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医院開業コラム

クリニック開業の基礎知識

医院開業の手順と失敗しないためのポイント

成功する医院開業への道

医院開業の手順と失敗しないためのポイント

クリニックを開業する場合、計画的かつ綿密に準備を進める必要があります。開業日までにやるべきことが多い上、どれも一朝一夕で終わらないため、しっかりスケジュールを確保して取り組まなければなりません。

一方、開業準備をスタートする前に、具体的な手順や失敗しないためのポイントが知りたい先生も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、医院開業のスケジュールと各ステップの手順、よくある質問について解説します。

目次

 

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医院開業のスケジュール

医師とコンサルタント

クリニックの開業準備には時間がかかります。開業地や開業形態によってスケジュールは多少変動しますが、おおよそ1410ヶ月前から余裕を持って準備を始めたいところです。

医院開業のスケジュールは大まかに分けると、以下のような9つのステップから成り立っています。

  • コンセプトと戦略の策定
  • 開業地・物件の選定
  • 資金調達・融資
  • 内装設計・工事
  • 医療機器の選定・購入
  • 集患のための広告宣伝
  • スタッフ採用・研修
  • 行政手続き・届出
  • 内覧会の実施

各ステップの手順や注意点を詳しく解説するので、きちんと押さえておきましょう。

1.コンセプトと戦略の策定

開業準備で最初にやるべきことは、自院のコンセプトと戦略の策定です。診療方針・経営方針・経営計画などを慎重に検討し、その後の意思決定でブレが出ないようにする必要があります。

一見難しそうに思えるかもしれませんが、まず開業に至った理由や経緯を踏まえて考えてみましょう。

  • なぜ開業したいのか
  • 開業医として何を達成したいのか
  • どのような診療を提供したいのか
  • どれくらいのペースで働きたいのか

上記のようなポイントを掘り下げることで、コンセプトや戦略という土台も自然に固まってきます。

2.開業地・物件の選定

開業地・物件の選定は、クリニック経営の成否を分ける最重要ステップです。たとえ医師として目を見張る実績を持っていても、優れたスキルを身につけていても、適切な開業場所を選ばないとスムーズに集患できず、安定した経営を実現することが難しくなります。

集患しやすい開業地を見つけるためには、事前に「診療圏調査」を行うことが大切です。人口や立地条件はもちろん、地域住民の年齢層や世帯特性、競合医院の施設数や診療科なども徹底的に調べることで、開業地での来院患者数を推計できるようになります。

ただし、診療圏調査は手間がかかる上、専門的なノウハウが必要です。効率や精度を求めるなら、実績のあるコンサルタントに依頼することを推奨します。

開業地が決まったら、次は物件選びです。クリニックは物件によって開業形態が変わるので、その種類についても解説します。

1-2-1   開業形態の種類

クリニックの主な開業形態は、以下の4種類です。

開業形態 概要
戸建て 購入した土地にクリニックを建てて開業する。設計の自由度は高いが、建築費などのコストがかかりやすい。
テナント 商業ビルやオフィスビルのテナントに入居して開業する。コストを抑えやすく、好立地の物件を選びやすいが、設計の自由度は低い。
居抜き 内装や設備をそのまま残した状態で物件を取得して開業する。コストや準備期間を削減し、行政手続きも簡略化できるが、設計の自由度は低い。
医療モール 異なる診療科のクリニックや調剤薬局が集まった施設で開業する。他院と連携しやすく、医療のランドマークとして認知度も高まりやすいが、施設によっては設備や診療時間について制約がある。

 

どの物件を選ぶべきか迷ったら、不動産会社や開業コンサルタントなどに相談することを推奨します。

1-3    資金調達・融資

開業地・物件が決まったら、次は資金調達です。診療科や地域にもよりますが、クリニックを新規開業する際はおおよそ5,000万円程度の資金が必要となってきます。

開業資金を自己資金だけで賄うことは難しいため、足りない分を融資で補うケースが一般的です。ただし、融資を受けるためには、金融機関の審査を通過しなければなりません。

審査の流れや基準は金融機関によって異なりますが、基本的に「事業計画書」の提出が求められます。開業資金の内訳や開業後の収支見込みといった情報をもとに融資の可否判断が行われるため、必要な情報がしっかり伝わる事業報告書を作成しましょう。

