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無床診療所とは?有床診療所との違いや開業時の設備基準、物件選びの注意点を解説
医院開業コラム
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2026.09.10 2026.09.10
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無床診療所とは、入院用の病床を持たず、外来診療を中心に行う診療所のことです。有床診療所や病院と比べて、病室や入院患者向け設備が不要なため、初期費用や人員負担を抑えやすく、テナント開業も検討しやすい形態です。
ただし、診療科や導入する医療機器に応じて、必要な広さや設備、給排水、電気容量、空調・換気などの条件は異なります。また、保健所への事前相談や消防法・建築基準法への対応、集患を見据えた立地選びも欠かせません。
本記事では、無床診療所の特徴、有床診療所や病院との違い、設備基準、物件選びの注意点、開設までの流れを解説します。
無床診療所とは、患者を入院させるための病床を持たない診療所のことです。
医療法では、病床を持たない医療機関または19床以下の病床を持つ医療機関を「診療所」としており、このうち病床がないものが無床診療所に分類されます。一般的な外来クリニックの多くは、この無床診療所に該当します。
無床診療所では、診察、検査、処置、投薬、生活指導などの外来診療が中心になります。病室や入院患者向け設備が不要なため、必要な面積や初期投資を抑えやすく、ビルテナントや医療モールでの開業も検討しやすいといえます。
ただし、内装工事や設備投資の規模は、診療科や導入する医療機器によって異なります。無床診療所であっても、予定する診療内容を整理したうえで、必要な広さや設備条件を確認することが大切です。
無床診療所では外来診療が中心となるため、患者が通院しやすい立地や、受付から待合、診察、検査・処置、会計までの動線が重要になります。
必要な設備やレイアウトは診療科によって異なります。たとえば、診察室の数、処置室や検査スペースの広さ、待合室の収容人数、設置する医療機器などを、想定する患者数や診療内容に合わせて計画しなければなりません。
そのため、無床診療所の開業では、賃料や坪数だけで物件を選ぶのではなく、外来診療に適した動線を確保できるか、必要な設備を設置できるか、患者が継続して通いやすい立地かを確認することが重要です。
無床診療所、有床診療所、病院は、主に入院用の病床数によって区分されます。病床を持たない医療機関が無床診療所、1~19床の病床を持つ医療機関が有床診療所、20床以上の病床を持つ医療機関が病院です。医療法上、無床診療所と有床診療所はいずれも「診療所」に含まれます。
ただし、違いは病床数だけではありません。入院診療の有無によって、必要な設備や人員体制、物件の規模、開業後の運営負担も変わります。主な違いは以下のとおりです。
無床診療所は、入院設備や入院患者に対応する人員体制が不要なため、有床診療所や病院よりも開設・運営の負担を抑えやすい形態です。一方、外来患者数が経営に影響するため、診療圏やアクセスなどを踏まえた物件選びが重要になります。
無床診療所は入院用の病床を設けないため、有床診療所や病院と比べて必要な面積や設備、人員体制を抑えやすい形態です。ビルテナントや医療モールなどでの開業も検討しやすく、外来診療を中心とした診療体制を構築できます。
一方で、病床がないからといって、少ない設備で開業できるとは限りません。診療科や導入する医療機器によっては、広い検査スペースや大規模な内装工事が必要になる場合があります。また、入院収益がないため、外来患者を安定的に集められる物件を選ぶことも重要です。
無床診療所で開業する主なメリットと注意点は、以下のとおりです。
無床診療所のメリットは、入院設備や夜間の入院管理体制が不要なため、開業時の負担を抑えやすい点です。ただし、実際に必要な費用や面積は診療科によって異なります。たとえば、大型の検査機器やエックス線装置を導入する場合は、十分な電気容量や遮へい工事、機器を搬入できる経路なども確認しなければなりません。
