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医院開業コラム

(2)ブランディングに対する医療機関の現状

第2回目は「ブランディングに対する医療機関の現状」についてお伝えします。
第一回のコラムの中で、ブランディングとは「ブランド化する、ブランド化して競合相手より、より有利な状況にすること」と書かせていただきました。
では、医療機関医療機関に置き換えると、どのようになるでしょうか?

医療はそもそも、他院との競争をするものでしたでしょうか?医療は国民皆保険の下、国民はどこでも平等な医療を受ける事ができるという考えがあります。そのため、広告やブランディングという手法により、他院と競争するということをしてきておらず、これから創っていくものであることをまず認識することが重要です。
ここで、医療機関の広告について、振り返ってみたいと思います。

過去を遡ると、医療機関は、積極的に広告を出すということをしていませんでした。しかし一昔前であれば、それでも通用していました。まだインターネットが普及していない時代のことです。では、医療機関において広告はどのように変遷しているのでしょうか。
私が会社を立ち上げた2006年頃では、医療機関の広告は、タウンページや電柱広告、折り込みチラシ、駅広告、中づり広告、バス広告などでした。またインターネットの広告はⅰタウンページや医療機関のポータルサイトが主流であり、それで十分でした。

当時は「Webサイトを作りませんか?」と医療機関に持ちかけても、「タウンページがあるからいい」と断られ続けました。ただ、タウンページに医療機関が情報を載せるといってもその内容は簡素なもので、名前や住所、電話番号や営業時間などの必要な情報だけを羅列するように掲載するだけです。医療機関では、Webサイトを作って病院の認知度を高めることの意義がまだ確立されていなかったのです。

しかし現在では、インターネットがなければ仕事もプライベートも成り立たないほど当たり前のものになりました。特に2008年頃からのスマートフォンの登場はインターネットの普及に拍車をかけ、2013年頃からホームページの制作技術として、PC、タブレット、スマートフォンに対応できるレスポンシブ技術が一般的になっていきます。それにより、医療機関を取り巻く環境は激変していきます。

かつてインターネットが普及していない時代には、「医療機関を探す」という認識はあまり日常的ではありませんでした。風邪を引いたら内科に通いますが、「風邪を引いたらあそこの角を曲がったところの内科、怪我をしたらこっちの外科」というふうに、家族や親戚、近所の友人たちからの口コミで通う病院がすでに決まっていたのではないでしょうか。今のようにセカンドオピニオンを受けることも普通ではない時代ですし、「自分にとってよりよい治療をしてくれる病院を探す」という発想も当たり前ではありませんでした。

ところがインターネットが普及し始めてからは、患者さんに「検索」という行動が加わりました。医療機関に限らず、人は何か知りたいことがあればインターネットで検索して調べるようになっていきます。

インターネットの普及により、「検索」という行動が加わったことで、情報がダイレクトに個人に繋がるようになりました。このことで医療機関にも変化が起こります。人々が自分に合った治療を受けられる病院を自主的に探すようになったことにより、診療圏が拡大したのです。

医療機関の治療方針がそれぞれであるように、患者側が希望する治療方針もそれぞれです。仕事が忙しいから点滴を打ってさっさと改善させたい人もいれば、根本的に体質を改善して症状を治していきたいと考える人もいます。あまり強い薬を使いたくない人もいれば、強い薬で短期間に治したいと考える人、さらには漢方薬をメインに治療していきたいと考える人もいます。

しかし基本的な情報だけでは、その医療機関がどのような治療方針なのか、過去に医療機関がどのような症例を扱っていたのかという深い情報まで読み取ることはできません。

人は分からないもの、よく知らないものには不安を覚えやすいため、情報を出していない医療機関よりも情報を出している医療機関に興味を持ちます。そして集まった人が実際に治療を受け、今度は自分の体験をネット上で公開するようになります。これがインターネット上の口コミです。かつては身近な人からしか得られなかった口コミは、インターネットで病院名を検索すれば簡単に手に入るようになっていきました。

インターネットの普及により、医療機関が意図するしないにかかわらず近隣以外の地域にも医療機関の認知が広がるという現象が起こりました。

さらに診療圏の拡大に拍車をかけたのが、先ほども触れたインターネット上の口コミの存在です。数ある医療機関の情報を集めたⅰタウンページのような役割を持つポータルサイトが次々に登場し、GoogleMap上で施設を検索すれば、自由にユーザーが口コミや評価を入力できるようになっていきました。

一般的に医療機関を選ぶときは家や職場から通いやすいところを探すものですが、そうした検索方法に加えて「評判が良いか」がネットでも可視化されるようになっていったのです。医療機関の評判が可視化されると、「通いやすくて評判がいまいちの病院と、片道1時間かけてでも評判がよい病院」を選べるようになります。こうして診療圏は拡大し、同時に医療機関同士の競争が激化していきました。

この動きにいち早く気づいた医療機関は、Webサイトの充実や広告宣伝活動に力を入れ始めます。そしてさらに医療機関の情報が拡散されるようになり、遠方から「この先生の治療を受けたい」といって患者が集まるという現象が当たり前のものになっていったのです。

この動きにはプラスの面もあればマイナスの面もありました。医療機関の透明化が進んだことで求める人に情報が届きやすくなった反面、インターネット上で過剰な宣伝をして患者を集める行為が生まれだしたのです。これがガイドラインの厳格化に繋がっていることは、医療業界にいる人にとっては周知の事実かと思います。

ただ、こうした動きの中で、情報の扱いやWebサイトの重要性、広告戦略をしっかり考えている医療機関とそうでない医療機関に二極化していると感じています。

競争が激化している今の時代で他者に後れを取らず、勝ちにいくためには何が必要なのでしょうか。実は、そのための大きな武器となるのがブランディングと考えています。

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