医院開業コラム
クリニックは、医療サービスを提供し患者を治療する場所です。それと同時に、患者を集め利益を上げるビジネスでもあります。いくら腕の良いドクターでも集患ができなければ、クリニックの経営はなりたちません。勤務医のときは優秀で患者さんからの評判もよかったドクターが、満を持して病院を開業したがうまくいかなかった、という例は決して珍しくないのです。しかし、クリニックはほかの商売とは違い、美容外科など一部を除いて派手に宣伝をすれば集患できるというわけではありません。この記事では、クリニックを開業する前から行える集患の効果的な方法を解説します。将来的に開業を考えている方も、ぜひ参考にしてください。
集患対策とは?
集患対策とは、文字どおり患者を集める方法を指します。病院は、患者を治療して診察料をもらい、経営をしています。いくら腕の良い医師が病院を開いていても患者がこなければ、経営はなりたちません。病院は開院さえすれば、患者が勝手に集まるというイメージがありますが、現実は違います。厚生労働省が平成26年度に行った医療施設調査によると、内科は全国で6,800箇所以上、外科は全国で4,600箇所以上あります。特に、東京や大阪など大都市では、狭い地域にたくさんのクリニックが密集している箇所も珍しくありません。つまり、患者の取り合いが起こります。クリニックを安定して経営していくためには、集患対策は必須です。集患対策にはいろいろな方法があるので、クリニックにあった方法を取り入れましょう。
インターネットで集患
Webは集患をするのに大いに役立ちます。特に、宣伝をしたり待ち時間を減らしたりするのにWebはインターネット環境さえあれば、どこでも見られるという強みがあります。ぜひ、活用しましょう。
予約管理システムの導入
病院にかかるのが苦手な理由に、「待ち時間が長い」ことを上げる人は多いものです。病院の予約というと、来院時に次回の予約をするというシステムが長い間一般的でした。しかし、仕事や育児・介護などで忙しい人の場合、「予約した時間に都合が悪くなってしまった」というケースや「来院日直前にならないと、あいている時間が分からない」というケースもあります。また、予約管理をする病院側も、帳面などにスケジュールを記載していく予約方式では、ミスが起こりやすいでしょう。そこで、おすすめなのが予約管理システムの導入です。ネット上で予約や取り消しが行えるので、患者さんの都合のいい時間に予約ができます。また、当日「あとどのくらいで診察時間がくるのか」も確認できるので、待合室の混雑緩和にもつながります。病院側も、「この日のこの時間は混み合う」と事前に分かるので、対策が立てやすいのもメリットです。また、予約患者を管理する手間も省けます。
ホームページを最適化する
現在は、多くの病院でホームページを開設しています。個人病院・クリニックを開設する際、まずはホームページを開設するようにアドバイスを受けた人も多いことでしょう。しかし、単にホームページを作っただけでは、集患につながりません。Googleなどの検索サイトで上位表示されるようにSEO対策をするのもひとつの方法ですが、それだけでは、不十分です。以下に、どうすれば、集患につながるホームページになるのか、その方法を紹介します。参考にしてください。
安心感を与えるコンテンツ
病院にかかる人は、大なり小なり不安を抱えています。特に、新患として病院にかかる際は、不安は大きくなるでしょう。集患につながるホームページとは、患者さんを安心させるコンテンツであることが大切です。たとえば、院長の挨拶や考えを顔写真と共に掲載するなども、有効です。この際、経歴や実績を掲載しておいてもいいでしょう。大病院で働き、満を持して開院したと知ることができれば、「この先生なら安心だ」と思えます。また、受付時間や休院日を記載するのはもちろんのこと、子ども連れ患者さんの対応方法(キッズスペースあり、予約制で直前に来てもらえれば大丈夫)などを、記載しておくと新しい患者獲得にもつながります。また、連携している大学病院や総合病院の情報を記載しておくのもいいでしょう。
スマートフォンに対応させる
2000年代まで、ホームページはパソコンで閲覧することを前提に作られていました。しかし、2010年代からスマホが急速に普及するようになり、パソコンでオームページを閲覧する人は減り、スマホでホームページを見る人が増え続けています。パソコンで閲覧することを前提に作られたホームページをスマホで見ると一部画面が表示されなかったり、見にくかったりします。ホームページはあるけれどスマートフォンで見る前提には作られていない場合は、スマホに対応できるホームページに作り替えましょう。なお、見やすく、読みやすいホームページを作るには、業者に任せるのがおすすめです。パソコンのブラウザ対応のホームページを自分で作っていたという場合は、集患対策として、業者にホームページ作成を依頼するのもおすすめです。ホームページが見やすければ、それだけ興味を持ってくれる人も増え、それが集客につながっていくでしょう。そのまま予約システムにも直結させればさらに集患につながります。