また、無床診療所は外来患者数が収益に直結します。物件を選ぶ際は賃料や広さだけでなく、診療圏、競合状況、駅からのアクセス、視認性、駐車場・駐輪場の有無なども確認することが重要です。
無床診療所は比較的開業しやすい形態ですが、設備条件と集患条件の両方を満たす物件を選ぶ必要があります。物件契約後に追加工事や法規制上の問題が判明しないよう、診療方針と必要な設備を整理したうえで、物件の設備条件や法規制への適合性を事前に確認しましょう。
無床診療所は入院用の設備を持ちませんが、診療所として開設するには、外来診療に必要な設備とレイアウトを整える必要があります。一般的には、診察室、処置室、待合室、受付、トイレ、手洗い設備などを、診療内容に応じて配置します。
ただし、必要な部屋や面積、設備は、診療科、実施する検査・処置、導入する医療機器によって異なります。また、自治体が示す指導基準や確認事項にも違いがあるため、物件契約や内装設計を進める前に、管轄の保健所へ相談することが重要です。
無床診療所では、診察室、処置室、待合室、受付など、外来診療の流れに沿った設備を中心に整えます。診療科によっては、検査室、エックス線診療室、リハビリテーションスペースなどが必要になる場合もあります。
診察室や処置室は、待合室やほかの部屋と明確に区分し、他室へ移動するための通路にならないようにすることが大切です。患者のプライバシーに配慮し、待合室との間に扉や間仕切りを設けることも検討します。
診察室数や処置・検査スペースの広さは、想定する患者数や診療内容によって変わります。単に必要な部屋を配置するだけでなく、診療に支障が出ない広さと動線を確保できるかを確認しましょう。
診療所では、感染対策や衛生管理の観点から、手洗い・消毒設備、患者用トイレ、換気、採光、薬品や医療廃棄物の保管場所などを確認する必要があります。
特に処置や検査を行う場所では、必要な位置に手洗い設備を設けられるか、給排水工事が可能かを確認します。既存の事務所用テナントでは、給排水管の位置や勾配の問題から、希望する場所に手洗いやトイレを設置できないことがあります。
また、薬品や感染性廃棄物は、患者が容易に触れられない場所で適切に管理する必要があります。換気や採光についても、診療内容や使用する薬品、医療機器に応じた設備を検討しましょう。医療法に基づく構造設備基準では、診療所について危害防止や防火・消火、建築基準法への適合などが求められています。
エックス線装置を設置した場合は、所在地を管轄する保健所への届出が求められます。エックス線診療室では、天井、床、壁などに必要な遮へい性能を確保し、室内外への放射線の影響を基準以下に抑えなければなりません。
また、エックス線診療室であることを示す標識、管理区域の表示、関係者以外の立ち入りを防ぐ措置なども必要です。装置を設置した場合は、所在地を管轄する都道府県知事などへの届出が求められます。
遮へい設計は、壁だけでなく床や天井、隣接区画、上階・下階の利用状況にも注意が必要です。物件契約後に設置できないことが判明しないよう、物件選定や内装設計の段階で、医療機器メーカーや設計会社へ確認しておきましょう。
無床診療所では外来患者の出入りが多いため、受付、待合、診察、検査・処置、会計までの流れをわかりやすく設計することが重要です。患者同士の交錯や待合室の混雑を抑えられる配置にすると、診療を進めやすくなります。
スタッフについても、受付、診察室、処置室、バックヤード、薬品・廃棄物の保管場所などを効率よく移動できる動線を検討します。患者動線とスタッフ動線を必要に応じて分けることで、業務効率やプライバシー、感染対策の向上につながります。
高齢者や車いす利用者が来院することも想定し、出入口の段差、通路幅、扉の開閉、待合スペース、トイレの使いやすさも確認しましょう。バリアフリーに関する具体的な基準は、建物の規模や用途、所在地の条例などによって異なるため、設計会社や行政窓口への確認が必要です。
無床診療所のテナントを選ぶ際は、立地や賃料だけでなく、医療機関として使用できる物件か、診療に必要な設備やレイアウトを確保できるかを確認する必要があります。
