医院開業コラム
クリニックの開業にあたって必ず考えなくてはならないのがスタッフを集めることです。
また、運営していく上ではスタッフの育成や労務管理、モチベーションのコントロールなどのマネジメントを行っていくことも考えなければなりません。
「開業動機と開業医の実情に関するアンケート調査(日医総研ワーキングペーパー2009年9月30日)」によると、「開業してからのほうが負担になっている業務等(管理面)」において、1位はスタッフの採用(65.1%)、2位が機器等のメンテナンス、3位がスタッフの教育・育成(48.3%)、4位がスタッフの処遇・評価(46.8%)となっており、勤務医時代に比べてスタッフマネジメントに関する事項に多くの先生が頭を悩ませていらっしゃることがうかがえます。
この調査結果は10数年前とやや古いデータではありますが、現在でも様相はさほど変わっていないのではないでしょうか。むしろ、女性の就業率上昇や働き方の多様化が進むなか、院長先生にとって、状況はより厳しくなっているといえるかもしれません。
開業前は自分ならなんとかできる、大丈夫だ、と考えていたけれど、やってみると難しいとおっしゃる先生も少なくないと耳にします。
クリニックの運営管理において、スタッフマネジメントは特に気を配る必要のある事項だといえます。労働環境が劇的に変化していくこれからの時代、円滑なスタッフマネジメントを行うために、戦略的に組織を作っていくことが特に重要になってくるのです。
組織づくりを考慮に入れずに採用やマネジメントを行ったり、マネジメントを事務長任せにしてしまったりすると、次のようなことが起こってきます。
・属人的な暗黙のルールが出来上がる
・不平等感ややらされ感が蔓延し、スタッフに活力が見られない
・給与制度を整備しても納得感が得られない
・院長のビジョンや方針が現場に浸透せず、院長の意志が伝わらない
・現場スタッフの気持ちや状況が院長に伝わらない
・互いに不満と不信が増大し、院長vsスタッフの構図ができあがる
・退職者が増え、人材が定着せず採用費がかさむ
・悪い空気が伝わり、患者数が減少
いかがでしょうか。恐ろしいパターンとして想像できるのではないでしょうか。
このような状況になってしまうのは、クリニックの組織の特徴として
1.女性スタッフが多いこと、
2.少人数で運営すること、
3.一人一人の担当業務が多岐にわたること、
の三要素が重なるためだと筆者は考えています。こうした特徴を考慮に入れながら、
開業時から戦略的に組織づくりを実施していくことで、不要な悩みを抱えずに
患者様へ医療サービスを提供していくことができるのではないでしょうか。
そこで、今回の連載では、戦略的組織づくりを考える上でのポイントや、採用に向けて考慮したい点、スタッフマネジメントにおける課題と対処方法などについてお伝えして参ります。
※参考:
開業動機と開業医の実情に関するアンケート調査
(日医総研ワーキングペーパー2009年9月30日)
https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090930_21.pdf
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