1-3-1   クリニックの収支の目安

厚生労働省の「第24回医療経済実態調査」をもとに、クリニック全体の平均収支を表形式でまとめたので、内訳をご確認下さい。

 

全 体
金 額 構成比率 金額の
伸び率
2021年(度) 2022() 2021年(度) 2022()
千円 千円
Ⅰ 医業収益 88,898 92,913 102.1 101.1 4.5
Ⅰ’ (参考)「新型コロナウイルス感染症関連の補助金
(従業員向け慰労金を除く)」を除いた
医業収益(Ⅰ-3’)
86,761 91,679 99.7 99.7 5.7
1.入院診療収益 1,537 1,526 1.8 1.7 -0.7
保険診療収益 1,332 1,408 1.5 1.5 5.7
2.外来診療収益 82,613 87,581 94.9 95.3 6
保険診療収益 73,973 79,001 85 85.9 6.8
3’.(再掲)新型コロナウイルス感染症関連の補助金
(従業員向け慰労金を除く)
2,137 1,233 2.5 1.3 -42.3
Ⅱ 介護収益 271 266 0.3 0.3 -1.8
Ⅲ 医業・介護費用 62,756 64,178 72.1 69.8 2.3
1.給与費 22,898 23,486 26.3 25.5 2.6
2.医薬品費 14,278 14,267 16.4 15.5 -0.1
3.材料費 2,471 2,619 2.8 2.8 6
4.給食用材料費 51 44 0.1 0 -13.7
5.委託費 3,367 3,680 3.9 4 9.3
(再掲)給食委託費 23 24 0 0 4.3
(再掲)人材委託費 694 701 0.8 0.8 1
(再掲)紹介手数料 20 22 0 0 10
6.減価償却費 4,205 3,998 4.8 4.3 -4.9
7.その他の医業・介護費用 15,486 16,084 17.8 17.5 3.9
(再掲)設備機器賃借料 1,134 1,155 1.3 1.3 1.9
(再掲)医療機器賃借料 757 755 0.9 0.8 -0.3
(再掲)水道光熱費 861 1,025 1 1.1 19
Ⅳ 損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ) 26,412 29,001 30.3 31.5
(参考)「新型コロナウイルス感染症関連の補助金
(従業員向け慰労金を除く)」を除いた
損益差額(Ⅳ-3’)
24,276 27,768 27.9 30.2
Ⅴ 税金
Ⅵ 税引後の総損益差額(Ⅳ-Ⅴ)
施設数 881

出典:厚生労働省「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」を基に作成

1-4    内装設計・工事

資金調達のめどが立ったら、次はクリニックの内装設計です。院内のレイアウトやデザインは、自院のコンセプトやターゲットとなる患者層に合わせて設計する必要があります。

特にレイアウトは見た目の印象だけではなく、患者さまおよびスタッフの動線にも影響するため、施工会社と打ち合わせを重ねて検討したいところです。例えば、整形外科なら車椅子や松葉杖を使って移動する患者さまが多いので、廊下や出入口のスペースを広げたり、段差を極力なくしたりすることが求められます。

工事開始後に内装設計を修正することは難しいため、事前にしっかりプランを固めておきましょう。

1-5    医療機器の選定・購入

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医療機器は診療業務に欠かせないため、慎重に選定しなければなりません。使用する医療機器は診療科によって異なりますが、最初は特に必要性が高いものだけ購入し、なるべく設備投資を抑えたいところです。

高額な医療機器が必要であれば、レンタルやリースでの導入も検討しましょう。毎月一定の費用を支払うことになりますが、初期費用を大幅に抑えられるため、開業当初の負担を減らすことができます。

また、医療機器を選定する際は性能や価格だけではなく、アフターサービスも要チェックです。

1-6    集患のための広告宣伝

クリニック開業を成功させるためには、開業前からターゲットとなる患者層に合わせた手法で広告宣伝を行うことが大切です。特に最近はスマートフォンやパソコンでの情報収集が主流なので、Webマーケティングが必須といえるでしょう。

