今回は総括的に開業までの
スケジュールをお話しします。時系列に箇条書きしますが、状況により順番の前後がある場合がございます。

(1)構想相談
ご自分の長所・差別化できるポイントを明確にし、マーケット(老人・小児・女性・
特定疾患等)をとらえます。

(2)エリア選定
構想を実現するのに適したエリア、通勤し続けることが可能なエリアを選定します。
「逆引き調査(競合が少なく、市場性がある地域を探す調査)」を業者に依頼できる
場合もあります。

(3)物件探し、診療圏調査
物件タイプ(戸建、ビル診等)を検討の上、物件探しをします。
必ず物件の内見をしましょう。

(4)事業計画書の作成開始
物件の条件を踏まえた上で、コストや収入見込みを予想し、事業計画を立てます。

(5)物件申込み、交渉、契約
賃貸の場合、物件の申込みをして交渉を開始、契約書のチェックを経て契約となります。

(6)内装計画、見積
内装業者と打ち合わせ、図面作成、見積を出してもらいます。

(7)医療機器・電子カルテ選定、見積
医療機器卸・メーカー、電子カルテメーカーと打ち合わせ。
デモンストレーションによる比較の上、見積を出してもらいます。

(8)事業計画最終調整、資金調達
医療機器や内装等、金額が大きいものの見積が出そろったところで
事業計画を最終的に詰め、金融機関に融資の申し込みをします。
計画によってはリース会社との打合せも必要となります。

(9)広告・印刷物打ち合わせ開始
クリニック名を確定し、ロゴマーク作成、広告媒体の選定、
名刺やリーフレット、新聞折り込み広告などの印刷物の打合せ及び発注をします。

(10)保健所事前相談
保健所に診療所開設届を提出するにあたり、記載した内容の事前チェックや
図面上の指導を受けます。

(11)内装着工・医療機器搬入
保健所の事前相談後、内装図面を確定し内装業者と請負契約を締結し、
着工となります。医療機器・電子カルテも最終確定し発注、搬入します。

(12)求人・面接・採用
求人媒体の選定(新聞折込広告、インターネット、フリーペーパーなど)を行い、
面接、採用を実施します。
この頃には労務の専門家の相談や支援を受けることをおすすめします。

(13)内装完成引渡し
この頃には、防火管理者講習も受けておくとよいでしょう。

(14)診療所開設届(保健所)、保険医療機関指定申請(厚生局)
開業から10日以内に診療所開設届を提出します。診療所開設届の副本または証明が
出てから、各地区の地方厚生局へ保険医療機関の指定申請をします。
都道府県によって、提出締日から指定日の間隔が違いますので事前に確認が必要です。

(15)公費指定医療機関申請の事前相談(各役所)、施設基準等の届出の事前相談(厚生局)
生活保護等の患者を診療するのであれば、それぞれの公費についての指定医療機関の
申請をします。保険診療開始後に提出するものなど、提出時期やルールについて
事前相談をして調べておきます。施設基準に関する届出書も必要なものについて各地区の
地方厚生局に事前相談する必要があります。

(16)スタッフの雇用契約、研修
院長の所信表明や診療所の方向性をお話しいただき、雇用契約を行います。
その後、約1週間から2週間かけて電子カルテや医療機器の研修・模擬診療を行います。

(17)内覧会・見学会
近隣の方にクリニックを知っていただくために行います。
天候不良のリスクも考え、1日のみの実施よりも2日の実施を推奨しています。

(18)開院
おめでとうございます。いよいよ新しいステージが始まります。

※医師会に入会をされる場合には、申込時期の判断は近隣診療所の様子と
院長先生のお考えにより物件契約後早めだったり診療開始直前であったりします。

院長先生ご自身ですべて手配することも可能ですが、
コーディネート役・サポート役がいるとよりスムーズに進むためおすすめいたします。