医院開業コラム
今回は、第5回として、「ブランディングができると何が変わるのか」をお伝えできればと思います。
さて今まで、医療機関が差別化して強みを打ち出していくためにはブランディングが重要であることをお伝えしてきました。では、ブランディングをすることによって具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?
ブランディングは棚卸し的な役割を担います。医療機関の特徴や強み、医師や看護師、技術者がそれぞれに有している知識や経験などを全て一旦要素として外に出し、それを目的に応じて構成し直すからです。
例えば、ブランディングの目的が採用ということであれば、この医療機関でどのような仕事ができるのか、労働環境はどのようになっているのか、これからの医療機関の方向性はどうなのか、などの情報を洗い出して精査し、採用希望者に情報が適切に伝わるように交通整理を行う必要があります。そうすれば求めている人に情報が届きますから、医療機関と採用希望者とのマッチングの確率を高めることができるものと考えられます。
採用のシーンでマッチング率が高まれば離職率も低下していきますし、医療機関とあわない人材が応募してくる率も低下するため、効率よく採用活動を進めることができるようになります。
求人広告を出稿する頻度も減るでしょうし、出稿する広告媒体も減らせるででしょう。マッチング率を高めることでこのような効果が期待できるのです。
一方、集患のシーンでマッチング率を高めるとどのような効果が期待できるでしょうか。 例えば整形外科の場合、交通事故やスポーツによる損傷など、整形外科に罹患する理由は異なります。ただ、整形外科といっても様々な専門の医師がおり、手術の術式の傾向や治療方針は病院によっても医師によっても違いがあります。地域や病床数などの条件が同じだからといって、全く同じ治療が受けられるわけではありません。
治療方針の違いの根底にあるのは患者の利益という視点で、それぞれの医療機関、それぞれの医師が、自身の経験や知識によって導き出した最善の治療方法を提供しているからこそ違いが生まれます。しかしそうした違いを発信しなければ患者には伝わらないため、「どの整形外科に行っても同じ」と思われてしまいます。
とはいえ、患者が自分の治療方法や怪我の状態を調べていけば、自分が希望する治療方法や治療方針が出てくるはずなのです。このタイミングで医療機関が治療方法や症例、医療機関の方針などに関する情報を知ることができれば、それを求める患者とのマッチング率が高まります。
その結果患者数が増加し、経営改善につながると考えています。
ブランディングは、医療機関が自分たちの理念や方向性を構築するものです。ベースとなる指針が生まれるため、大きくぶれてしまうことがなくなります。
院長を含め、医療機関のスタッフたちの意識がまとまり、一丸となって進めるようになるのです。
また、今後新しい取り組みを行うときにもブランディングができていれば、これからやろうとしていることが医療機関の方向性に合っているのかを振り返ることもできます。
これは弊社の例ですが、弊社のWEBサイトでは、トップメッセージとして「情報ネットワークを創造・活用し、地域医療格差ゼロを目指します」と明言しています。当社は医療機関に特化したブランディングコンサルティングや病院・クリニックのWEBサイト制作などを主な事業としていますが、根底には「医療機関の情報をしっかり発信することにより、地域の皆様に適切な情報を
届けていく」という想いがあります。社員一人ひとりがこの方針を理解していれば、今取り組んでいることや新たな取り組みが会社の方針に沿ったものなのかを社員それぞれが判断できます。もし迷ったらこの方針に立ち返ればいいと思えることで、スタッフが自由に動きやすくなるのです。
ブランディングにはそういった効果があります。
手術方法や治療方針、症例に関する説明や医療機関の設備、方針など、医療機関が説明すべきことは数多くあります。こうした情報を集めて情報を創生し、文章や写真・動画等に落とし込んでいくことによって、発信する側も理解が深まり、患者に対してわかりやすく説明することができると更に、効果は上がっていきます。
ブランディング意識して構築していけば、インナーブランディングにも繋がり、スタッフ全員が同じ方向を向くことができる、強い組織の構築の第一歩にもなります。
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