口コミサイトなどの外部サイトを利用する
病院を探す人は、病院のホームページ以外に、口コミサイトや病院をまとめて紹介するサイト、Googleマイビジネスなどを利用しています。病院をまとめて紹介するサイトやGoogleマイビジネスは多くの人の目に留りやすい一方、掲載できる情報が限られているというデメリットがあります。そこで、外部サイトに病院のホームページのリンクを張れるようにしておくと、そこをみて興味を持った人が病院のホームページにアクセスしてくれるので、集患につながります。特に、Googleマイビジネスは無料で利用できるうえ、Googleマップとも連動できるため、かなりの効果が見込まれます。ホームページ作成は業者に依頼するのがおすすめですが、Googleマイビジネスへの登録は個人でも簡単にできます。ぜひ、行ってみましょう。
オンライン広告を実施する
オンライン広告とは、ホームページを閲覧したり検索サイトを利用したりする際に表示される広告の総称です。検索したときにトップに出てくるリスティング広告、ホームーページを閲覧した際に出てくるアフィリエイト広告、以前検索したコンテンツに関係する広告を出すリターゲティング広告などがあります。オンライン広告最大の特徴は、看板などと異なり、初期費用がかからないことです。クリックすることで初めて支払いが発生するので、興味を持った人がクリックしなければ掲載費はかかりません。看板などを設置するより効果があり、費用も安くすみます。Google広告やヤフー広告などのリスティング広告、リターゲティング広告などは登録も簡単で、個人でも数分で行えます。
インターネット以外での集患
Webだけでは、集患が不十分な場合もあります。ホームページを作ったり予約システムを設置したりするだけで満足せず、Web以外の集患対策も取っておきましょう。以下にその一例を解説します。
設置看板や駅看板
看板は古典的ですが有効な集患方法です。クリニックの近くや駅の構内など目立つ場所に看板を設置しましょう。広告費は場所によって異なります。たとえば、日々何万人もの人が利用する駅に広告を出すなら、3か月ごとに100万円以上の値段がかかります。地方都市の駅ならば3か月ごとに10万円代というところもあるでしょう。患者さんになってくれる人が集まりそうな場所に看板を設置するのがポイントです。看板には、診療科や診療時間を目立つように書いておくのがおすすめです。主な移動手段がバスの地域は、バスの車内に広告を出すのも効果的でしょう。有料広告は2~3か月が掲載期限なので、効果を見ながら広告を続けたり掲載修了したりするとよいです。
チラシ
クリニックはあまり派手に広告を打たないイメージがありますが、新しく開院するときは、チラシを新聞に挟んだりポスティングしたりするのは効果的です。「新しくクリニックがオープンする」ことだけでも知ってもらえれば「あそこにできたのだな」と認知してもらえるでしょう。チラシは派手にする必要はありません。院長の名前と病院名、診療科目、診療時間を分かりやすく書いておけば十分です。近隣一帯に配っても看板よりは安価ですみます。
イベント講演や地域雑誌への寄稿
患者を診る医師の人柄や人徳も、大いに集患に影響してきます。いくら腕が良い医師でも、患者への態度がぶっきらぼうでは評判が落ちてしまいます。また、全く知らない土地で開業する場合は、自分の存在を広く知ってもらうことで病院の知名度も一緒に上げることができます。そのためには、地域雑誌に健康コラムを寄稿したり、イベント講演などを積極的に引き受けたりしてもいいでしょう。多くの自治体では、健康促進のために定期的なイベントを行っています。それを手助けしても有効なPRとなるでしょう。また、講演会に参加したり寄稿したりすることにより、ほかのクリニックの医師とのコミュニケーションも取りやすくなります。個人クリニックは、ほかのクリニックや基幹病院との連携も大切です。他院と協力し合うことにより、患者の紹介もスムーズにできるようになれば、集患につながります。
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