契約後に給排水や電気容量の不足、消防設備や内装工事の制限などが判明すると、追加工事による費用の増加や開業時期の遅れにつながります。そのため、契約前に設備条件や法規制への適合性を確認することが重要です。
テナント選びで確認したい主なポイントは、以下のとおりです。
まずは、そのテナントを診療所として使用できるかを確認します。建物の用途や構造だけでなく、賃貸借契約や管理規約で医療機関の入居が認められているかを確認することが必要です。
あわせて、看板を設置できる位置や大きさ、診療時間の制限、内装工事が可能な範囲、工事可能な時間帯なども確認します。医療モールや複合施設では、他の入居者と診療科が重複しないか、共用部の利用に制限がないかも確認しておきましょう。
また、診療所は他の店舗や共用部分と明確に区画できる構造が必要です。診察室についても、他室への通路とならない配置や、待合室から診察内容が漏れにくい区画が望ましいとされています。
必要な坪数は、診療科、想定患者数、診察室数、検査・処置の内容、導入する医療機器などによって変わります。診察室、処置室、待合室、受付、トイレ、スタッフスペースなどを配置できるか、平面図を使って確認しましょう。
ただし、床面積が十分でも、柱や窓、出入口、給排水管の位置によっては、希望するレイアウトを実現できない場合があります。受付から待合、診察、検査・処置、会計までを患者が無理なく移動できるか、スタッフが効率よく行き来できるかを見ることが重要です。
診察室が通路になる配置や、患者のプライバシーを確保しにくいレイアウトは避けましょう。
診療所では、手洗い設備、トイレ、処置室などで給排水を使用します。診療科によっては、検査機器や医療機器にも給排水が必要です。既存の配管から希望する場所まで延長できるか、排水のための勾配を確保できるかを確認します。
電気容量についても、エックス線装置や検査機器、滅菌器、空調設備などを同時に使用できるか確認が必要です。容量が不足する場合は、幹線の引き直しや受電設備の改修などにより、工事費が増える可能性があります。
このほか、空調や換気、天井高、医療機器の搬入経路、床の耐荷重なども確認します。一般的な事務所仕様のテナントでは、診療所として使用するための設備追加が多くなりやすいため、賃料だけでなく内装工事費を含めて比較することが大切です。
テナントを診療所として使用する場合は、保健所の基準だけでなく、消防法や建築基準法への対応も確認します。建物やテナントの条件によっては、消防設備、防火区画、避難経路、内装材などの見直しが必要になることがあります。
テナントの入居や工事によって用途、区画、内装などが変わる場合は、消防設備の適合状況にも影響する可能性があります。契約前に消防署や設計会社へ相談し、追加工事の有無を確認しておくことが重要です。
建築基準法上の用途変更手続きが必要かどうかは、建物の現状や変更する用途、対象面積などによって異なります。物件情報だけで判断せず、建築士や行政の建築担当部署に確認しましょう。
無床診療所は外来診療が中心となるため、患者が継続して通いやすい立地を選ぶ必要があります。駅からの距離、公共交通機関、駐車場・駐輪場、建物の視認性、周辺人口、競合医療機関などを確認しましょう。
適した立地は診療科や想定する患者層によって異なります。通勤・通学者を主な対象とする場合は駅前、地域住民や高齢者の受診を想定する場合は住宅地や駐車場を確保しやすい立地が候補になります。
医療モールでは、他診療科や調剤薬局との相乗効果を期待できる一方、入居する診療科の組み合わせ、共益費、診療時間、看板の掲出条件などの確認が必要です。
賃料が安い物件でも、法規制への対応に多額の工事費がかかったり、患者が来院しにくい立地だったりすれば、開業後の経営負担が大きくなります。無床診療所のテナントは、法規制、設備条件、集患面の3点を同時に確認して選ぶことが重要です。
無床診療所の開設は、診療方針の整理から物件選定、行政への事前相談、内装工事、医療機器・システムの導入、各種手続きへと進めます。
ただし、すべての工程を一つずつ完了させるのではなく、物件選びと行政への相談、内装設計と医療機器の選定、開設手続きと集患準備などを並行して進めることが重要です。主な流れは、以下のとおりです。
