第1回目~8回目に渡って、主に規則・ルールによる労務トラブルの予防について確認していきました。規則・ルールはトラブルが起こった時に、クリニックを守ってくれるものとしては有効ですが、そもそも労務トラブルが起きない関係づくり、職場風土構築をどのようにしていくかというのも重要になってきます。
何故なら、労務トラブルが起こっている根底を探っていきますと、多くは双方の感情的な対立により、お互いに許せない状態になっていることがあります。この感情的な対立がもとで、法律上の不備など(最近は不当解雇・パワハラが多い)に結び付け、損害賠償請求などに繋がってきます。
良い職場風土づくりには、以下のような取り組みを継続的に行うことが有り、そのためには、院長・職員共に、診療時間外での時間・労力をそこに振り向ける必要があります。
(1)院内ミーティング
・テーマは、病院・クリニックをより良くするための『接遇』『患者サービス』『業務改善』等々
・職員に主体的に取り組ませる。(院長はアドバイザー。要望は一旦受け止める)
・開催頻度は週1回か月2回程度(昼休憩の時間などを利用)
(2)個人面談
・実施頻度:月1回もしくは2ヶ月に1回程度(月末・月初等で設定)
・面談時のポイント
ⅰ.前回の面談から、改善された点、よくできていた点など評価すべき点は『ほめる』
ⅱ.業務の進め方や取り組みの考え方に院長とギャップが有る場合には、その点をしっかりと話し合い、双方で納得した形で業務が進められるように取り組む
ⅲ.院長は傾聴を意識して、話す割合は2割:職員8割
(3)人を育てる仕組み
・仕事を通じて成長出来る機会の提供(接遇研修・CS研修・その他外部研修)
・キャリアプランの共有(クリニックでの仕事を通じて、どのような職業人となっていくか)
・(経営が安定すれば)福利厚生制度(退職金制度・永年勤続制度)の導入
昨今の雇用環境は、人手不足から完全に売り手市場となり、また、国の政策である働き方改革などもあり、より良い職場を求めて人が動きます。つまりその職場が気に入らなければ、すぐに退職するということもあるため、、職場風土を良くしていくための取り組みは今後益々重要になってくると考えられます。
良い人間関係・職場環境により、労務トラブルが起きず、お互いにクリニックの発展に貢献できる関係づくりを進めて頂きたいです。