高めることを狙っています。
2-6 袖看板(突き出し看板)
袖看板とは、建物の壁面や支柱から突き出るような形で設置する看板です。着物の袖のように見えることが名称の由来ですが、シンプルに「突き出し看板」と呼ばれることもあります。
基本的にクリニック名や入口の位置を表記しますが、裏表どちらからでも確認できる両面型が基本です。看板に厚みを持たせると、側面に表記することもできます。
素材や形状のバリエーションが豊富で、看板内部にLEDなどを取り付けて照らすタイプもあります。
2-7 電柱看板
電柱看板もその名の通り、電柱に取り付ける看板です。先述した袖看板(突き出し看板)と、電柱に巻き付ける「巻看板」の2種類があります。
電柱自体は街のさまざまな場所に設置されているため、不特定多数の通行人に対するアピールやクリニックまでの道案内として活用可能です。また、コストも比較的安いので、広告費を抑えやすくなっています。
ただし、通行人が少ない地域だと集患効果は見込めないので、他の看板を検討すべきでしょう。
2-8 駅看板
駅看板とは、駅構内の通路や線路前などに設置する看板です。電飾式・非電飾式・間接照明式など、複数の仕様があります。
地域や路線にもよりますが、駅は毎日多くの人々が利用する施設です。そのため、大勢にクリニックをアピールできる場所ですが、掲載料・看板製作費用・撤去費用といったコストがかさみやすいという難点もあります。
また、最近は駅での待ち時間にスマートフォンを利用している人も多いので、以前より駅看板は注目されにくいかもしれません。
クリニックの看板の費用相場
先述の通り、クリニックの看板にかかる費用は一定ではありません。設置場所・種類・サイズ・素材など、さまざまな要素によって大きく変動するので、数十万~数百万円単位の差が出ることもあります。
看板を一般的なサイズや素材で製作し、なおかつ設置にあたって特別な作業が発生しない場合、費用相場は10万~100万円程度です。一方、大型サイズの看板を製作したり、高所など作業が難しい場所に設置したりする場合、高額な費用を請求される可能性もあります。
また、外注先の業者によっても費用形態やプランはそれぞれ異なるため注意が必要です。基本的にサービス内容が充実するほど費用も高くなるので、なるべく予算の範囲内で依頼できるよう調整しましょう。
3-1 看板にかかる費用を抑える方法
看板にかかる費用を抑えたいなら、まずは複数の業者から相見積もりをとって比較する必要があります。しかし、業者によって差があるとはいえ、外注だと大幅なコストカットは難しいことも事実です。
看板の種類やサイズによってはDIYで設置することも可能なので、ある程度の知識や機材を持っている場合、あるいは親戚や知人に頼める場合、選択肢の一つに入れましょう。DIYなら工賃や手数料がかからないので、その分だけ費用を節約できます。
また、開業場所が決まっていないなら、複数のクリニックが集まる「医療モール」で開業するのも一案です。医療モール全体として広告を打ったり、看板を出したりできるケースがあるので、結果的にコストカットを実現できます。
おしゃれな看板デザインのポイント
看板のデザインをおしゃれに仕上げるためには、以下のようなポイントが大切です。
- 医院のコンセプトや外観に合った統一感ある色やデザイン
- 看板の種類や目的に応じたデザイン
- 医療広告規制への対応
各ポイントの要点も詳しく解説します。
4-1 医院のコンセプトや外観に合った統一感ある色やデザイン
看板のデザインを検討する際は、自院の診療科やコンセプト、建物の外観デザインを踏まえつつ、それに合わせて色・形状・素材・フォントなどを決めることが大切です。
例えば、クリニックは医療サービスを提供する施設なので、清潔・誠実なイメージを表す青、優しいイメージを表す緑などをチョイスすれば、ほとんどの診療科にマッチします。
一方、婦人科は女性の患者さまがほとんどなので、ピンクやベージュなどフェミニンな色をメインに据えると、女性向けのクリニックだと伝わりやすくなるでしょう。
また、クリニック周辺の建物との調和も考慮すべきです。地域によっては景観条例で色やデザインが制限されるので、その辺りも確認する必要があります。
4-2 看板の種類や目的に応じたデザイン
看板と一口にいっても多種多様であり、それぞれ特徴や強みが異なるため、種類や目的に合わせてデザインすることも大切です。
例えば、自立看板の目的は「クリニックの存在を認知してもらうこと」「患者さまを目的地に案内すること」なので、遠くからでも見える視認性を重視する必要があります。情報量は必要最低限に抑えつつ、文字をできるだけ大きく評価したいところです。
一方、プレート看板や駅看板などは至近距離で見られることを想定し、診療科や診療時間といった情報を分かりやすく表記します。近くで読めるなら問題ないため、情報量を増やしても構いません。
4-3 医療広告規制への対応
クリニックの看板は原則として医療広告規制が適用されるので、厚生労働省が定める「医療広告ガイドライン」を守って製作しなければなりません。
医療広告ガイドラインによると、以下のような広告が禁止されています。
- 比較優良広告
- 誇大広告
- 虚偽広告
- 公序良俗に反する内容の広告
- 患者の主観や伝聞に基づく、治療内容・効果に関する体験談の広告
- 治療内容・効果について、患者を誤認させるおそれがある治療前後の写真の広告
これらに違反した場合、広告の中止・是正を命じられたり、懲役・罰金が課されたりするので、事前に規制内容をよく確認しておきましょう。
クリニック看板の業者の選び方
看板の製作・設置を外注する場合、信頼できる業者を選ぶ必要があります。業者の質を見極める際は、最低でも「価格の内訳」「クリニックにおける実績」をチェックしましょう。
特に意識すべきポイントについても解説します。
5-1 価格の内訳
業者から見積もりをとったら、価格の内訳をチェックすることが大切です。コンサルティング・デザイン・製作・施工など、看板の設置が完了するまでに複数のプロセスがあるので、どのプロセスでどれくらい費用が発生するか把握しつつ、トータルコストをきちんと確認しましょう。
もし不明点や疑問点が出てきたら放置せず、業者に説明を求めます。業者からの回答に納得がいかなかったり、理由もなく契約を急かされたりする場合、一度依頼を取り下げた方が無難です。
5-2 クリニックにおける実績
看板業者は全国に数多くありますが、クリニックの看板の製作・設置実績は必ずチェックしましょう。医療広告規制をはじめ、一般的な看板とは異なる点が多いので、その辺りの事情に精通している業者を選びたいところです。
実績はホームページやブログで公開されているので、看板のデザインや利用者の声なども含めて確認して下さい。ブランディングや集患まで考慮した提案をしてくれる業者であれば、より高い集患効果が見込めるので安心です。
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看板は単なる掲示物・広告媒体ではなく、クリニックの印象を左右する「顔」です。診療実績や医療サービスの品質がいかに優れていても、看板の内容やデザインが悪いと、思うように集患できない可能性もあります。
また、看板は種類が多いため、それぞれの特徴や強みを理解した上で、自院に合ったものを製作・設置することも大切です。費用対効果も考慮し、ベストな選択肢を検討しましょう。
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