1.診療方針と必要な広さを整理する まず、診療科、想定する患者層、診察・検査・処置の内容、診療時間、スタッフ体制などを整理します。そのうえで、診察室、処置室、待合室、受付、トイレ、スタッフスペース、検査スペースなど、必要な部屋数や広さを検討します。診療方針によって物件に求める条件が変わるため、物件探しを始める前に整理しておくことが大切です。 2.物件候補を選定する 立地、診療圏、競合状況、賃料、面積、視認性、駐車場・駐輪場などを比較し、候補となる物件を絞り込みます。坪数だけで判断せず、必要な設備を設置できるか、患者やスタッフが無理なく移動できるレイアウトを確保できるかも確認します。 3.保健所や消防署などへ事前相談する 物件を契約する前に、平面図や診療計画をもとに、管轄保健所へ事前相談します。診察室や処置室の配置、給排水、手洗い設備、エックス線装置の有無などを確認し、必要に応じて消防署や建築担当部署、設計会社にも相談します。消防設備、避難経路、用途変更、内装制限などに問題がないかを確認したうえで、契約を進めましょう。 4.内装設計と工事を進める 行政への相談内容を反映しながら、診察室、処置室、待合室、受付などのレイアウトを設計します。患者動線とスタッフ動線、プライバシー、感染対策、バリアフリーなどにも配慮します。工事を始める前に、給排水、空調、換気、電気容量、医療機器の搬入経路なども確認します。 5.医療機器やシステムを準備する 診療科や診療内容に応じて、医療機器、電子カルテ、予約システム、会計システム、オンライン資格確認などを準備します。医療機器の設置には、電源、給排水、通信環境、床の耐荷重などが関係するため、内装設計と並行して選定を進めることが重要です。エックス線装置を導入する場合は、遮へい工事や届出についても確認します。 6.診療所の開設手続きを行う 診療所を開設する際は、管轄保健所へ必要な申請や届出を行います。医師が個人で開設する場合と、医療法人などが開設する場合では手続きが異なるため、必要書類や期限を早めに確認しておきましょう。 また、保険診療を行う場合は、診療所の開設手続きとは別に、地方厚生局へ保険医療機関指定申請を行う必要があります。申請の締切によって指定日が変わることがあるため、開業予定日から逆算して準備します。 7.スタッフ採用と集患準備を進める 開業準備と並行して、スタッフの採用や研修を進めます。あわせて、ホームページ、Googleビジネスプロフィール、看板、内覧会、地域への告知などの集患施策も準備します。 無床診療所は外来患者数が経営に影響するため、開業してから集患を始めるのではなく、物件選びや内装工事の段階から準備を進めることが重要です。
物件を契約した後に構造設備や法規制上の問題が判明すると、設計変更や追加工事が必要になり、費用の増加や開業時期の遅れにつながります。診療方針と必要な設備を整理し、物件選定・設計・行政手続きを並行して進めることが、開業準備を円滑に進めるポイントです。
無床診療所は、有床診療所や病院とは異なり、病室や入院患者向けの設備・人員体制が不要です。そのため、初期費用や運営負担を抑えやすく、テナントでの開業も検討しやすい形態です。
ただし、病床がないからといって、どの物件でも開業できるわけではありません。診療科や導入する医療機器に応じて、必要な広さやレイアウト、給排水、電気容量、空調・換気などの条件が変わります。保健所の構造設備基準に加え、消防法や建築基準法への対応も確認しなければなりません。
また、無床診療所は外来患者数が経営に影響するため、設備や法規制だけでなく、診療圏、競合状況、アクセス、視認性、駐車場・駐輪場などの集患面も踏まえて物件を選ぶことが大切です。立地や賃料だけで契約すると、追加工事による費用の増加や開業時期の遅れ、開業後の集患不振につながる可能性があります。
無床診療所の開業を円滑に進めるには、診療方針や必要な設備を整理し、物件契約前から保健所、消防署、設計会社などへ相談することが重要です。
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