Webマーケティングと一口にいっても手法はさまざまですが、まずはホームページの作成が最優先です。医療機関を探している患者さまの多くが来院前にホームページをチェックするので、自院の診療内容や実績をアピールしましょう。

また、より多くの患者さまにリーチできるよう、SNSやWeb広告で集患の間口を広げることも大切です。

1-7    スタッフ採用・研修

人口減少・労働環境の悪化・医療技術の高度化といった原因により、医療業界では慢性的な人手不足が続いています。特に看護師は需要に対して供給が追いついていないため、クリニック同士で貴重な人材を奪い合うような状況です。

優秀な人材を確保するためには、しっかりと準備して計画的に採用活動を進める必要があります。雇うべきスタッフの人数を見極めた上で、求人サイトや求人情報誌を通じて求職者に自院の魅力をアピールしましょう。

また、クリニックの診療方針や業務の流れを共有するため、開業前にスタッフ研修を行うことも大切です。

1-8    行政手続き・届出

クリニックを開業する場合、さまざまな行政手続き・届出を行いますが、特に以下の2つが重要です。

  • 開設届
  • 保険医療機関指定申請

「開設届」は管轄の保健所に提出するもので、期限が開設後10日以内と定められています。これが受理されない限り、クリニックとして保険診療も自由診療も行うことができません。

保険診療の認可を得るためには、開設届に加えて「保険医療機関指定申請」を所轄の厚生局に提出する必要があります。提出期限は厚生局によって変わりますが、各月10~20日です。

保険医療機関指定申請は月1回しか認められない上、受理されるまで1ヶ月程度かかるので、スケジュールに注意しましょう。

1-9    内覧会の実施

ここまで紹介したステップが一通り完了したら、開業前に内覧会を開きましょう。内覧会はクリニックの存在を地域住民に周知するだけではなく、新患獲得やスタッフの診療シミュレーションにも役立つイベントです。

内覧会を実施する場合、あらかじめホームページやSNSで告知する必要があります。開催日は状況にもよりますが、開業日の1週間前が目安です。

医院開業についてのよくある質問

医師 イメージ

開業を検討している医師からよくある質問をまとめたので、こちらも参考にして下さい。

2-1    開業に適した年齢は?

開業準備に要する期間や開業医として働く年数、医師としてのキャリアなどを踏まえると、開業の適齢期は3040です。

30~40代は十分なスキルやノウハウが身についているだけではなく、経済的な余裕も生じる傾向にあるので、開業に向けて自己資金を用意しやすくなります。また、借入金の返済期間をしっかり確保できるため、融資を受けやすいこともメリットです。

2-2    法人化したほうがいい?

医療法人は分院や有料老人ホームといった複数の施設を開設できる他、税率の低い法人税が適用される、クリニック継承時に相続税を抑えられるといったメリットがあります。そのため、事業拡大や節税による収益の増加を求めるなら、医療法人化は検討する価値が高い選択肢です。

ただし、社会保険の保険料の負担が増加する、事務作業が煩雑になるといったデメリットもあるので、それも念頭に置いて検討しましょう。

2-3    開業コンサルや税理士などの専門家に相談すべき?

開業準備は多岐にわたり、院長一人で全て対応するのは大変です。特に勤務医として働きながら準備を進める場合、多忙で時間が取れない可能性もあります。

開業前の準備・計画によって開業の成否は大きく左右されるので、失敗を避けるためにも早めに実績豊富な専門家に相談しましょう

日本調剤がクリニック開業をご支援いたします

クリニックを開業するためには、コンセプトの策定・開業地の選定・資金調達・スタッフ採用といった準備のステップが必要不可欠です。ギリギリのスケジュールだと準備不足に陥りやすいので、開業日の14~10ヶ月前から余裕を持って取り組みましょう。

日本調剤では、集患しやすい優良物件の紹介や診療圏調査、内装や医療機器の提案といった開業支援サービスを無料で提供しています。開業準備をスムーズに進めたいなら、ぜひ一度お問い合わせ下さい。

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